JP/EN

データセンタに最適なボックス型10G多ポートスイッチAX3830S
クラウド化にともなう「ネットワークの不安」を解消

この記事は朝日インタラクティブ社の許可によりZDNetから抜粋したものです。
禁無断転載(c)朝日インタラクティブ社
掲載されておりますサービス内容などは、掲載日時点のものです。

SUMMARY

ユーザーフレンドリーでハイパーフォーマンスなネットワーク機器を提供するアラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)が、このほどボックス型10G多ポートスイッチ「AX3830S」を開発した。データセンタや企業のネットワークにおける、広がる仮想化対応、省電力、低コスト化の要請に応える注目製品だ。

クラウドの進展が引き起こすネットワークの負荷増大

社会インフラや、企業インフラの安全性と信頼性は必要不可欠なもの。それを支えるスイッチやルーターの品質への期待は年々増大している。とくにデータセンタ、あるいは企業内のシステムで広がるクラウド化の進展にともない、帯域の安定的な確保とネットワークを効率的に稼働させることが重要な課題として取り上げられるようになった。アラクサラは、こうしたユーザーの抱える課題に正面から取り組む注目企業だ。

クラウド化の進展は、言い方を変えれば仮想化の進展といえる。1台のサーバに多くの仮想マシンが作られ稼働する。これによって、ユーザーはサーバを集約し、効率的にシステムを構築、運用することができる。

しかし、一方でサーバへの負荷が増大するとともに、ネットワークにもこれまでにない負荷がかかるようになった。負荷への対応のために高性能の機器が数多く開発されているが、ユーザーとしてはできるだけ、高性能でありながら、より汎用性のある機器を購入したいというニーズがある。現状のネットワーク構成にも適用でき、ネットワーク全体のグレードを上げた際にもしっかりと対応できる機器が求められているのである。

アラクサラがこのほど満を持して開発したボックス型10G多ポートスイッチ「AX3830S」はまさにこうしたニーズに対応した製品だといえる。

10G化が進む中で、スムーズな仮想化連携を実現する製品

昨今、サーバの10G化にともない、サーバを収容する10G対応スイッチのニーズが高まっている。一般的なサーバラック(42U)では、ボックス型スイッチをラック最上部のToR(トップ・オブ・ラック)に冗長のため2台設置し、1Uサーバを最大40台搭載する。AX3830Sは1Uの筐体サイズでSFP+/SFPポートの共用ポート数を44ポート実装しており、40台の1Uサーバを収容することが可能だ。SFP+/SFP共用ポートは10GBASE-R(SFP+)と1000BASE-X(SFP)両方に対応している。1Gにも10Gにも使えるポートを持つということは、将来10G化を目指すデータセンタやエンタープライズユーザーにも導入しやすい製品ということになる。

1Uの筐体に10GX44ポート搭載
図1:1Uの筐体に10GX44ポート搭載

また、AX3830Sは10G接続を低価格化できるダイレクトアタッチケーブルを採用しており、1m、3m、5mの長さにはもちろん7mにも対応することを検討している。7m対応となれば、ラック内のケーブルの取り回しも余裕ができ、運用の効率化も期待できる。

前述したように仮想化が進む現状では、いかに多数の仮想マシンを収容できるかが鍵となる。クラウドシステムにおいて、ネットワークがボトルネックにならないよう細心の注意を払わねばならない。1台の物理サーバに複数の仮想マシンを収容すると、物理サーバあたりの必要な帯域が増大するので、ネットワーク帯域を十分すぎるほど確保しなくてはならない。

AX3830Sはデータセンタなど大規模システムにおいてはコアスイッチとしての役割も果たす。各ラックに設置されたToRスイッチとしてサーバを収容し、さらに複数あるラックからのアクセスをコアスイッチとして収容する。コアスイッチの能力として、AX3830Sはずば抜けたものを持っている。例えばラック数が300台、42Uラックに搭載可能な最大サーバ数が40台、サーバ1台あたりの仮想マシンの数が10台というケースでも難なく対応する。このケースでエントリされるMACアドレスは12万MACとなるが、AX3830Sは13万MACまで収容可能だ。

このように、AX3830Sは「データセンタ内の仮想マシンの収容数」がビジネスの正否に直結するデータセンタ企業にとって強い味方となってくれるのだ。

続々と計画される新機能で、効率的な運用を実現

大規模なラック群を運用するデータセンタ向けにアラクサラではAX3830Sのさらなる機能追加を計画している。

まず、スタック対応。データセンタでは従来に増してL2ネットワークが拡大する。そのため高速で信頼性の高い冗長化手法が求められる。これに対応するため、スタックによる装置跨りリンクアグリケーションという手法の将来サポートを計画中だ。リンクアグリゲーションを使うことで、サーバとLANスイッチとを接続する複数のリンクを1本に束ねることができる。通常、ネットワークの冗長化には、スパニングツリー プロトコルという手法を使いループを避けるが、LANスイッチのCPU負荷増大等でループ障害が発生するリスクがある。スタックの装置にまたがったリンクアグリケーションはループフリーの冗長を実現し、複数リンクにトラフィックを負荷分散することが可能になる。

仮想化環境でのネットワーク設計には様々な課題がある

物理サーバ内に複数の仮想マシンを収容すると、物理サーバ内に仮想マシン間のトラフィックを中継するための仮想スイッチが必要になるが、仮想スイッチはソフトウェア処理のため、物理サーバのCPUに余計な負担がかかる。

