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導入事例

事例:大分県 様自治体

(2024年1月)

県庁舎と広域ネットワークの機器をアラクサラ製品で統一
AX-NMによる可視化と統合管理で
迅速な障害対応と管理負荷の軽減を実現

県を挙げてDXの推進に取り組む大分県。同県では、県庁舎と広域ネットワークで使用している機器やスイッチ間のポート接続について、これまでExcelベースの台帳で管理してきたが、その負荷は大きく運用面で課題を抱えていた。そこで同県は、ネットワークの更新を機に、コアスイッチ、L3スイッチ、L2スイッチにアラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)の「AXシリーズ」を採用するとともに、ネットワーク・マネジメント製品の「AX-Network-Manager(AX-NM)」を導入した。これにより、ネットワークが可視化され、迅速な障害対応と管理負荷の軽減が実現している。

もくじ

  • 大分県
    総務部 電子自治体推進室 企画管理班
    主幹(総括)
    上田 慎介

  • 大分県
    総務部 電子自治体推進室 企画管理班
    副主幹
    川野 裕介

  • 大分県
    総務部 電子自治体推進室 企画管理班
    主事
    上野 蓮

Excelベースの台帳による管理に限界
ネットワーク更新を機に負荷軽減を目指す

大分県の概要についてお聞かせください。

上田:九州地方の北東部に位置する大分県は温暖な気候に恵まれ、豊かな自然とその中で育まれた新鮮で安全な食材、貴重な歴史的文化遺産など、数多くの地域資源を有しています。中でも温泉は、源泉数や湧出量がともに全国1位。別府や由布院など名だたる温泉地を擁しており、県でも「日本一のおんせん県おおいた」というキャッチフレーズを掲げています。

ITの分野では、県全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくため、2021年に全庁組織「大分県DX推進本部」を設置。「DXでもっと笑顔あふれる未来を創る。」をビジョンに、県政のあらゆる分野でDXに取り組んでいます。「行政のDX」としては、県民が行政手続をいつでもどこでも簡単にスマホ等で完結できるよう、行政手続の電子化を進めています。また近年、民間でキャッシュレス決済が普及していることを受けて、全庁の窓口でクレジットカード、電子マネー、QRコードなどで決済できるよう手配を進めており、2024年度から運用を開始する予定です。

今回のネットワーク更新の範囲をお聞かせください。

川野:県庁舎および「豊の国ハイパーネットワーク」で使用している機器をリプレースしました。豊の国ハイパーネットワークとは、県内の市町村を高速・大容量の光ファイバーで結ぶ広域ネットワークのことで、県内を複数のエリアに分け、大分市にあるネットワークオペレーションセンター(NOC)を起点に、リング状の光ファイバー網で構成されています。現在は大分県庁総合情報ネットワーク、おおいた教育ネットワーク、豊の国ハイパーネットワーククラウド等で利用しているほか、民間のケーブルテレビやブロードバンドサービス等にも解放されています。

既存のネットワークの課題はどこにあったのでしょうか。

川野:最大の課題は、管理負荷の増大でした。これまで機器やスイッチ間のポート接続は、デザインシートと呼ばれるExcelベースの台帳に手作業で入力・更新した上で、実際の機器に設定を行っていました。例えば、「VLANを追加してほしい」というリクエストがあると、すでにVLANが登録されているか台帳を検索して確認し、登録がなければ追加するといった作業が発生していたのです。VLANは複数の機器にまたがって設定することもあるため、上記の作業も複数回になります。

このようにただでさえ管理が煩雑な上、公務員は人事異動が多いため、私たちが所属する電子自治体推進室も3年程度で担当者が入れ替わります。それゆえ新しく赴任した担当者は台帳のどこを見ればよいかわからず、作業に慣れるまでにかなりの時間と手間を要していたのです。こうした管理では限界がありますので、今回のネットワーク更新を機に、負荷を軽減できないかと考えました。

