導入事例
事例:帯広畜産大学 様文教
(2022年9月)
過酷な北海道の環境において、
11年にわたりトラブルなしで大学ネットワークを支えるアラクサラ製品
国立大学で唯一の獣医農畜産系単科大学である帯広畜産大学。同大学は2011年、学内ネットワークにアラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のスイッチやルータを導入。以来、堅牢性の高さを評価し、11年間にわたってアラクサラ製品を利用し続けている。2022年の更新に際しても、アラクサラのスイッチを採用するとともに、帯域を増強して高速化を図った。これにより、故障なく稼働するネットワークが実現するとともに、各種ツールを快適に使える環境が実現。さらに、サイバー攻撃自動防御ソリューションの「AX-Security-Controller(AX-SC)」、ネットワーク運用管理ソリューションの「AX-Network-Manager(AX-NM)」の導入により、セキュリティ強化と一元管理が可能になった。
もくじ
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国立大学法人北海道国立大学機構
帯広畜産大学
情報管理課 課長
農学情報基盤センター副センター長
大坪 秀典 氏
農学情報基盤センターにDX担当者を配置、オンライン授業やARの導入なども推進
帯広畜産大学の概要についてお聞かせください。
大坪:生命、食料、環境をテーマに、農学、畜産科学、獣医学に関する教育研究を推進する国内唯一の国立大学です。「知の創造と実践によって実学の学風を発展させ、『食を支え、くらしを守る』人材の育成を通じて、地域および国際社会に貢献すること」をミッションに、4つのビジョン「欧米水準の教育課程の構築」「世界トップレベル大学等との国際共同研究及び教育交流」「国際安全衛生基準適応の実習環境による人材育成」「企業等社会のニーズに即した共同研究・人材育成」の実現に取り組んでいます。2022年4月には、小樽商科大学、北見工業大学と経営統合し、新たに国立大学法人「北海道国立大学機構」が発足。同機構が3つの大学を運営することになりました。
貴学のITへの取り組みについて教えてください。
大坪:農学情報基盤センターにDX(デジタルトランスフォーメーション)の専従担当者を置き、学内システムのデジタル化を進めています。さらに、2021年にはコロナ禍に対応するため、オンライン講義システムと講義録画画像配信システム(Webtube)を導入しました。具体的な活用の流れですが、各講義室に設置されたZoom端末で授業を実施し、その録画データ(MP4ファイル)を内蔵HDDに保存。夜間に学内サーバへアップロードします。その後、録画データをオンデマンド配信用のファイルに変換するとともに、教室情報・録画時間から授業名を割り出し、ストリーミングサーバーへ自動でアップロードします。この動画は、履修者がいつでもどこでもオンデマンドで視聴することができます。
さらに現在、実験・実習のデジタル化に向けて、ARコンテンツの導入準備を進めています。ARの導入により、動物実験で犠牲になる動物の数を減らしたり、実習時の事故の予防に活用したりできると期待しています。
長きにわたって故障しない堅牢性を評価しアラクサラのスイッチを採用
今回のネットワーク更新のきっかけをお聞かせください。
大坪:5年前(2016年)に更新したネットワークが2022年2月にリース期限を迎えるのを機に、帯広でも利用可能になったSINET6 ※1 に切り替え、回線速度も従来の1Gから10Gへ増強することにしました。
また、先に経営統合した3大学のシステムやネットワークが、2027年3月に統合されることになりました。これにより、当大学のサーバ群は北見工業大学のデータセンターに置かれることになったため、あらかじめ大学間のネットワーク速度を高速化しておく必要が生まれたのです。
前回に続きアラクサラ製品を採用されていますが、その理由を教えてください。
大坪:最大の理由は滅多に故障しないことです。アラクサラ製品を初めて導入したのは2011年の更新時でしたが、そのときは国産製品で信頼性が高く、導入ベンダの支援もしっかりしていたことから採用を決めました。以来、長きにわたって使ってきましたが、故障したのは2018年に北海道全域が停電を起こした「ブラックアウト」のときに1台壊れただけです。
また、アラクサラのSEが信頼できるというのも大きいですね。11年前の初回導入時にスイッチの一部に初期不良があった際には、すぐ飛行機で帯広まで駆け付けてくれました。その後も折に触れて相談に乗ってもらっています。
更新のスケジュールについてお聞かせください。
大坪:2021年9月にプロジェクトがスタート、2022年2月に切り替えを完了させました。コアスイッチは2021年11月にネットワークを止めて切り替え。エッジスイッチは拠点ごとに週末を利用して切り替えていきました。事前準備とテストを念入りに行ってから作業に着手したため、大きなトラブルもなくスケジュール通りに切り替えることができました。
何か苦労などはありましたか。
大坪:当大学は敷地面積が約190ヘクタール、東京ドーム約39個分という広大なキャンパスを抱えています。エッジスイッチの設置場所はそのキャンパス全体にわたるため、アラクサラや導入ベンダのエンジニアは苦労されたと思います。また時期も冬でしたので、厳寒の北海道で夜間の作業はさぞつらかったのではないでしょうか。
過酷な環境下でも故障することなく稼働中、高速化により各種ツールを快適に使える環境が実現
新しいネットワークの構成についてお聞かせください。
大坪:スイッチは全部で約100台、コアスイッチにAX8600S、集約スイッチにAX3660S、エッジスイッチにAX2530SEとAX2340Sを採用しています。エッジスイッチの中には、ズートロンと呼ばれる極寒の動物用人工気象室など過酷な環境の場所に設置したものもありますが、過去に故障したことは1度もありません。
導入の効果をお聞かせください。
大坪:故障のない、高速化されたネットワーク環境を構築できました。とにかくネットワークは「何も起きないこと」が重要なので、アラクサラ製品の堅牢性の高さは有り難いです。また高速化されたことで、オンライン講義やテレビ会議も快適に使えています。
サイバー攻撃自動防御ソリューションのAX-SCとネットワーク運用管理ソリューションのAX-NMも導入されたそうですが、どのように活用されていますか。
大坪:AX-SCはファイアウォールと連携させ、セキュリティトラブルが発生した際に自動遮断やトレースができるようにしています。AX-NMは約100台のスイッチの一元管理に利用しており、端末のVLANへの接続状況が一目でわかるようになっています。AX-SC、AX-NMともに導入したばかりですが、今後のトラブルシューティングに貢献してくれると期待しています。
3大学のシステム統合に向けて準備を進める、インシデント対応や事前調査における助言に期待
今後の展望についてお聞かせください。
大坪:2027年3月に予定している、3大学のシステム統合に向けて準備に入ります。ネットワーク環境については、ファイアウォールや認証基盤をどうするかといったところから考えないといけませんので、その下調べとして情報を収集していきます。
最後に、アラクサラに対する期待をお聞かせください。
大坪:11年間のお付き合いの中でも、大きなトラブルはまったくありません。信頼できるパートナーとして心から感謝しています。今後期待したいことですが、昨今はセキュリティ関連のインシデントが起こると文科省への報告が求められるケースがあります。そうした際の対応や事前調査などで、何かできることがあればアドバイスいただけると幸いです。
About 帯広畜産大学
1941年、前身である帯広高等獣医学校が地域の多大な支援を得て開学。1949年には新設大学として帯広畜産大学が設置される。現在は、十勝平野に位置する広大なキャンパスのもと、畜産学部の共同獣医学課程(6年制)と畜産科学課程(4年制)において、大学生・大学院生を合わせ約1,300人の学生が学ぶ。2022年4月には小樽商科大学および北見工業大学と経営統合し、国立大学法人北海道国立大学機構が発足した。