AX3830Sでは、物理サーバのCPU負担を軽減するため、仮想マシン間のスイッチング処理を外部の物理スイッチにオフロードするEVB(Edge Virtual Bridging)の将来サポートを計画中である。
EVBを使用すると、ネットワーク関連の設定が外部の物理スイッチに集約され、物理サーバ管理者とネットワーク管理者の作業分担が明確になるメリットもある。

また、仮想環境においては仮想マシンのライブマイグレーションへの対応も、大きな課題となる。仮想マシンのライブマイグレーションとは実行中の仮想マシンを別のホストに無停止で移動させる技術である。仮想マシンが物理サーバ間を移動する場合、ネットワークのポリシーをどう追随させるかが重要になる。

ライブマイグレーションに伴い必要となるネットワーク機器の設定変更作業としては、VLANやフィルタの移動がある。AX3830Sで将来サポートが計画されているのは、仮想マシン間の通信をコアスイッチ経由にし、コアスイッチにVLANやフィルタを設定するモデルを検討している。仮想マシンのライブマイグレーションを行う場合にはコアスイッチ内の設定のみで済み、運用・管理コストが軽減される。

コアスイッチ経由の仮想マシン連携
図2:コアスイッチ経由の仮想マシン連携

また、データセンタでの利用において有り難いオプションがAX3830Sではサポート予定機能として検討されている。柔軟なエアフロー機能だ。AX3830Sは前面吸気・背面排気、背面吸気・前面排気*1の両方に対応できる。通常はインタフェース面をラック前面に向けるが、サーバに合わせてインタフェース面をラック背面に向けることもある。これは、サーバルーム全体の温度管理体制によってケースバイケースだが、サーバに合わせてスイッチのインタフェース面を背面にすることで温度管理がしやすい場合には有り難いオプションとなるだろう。さらにAX3830Sは室温50℃にも耐えられる設計となっており、その堅牢性は折り紙付きだ。

*1:
電源ユニットおよびFANユニットの交換により、前面吸気・背面排気と背面吸気・前面排気を変更可能。背面吸気・前面排気用の電源モジュールとFANモジュールは2012年1月発売予定。

柔軟なエアフロー
図3:柔軟なエアフロー

エンタープライズ分野にも対応する、これからの主力スイッチ

AX3830Sは、データセンタだけでなく企業のネットワーク、いわゆるエンタープライズ向けとしても役立つものだ。

エンタープライズの中小規模LANでは、コストを抑えるため、コアスイッチをシャーシ型スイッチからボックス型スイッチにリプレースするケースがある。但し、一般的にシャーシ型スイッチと比較して、ボックス型スイッチは機能が劣る傾向にあるので、中小規模LANのコアスイッチとしての要件を満たす製品であるかが重要である。

その点で、AX3830Sは10G/1G混在環境でもシャーシと比較して、安価にシステム構築できる上、アラクサラが長年培ってきた豊富なルーティング機能を備えている。AX3830SはOSPFやBGPなどのダイナミックルーティングプロトコルやIPv6、マルチキャストに対応しており、コアスイッチとして十分な能力を有している。つまりAX3830Sであれば、エンタープライズ向けコアスイッチとして、十分に対応できるということだ。

10G/1G混在環境では、シャーシ型スイッチと比べ安価なシステム構築ができる
図4:10G/1G混在環境では、シャーシ型スイッチと比べ安価なシステム構築ができる

また、AX3830Sならネットワーク・パーティションによって仮想ネットワークも構築できる。

この機能はグループ分けされた企業や大学、自治体などのLANを1つに束ね運用を効率化させるものだ。

ネットワーク・パーティション
図5:ネットワーク・パーティション

エンタープライズ分野でネットワークの仮想化を、というニーズは年々強まっている。各部門ごとに運用されているネットワークを1つに束ねれば、運用負荷は激減し、設備投資も合理化できる。そしてその束ねたネットワークを仮想化技術を使って論理的に独立したものとして管理するわけである。

しかし、従来のネットワーク仮想化ソリューションは、キャリアなど広域バックボーンでの使用を前提としたものが多く、一般企業や公共機関などで利用するには、オーバースペックでコスト高、という問題があった。その問題を解消するのが、ネットワーク・パーティション機能なのだ。

具体的には、VRF(Virtual Routing and Forwarding)およびVLAN(Virtual LAN)によってネットワークを論理的に分割し、VPN(Virtual Private Network)を構成する。VRFは装置内に論理的に分離された複数のルーティングテーブルを保持し、各ルーティングテーブルに従ってパケットを転送する機能だ。VRFにより、複数の拠点に分散したコンポーネントで構成する単一の仮想ネットワークを構築することができる。イメージとしては各部門のサーバネットワーク間で仕切りを設け、組織間の情報を遮断できるようになると考えればいいだろう。物理的にコアスイッチに集約されているが、論理的には仕切りが設けられ、セキュリティが保たれているのである。そして運用管理は一元化を実現しているというわけだ。

さらに、データセンタ、エンタープライズ共に、ITシステムの省電力化が求められているが、AX3830Sは最大消費電力250Wと10G多ポートボックス製品としては省電力化を実現している。

このようにAX3830Sはデータセンタ、エンタープライズ双方の現場の実情を熟知した設計となっている。より安全で高い信頼性を維持したネットワークを確立することで、クラウドに対する不安を一気に払拭する製品ともいえるAX3830S。悩めるシステム管理者の頼もしい味方となるに違いない。

該当製品
ボックス:
ご質問・資料請求・⾒積依頼など
以下のフォームより
お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ

ページトップへ戻る