県庁舎と豊の国ハイパーネットワークの両方をアラクサラ製品で統一
VLANの編集も可能なAX-NM(スタンダード機能)も採用

今回のネットワーク更新のスケジュールを教えてください。

川野:2023年3月から入札の手続きを開始し、5月に事業者を決定しました。そこから構築をスタートし、10月に導入を完了。新しいネットワークに切り替えました。

アラクサラ製品のどのあたりを評価されていますか。

川野:第一に、国産メーカーであることです。既存のネットワークでは、県庁舎・豊の国ハイパーネットワークともに海外メーカー製品を利用していたのですが、今回の更新では半導体の不足や円安による為替レートなどの問題があり、海外製品には納期や予算面で不安がありました。そうした状況の中、国産メーカーで確実な調達が期待できるアラクサラは安心感があり、県庁舎と豊の国ハイパーネットワークの両方を同社の製品で統一できたのは大きいですね。アラクサラはサポートもしっかりしており、導入後の不安がないことも評価できるポイントです。

今回はネットワーク・マネジメント製品の「AX-NM」、その上位ライセンスの「スタンダード機能」を採用されていますが、そのねらいはどこにあるのでしょうか。

川野:AX-NMは他社製品と比べて機能が充実しており、監視だけでなく管理や設定も可能です。特にVLANに関しては、スタンダード機能を適用することで、GUI上で追加・変更・削除が可能となるため、自分たちでVLANの追加や変更といった作業に迅速に対応できるようになります。

また、タスクスケジューリング機能により、コンフィグやバックアップの取得などのタスクを自動的に実行できるので、深夜や早朝の作業も組めるようになります。出先機関などが広域にわたって存在する大分県では、Web会議を行う機会が多く、「今日の朝から夕方まで」など期間を区切って会議室の情報コンセントからインターネット接続できるようコンフィグを設定してほしいというリクエストがしばしばあります。このとき、コンフィグの設定を元に戻し忘れてしまうと、その会議室から庁内ネットワークが利用できなくなることがあるのですが、スケジュール機能が使えれば自動で戻すこともできるため、そういったミスも防げると考えました。

ネットワーク構築の際にご苦労されたことはありますか。

川野:仕様を決める際、メーカーによってできること、できないことに違いがあり、その調整で苦労しました。事前に準備していても、実際に導入してみると漏れているというケースもあったのですが、アラクサラの助力もあってなんとか乗り切ることができました。

また、豊の国ハイパーネットワークは県内の市町村、学校、警察などが利用しているため、切り替えのスケジュール調整が大変でした。県内にはメインのアクセスポイント(AP)が12箇所、その下にはさらに多数の接続機関があり、その作業には苦労があったと思います。

上野:県庁舎のネットワークについても、県内外の出先機関まで含めると今回の更新対象は21の機関があり、それぞれを切り替える必要があったのですが、7年前のネットワーク更新を知らない担当者も多く、日程や作業の調整で苦労しました。最近はマイナンバー関連の手続などで土日も開庁しているため、土日・祝日もネットワークを止めることができません。また、平日も夜間から朝方までのバックアップ作業があるなど、停止できる時間が非常に限られています。そこで、土日は夜間のみ、平日は18時から21時までといったように、すき間を見ながら作業を実施しました。

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管理画面の共有とネットワーク構成の可視化で障害の早期対応、現場対応が実現

新しいネットワークの構成について教えてください。

上田:県庁舎のコアスイッチにはシャーシ型で拡張性に優れたAX8300S、L3集約スイッチにはボックス型で10G対応のAX3660S、L2フロアスイッチにはPoEも収容可能なAX2630Sを採用しています。また、リングプロトコルで構成された豊の国ハイパーネットワークのNOCにはAX8300Sを、APにはAX3660Sを採用しています。冗長性を高めるためにAX8300Sはフォールト・トレラント(FT)構成による装置内二重化、AX3660Sはスタック機能を利用しています。

現時点(2023年11月)でAX-NMの導入から2カ月がたちましたが、実際に使ってみての感想をお聞かせください。

川野:必要な情報がAX-NMに一元集約されているので、全員が同じ画面でネットワークの状況を確認できるのがいいですね。庁内では、私たちがいる電子自治体推進室のフロアと、運用ベンダーがいるフロアが分かれており、障害などがあると運用ベンダーから電話で連絡がきます。以前は、連絡をもらってから該当する管理台帳を探して開いたり、対応する管理ツールを見たりして状況を把握する必要があり、情報を共有する段階で時間がかかっていました。AX-NMの導入以後は、私たちと運用ベンダーが「あの画面をまず見れば良い」という共通認識があるので、すぐに状況を共有し対応を開始することが可能になりました。

