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システム移行やアプライアンス集約に効果抜群!!高性能と柔軟性を両立したハイブリッドエンジンアーキテクチャ

5年、10年後にも陳腐化しないネットワークインフラ

インターネットに代表されるネットワークサービスは、今や人々の生活やビジネス活動を支える基盤であり、そのためネットワークサービス上を流れるトラフィックは飛躍的に増大しています。また、スマートフォンやクラウド、M2Mなど新たな分野へ適用が拡大したことでそのサービス内容やSLA(Service Level Agreement)は多様化しています。

このようなトラフィックの増大やサービスの多様化は、ネットワークサービス事業者にとって新たな成長の機会をもたらす反面、設備の急速な陳腐化による設備投資サイクルの短期化、運用の複雑化によるOPEX(Operating Expense)の増大といった課題も内包しています。これらの課題を解決するため、ネットワークインフラを構成するルータに対しては、増大するトラフィックを処理できる「高速性」と多様化するサービスへ対応できる「柔軟性」の両立が求められています。

このような要求に応えるために考案されたのが、AX8600Rの「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」です。「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」は、高速性に適したハードウェアエンジンと柔軟性に適したプログラマブルエンジンを独自の方式で協調動作させることで、高速性と柔軟性を両立させることができます。これにより、多様なサービスに対して高いパフォーマンスを長期に渡って維持することができます。

発想の転換から生まれた「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」

大量のトラフィックが集中するルータにとって、最大の使命はパケット転送やQoS制御などパケット処理を高速に行うことです。インターネットトラフィックの増大に対応してそれらの高速性を追及し続けた結果、ルータのハードウェアエンジンは飛躍的な性能向上を遂げました。しかし、近年のネットワークサービスの多様化により、パケット転送やQoS制御など従来のパケット処理を超えた複雑な対応が必要となりつつあります。例えば、アプリケーションのセッション情報を参照してパケットの転送先を切り替えるといった処理を要する場合などがそれに当たります。ルータのハードウェエンジンはパケット転送やQoS制御などの高速処理に対して最適に設計されていますが、複雑な処理を柔軟に行うことは不得意です。その理由は、新たなサービスやプロトコルが登場するたびにハードウェアに変更を加えることは、膨大な開発コストを要する上、何よりもタイムリーな対応が困難だからです。

そこで発想を転換し、新たなサービスやプロトコルに合わせてハードウェアエンジンに変更を加えるのではなく、新たなサービスやプロトコルのパケットをハードウェアエンジンで処理できるようプログラマブルに変換してしまえば良いと考えたのが「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」です。

「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」は、パケット転送やQoS制御を高速に処理するハードウェアエンジンと、カプセリングやトランスレーションなど多様なパケット処理を柔軟に行うプログラマブルエンジンから成ります。プログラマブルエンジンで受信パケットや送信パケットを変換することで、ハードウェアエンジンの能力を最大限に活かしつつ多様なサービスや新たなプロトコルにプログラマブルに対応することができます。さらに、アプリケーションレイヤの複雑な処理にも対応可能なサービスモジュールカードも備えており、これら3種類のエンジンの役割分担により、高速性と柔軟性を両立しています。

ハイブリッドエンジンアーキテクチャの構成要素

ハイブリッドエンジンアーキテクチャの構成要素
種類 要素名 特性 機能概要
ハードウェアエンジン FE(Forwarding Engine) 高速性
  • L2/L3パケットの超高速転送
  • フィルタ/QoSなどでもワイヤレート転送可能
プログラマブルエンジン PE(Programmable Engine) 柔軟性
  • 汎用IDの付加/削除(FEの超高速転送をアシスト)
  • カプセリングやトランスレートに対応
SMC(Service Module Card)
  • L4以上の高レイヤなパケット処理
  • セッション管理などにも対応可能

ハードウェアなのにプログラマブル、その秘密は「汎用ID」

「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」の連携動作を、もうすこし詳しく見ていきましょう。ルータがL2/L3以上の処理が必要なパケットを受信すると、受信側のプログラマブルエンジンでは、ハードウェアエンジンで処理できるよう受信パケットの形を変換します。この変換処理にはプログラマブルエンジンが有するカプセリング機能が応用されています。具体的には、あらかじめ定義されたルールに従って、次にどのような処理を行うかを判別するために必要な情報を持った「汎用ID」を付加します。プログラマブルエンジンは文字通りプログラム可能であるため、新たなプロトコルなどに対応する「汎用ID」を、必要に応じて追加定義できるという柔軟性を持ち合わせています。

次にハードウェアエンジンで「汎用ID」を読み取り、パケットをどのように処理すべきかを判断します。「汎用ID」ごとに処理は決まっているので、メリットである超高速転送を損なうことはありません。

さらに、プログラマブルエンジンでは手に余る高度な処理を行う場合は、サービスモジュールカードにパケットを回します。アプリケーションレイヤの処理にも対応可能なサービスモジュールカードは、DPI(Deep Packet Inspection)など高度な処理でも柔軟に対応することが可能です。

最後に、役割を終えた「汎用ID」を送側のプログラマブルエンジンで外すことでパケットは適切なデータとして装置外へ転送されます。

ハイブリッドエンジンアーキテクチャの転送イメージ

「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」は省エネにも効果的です。パケット中継に低消費電力のハードウェアエンジンを採用することで、プログラマブルエンジンのみのアーキテクチャに比べて消費電力を低減することが可能です。

さらに、「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」はコントロールプレーンとデータプレーンが分離されているので、SDN(Software Defined Network)やNFV(Network Functions Virtualization)との親和性が高いことも特長の一つといえます。

【適用例1】サービスマイグレーション時でも、個別の変換装置が不要

ある商用サービスを新サービスへとマイグレーションする場合、サービス事業者は新旧二つのシステムを並行して運用します。この新旧システム間のデータ変換・同期などのために、トランスレータやゲートウェイなどのサービス変換装置が必要となるため、設備投資や管理工数が二重になってしまうのが、サービス事業者の悩みの種となります。

「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」は新旧システム間のデータ変換・同期などを一台の装置中で完結することができるため、投資コストの抑制につながるだけでなく、システムの運用・管理の負担を削減する効果も期待できます。

【適用例2】分散したアプライアンスを一台に集約

サービス事業者のネットワークでは、DPI装置やアカウンティングサーバなどは、単体のアプライアンスで個別に構成されています。そのため、台数や運用・保守費用などの増大は避けられません。これをオールインワンで解決できるのが「ハイブリッドエンジンアーキテクチャ」です。DPI装置やアカウンティングサーバの機能をサービスモジュールカード上に実装することで、装置一台に集約することができます。装置コストが下がるのはもちろん、装置内部で処理が完結するため高速な処理が可能となります。

【まとめ】ハイブリッドエンジンアーキテクチャの特長と効果

  • 独自のハードウェアエンジンとプログラマブルエンジンを連携動作させることで、高速性と柔軟性を両立
  • パケットの種類に依存せず、超高速での転送が可能
  • ハードウェアを全交換せずに、システムマイグレーションできる(効率の良い投資が可能)
  • 複数のアプライアンス機器を集約し、装置や運用コストの削減が可能
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