上野:私自身は2023年度から電子自治体推進室へ配属になったばかりで、ネットワークの管理は初めての経験になりますが、AX-NMによりネットワーク構成が可視化されたおかげで、問題箇所もすぐに把握できます。また、他部署から電話などで急なVLANの設定変更を依頼されたときも、リアルタイムにコンフィグの正確な情報を把握できる安心感があります。

川野:障害対応も容易になりました。庁内のネットワークは複雑な構成になっているのですが、AX-NMでは構成情報がグラフィカルに可視化されるため、直感的に状況を確認できます。これまではネットワークが繋がらないと土日を問わず呼び出しがあり、現場まで行って対応していたのですが、今ではAX-NMで確認し、トラブルの内容によっては現場で解決してもらうことも可能になりました。

またこれは補足ですが、導入時に県庁舎内のフロアスイッチを切り替える際、広いフロアに大量のスイッチを設置していったのですが、AX-NMを見ていれば作業しているベンダーから連絡をもらわずとも状況を把握でき、不安にならずに済んだのはありがたかったですね。

ほかに今回の更新で得られた効果はありますか。

上田:AX-NMによって業務が大幅に効率化されました。これまでは何らかの作業を行う場合、準備、作業、バックアップの工程で1時間程度かかっていたのですが、現在は15分程度で済むようになりました。また、AX-NM上でコンフィグのバックアップが取れるので、デザインシートやExcelシートの更新が不要になりました。コンフィグを抽出することもなくなり、単純に設定を変更するだけで作業が終了します。これにより、残業時間も削減できそうです。

川野:今後の話になりますが、AX-NMのタスクスケジューリング機能を有効化することで、夜間作業が組めるようになります。さらに、コンフィグの自動取得と機器への反映により、リモート会議後の設定の戻し忘れもなくなります。将来、API経由でVLANの作成や設定変更ができるようになれば、さらなる効率化が期待できます。

上田:もう1つ、AX-NMによって現在の運用・監視ツールの集約が進みそうです。Trap監視やメール通知、トラフィック管理(MIB)や死活監視など、今まで全部で約10個の運用・監視ツールを利用してきましたが、AX-NMでカバーする領域が拡がったことで、複数のツールを使わなくても管理できるようになりました。結果として、ファイルサーバーにドキュメントを保管したり、デザインシートを更新したりすることがなくなり、圧倒的に業務効率は向上しています。

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無線APやPCの入れ替え、ガバメントクラウドへの対応を検討
アラクサラには新しいサービスや機能の強化を期待

今後の展望をお聞かせください。

川野:2024年に向けて、庁内ネットワークに無線APの導入を検討しています。これにより、庁内のどこでも業務やWeb会議ができるようになります。さらに、職員用のパソコン約6,000台の入れ替えを計画しています。これと並行してMicrosoft 365の導入も進めていく予定です。

上田:ガバメントクラウドへの対応も検討中です。こうなると、ネットワークの重要性はますます高まりますし、セキュリティ対策も強化していく必要があります。そこで、従来のアンチウイルスソフトに加えて、振る舞い検知が可能なEDRの導入も検討しています。

最後にアラクサラへの期待をお聞かせください。

上田:より安定的なネットワークの運用が実現するよう、新しいサービスの提供や機能の強化を期待しています。災害時に障害箇所の特定などができるとありがたいのですが。

川野:製品の品質については非常に満足しています。ただ、ネットワークの運用は実質私たち3人で担当していますので、災害発生時などにはどうしても人手が足りなくなります。そこで、極力自動化でき、私たち以外の職員でも対応可能なソリューションを期待しています。

上野:現在はAX-NMを導入したばかりで、まだExcel台帳からの移管が残っていますので、きっちり落とし込んでいきたいですね。今後は、できるだけ多くの情報をAX-NMで管理していきたいと思いますので、引き続き支援をよろしくお願いします。

ありがとうございました。

About 大分県

九州地方の北東部に位置し、面積は約6340平方キロ。県庁所在地は大分市。別府や由布院など著名な温泉地を数多く擁しており、「日本一のおんせん県おおいた」を観光のキャッチフレーズにしている。農業や漁業も盛んで、干し椎茸やかぼす、関アジや関サバなどが特産品として有名。2023年現在の人口は約109万人。

https://www.pref.oita.jp/

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