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導入事例

事例:広島大学附属学校 様文教

(2022年5月)

広島大学の附属校9校に無線LAN環境を整備
学びの場で共同、創造といった作業が容易に

西日本を代表する教員養成の拠点校、広島大学附属学校(内訳:高等学校2、中学校4、小学校3)。文部科学省が推進するGIGAスクール構想に合わせ、附属学校の教室へ無線LAN環境を整備すべく、アラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のAXprimo Wシリーズから、EWS5203(無線コントローラ)とECW5211(無線アクセスポイント)を採用した。これにより、201の教室に無線アクセスポイント(AP)が設置され、約3700人の生徒が日常的にインターネットへアクセスすることが可能に。授業のやり方が進化し、学びの場は教室の外へと広がっている。

もくじ

  • 広島大学 副学長(情報・IR担当)
    大学院人間社会科学研究科 教授
    前・附属福山中・高等学校 校長
    博士(工学)
    渡辺 健次

  • 広島大学
    大学院先進理工系科学研究科
    情報メディア教育研究センター
    准教授 博士(工学)
    近堂 徹

  • 広島大学
    広島大学附属福山中・高等学校
    情報科主任
    平田 篤史

文部科学省のGIGAスクール構想と大学のネットワーク更新に合わせ無線LAN環境を整備

広島大学附属学校の概要について教えてください。

渡辺:広島大学の前身のひとつは教員の養成を目的とした師範学校です。そのため附属学校でも、実習を通じた次世代の教員養成と、基幹校として先進的な教育実践に取り組んできました。大学と共同で教育の実践的研究や、文部科学省の研究開発学校としての先導的研究を推進しています。たとえば附属学校のひとつである附属福山中・高等学校は、2015年に「スーパーグローバルハイスクール」に指定され、現在はその発展形である「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」におけるカリキュラム開発拠点校の指定を受けています。

今回の無線LAN導入の背景をお聞かせください。

渡辺:私が2016年に附属福山中・高等学校の校長として赴任した当時は、無線LAN環境はないに等しい状態でした。これでは不便ですので、なんとか導入できないか努力してみたのですがほとんど予算が付かず、限られた範囲での活用に留まっていたのです。こうした状況の中、文部科学省からGIGAスクール構想の話が出てきて予算が付いたことで、一気に導入が進みました。

導入プロジェクトは、いつスタートされたのでしょうか。

近堂:2020年2月に検討チームを発足させたのですが、広島大学のネットワーク(キャンパス情報ネットワーク、以下HINET)の基幹部分の更新が2021年3月に控えていたことから、無線LANの導入も同時期に行う必要があると考えていました。そこで、全学の情報基盤を統括する情報メディア教育研究センター、大学本部の事務方、附属学校の関係者を交えて、2020年夏から本格的に話を始め、導入に当たっての仕様を固めていきました。

大学におけるアラクサラ製品の実績を高く評価
ライセンス不要でAPを追加できるのも大きなメリット

仕様の具体的な要件についてお聞かせください。

近堂:第一に、大学の運用経験をそのまま活かせることを重視しました。ただし、GIGAスクールの対象である小・中校生と大学生とではネットワークの使い方が異なります。そこで、設置場所・回線・認証の仕様をどうするか検討。コアネットワーク装置やセキュリティ装置、APを接続するネットワークスイッチまでの配線はHINETのリソースを活用しつつ、APの管理や運用は大学が提供するWi-Fiとは独立に行うことにしました。

拠点間の接続についても考慮しました。附属学校はまず大学のHINETに接続し、そこからインターネットへアクセスします。そこで、大学が契約するデータセンターに附属学校用の無線コントローラを設置し拠点間の回線も増強することで、ネットワークを安定して運用できるようにしようと考えました。

入札の結果、アラクサラの無線LAN製品(AXprimo Wシリーズ)が採用されることになりましたが、どんなところを評価していますでしょうか。

近堂:アラクサラ製品はHINETでも数多く導入されており、その信頼性やサポート力はかねてより高く評価していました。無線LAN製品の導入は初めてとなりますが、必要な機能は満たしていましたし、価格、ライセンス体系、8年間の無償保証、納期などの点で大いに魅力を感じました。

この中でもポイントだったのがライセンス体系です。無線LANを学内展開し利用が広がってくると、必ずAPの追加整備に対する要望が出てきます。APを追加するたびにライセンスを購入していてはコストがかさんでしまうのですが、AXprimo WシリーズではAPを追加してもライセンスの購入が不要なので、これは大きなメリットです。

導入のポイントを教えてください。

渡辺:Google Workspaceとの認証連携によるアクセス制御を行うことにしました。生徒がAPへアクセスする際、Google WorkspaceへIDとパスワードを入力すれば、そのまま認証連携してくれる仕組みを作りたいと考えたのです。また、eduroam(キャンパス無線LANの相互利用を実現するサービス)の提供も必要でした。附属学校なので外部のお客様が来校されることが多い上、教育実習で多くの大学生が来るからです。さらに、以前は附属学校とデータセンターは100Mbpsの回線で接続していましたが、今回の導入に合わせてすべて1Gbpsに増強しています。こうした作業はおおむねスムーズに進みました。

インターネットの活用で授業のやり方が変化
学びの場は教室の外へと広がる

導入の効果をお聞かせください。

平田:今回導入したのは無線コントローラ(ESW5203)と無線アクセスポイント(ECW5211)で、2021年3月より稼働を開始しました。附属小学校3校、附属中学校4校、附属高等学校2校の201教室にAPを設置するとともに、3700人余りの児童・生徒にGoogle WorkspaceのIDを付与。これにより、子どもたちが日常的にインターネットへアクセスすることが可能となり、授業でもさまざまなかたちで活用されています。

渡辺:従来は、教育実習生が附属学校で無線LANへ接続する際には、大学のHINETに繋がる数台のAPを利用する必要があり、校内の限られたエリアでしか使えませんでした。それが今回の導入により、校内のどこでもeduroamが使用できるようになり、利便性が大きく向上しました。

授業のやり方に変化はあったのでしょうか。

平田:最初こそ先生方も端末を使うことへの慣れが必要でしたが、今では便利で早く、紙資源の削減もできると好評です。例えば情報の授業では、以前はノートやワークシートなどの紙を使っていました。それが今回の導入で1人が1台端末を持つようになり、わざわざ入力する必要がなくなりました。また、授業の振り返りなどを生徒から回収して分析にかけることで、以降の授業の改善に繋げるといったことが容易にできるようになりました。

また、学びの場が教室に限定されなくなったことも特筆すべき効果です。放課後も生徒同士で一緒に課題へ取り組めるなど、協働・創造といった作業が容易になりました。さらに、成果物を見てもらえる範囲が近隣の学校だけでなく全国にまで広がったため、生徒も一段と力が入るようになっています。

渡辺:学校によっては、土曜日の午前中に Google Workspace に宿題が掲載されて、夕方までに提出させるといったことをやっているそうです。また、共有フォルダを活用し研究発表のスライドをメンバー全員で編集・作成するといったことも行っています。先生方も、教材をオンラインストレージに保存し、教室からアクセスするといった使い方をしているようです。

利用状況を可視化し現場が運用しやすい仕組みを目指す

今後の展望についてお聞かせください。

近堂:利用状況を可視化し、現場で運用しやすい仕組みを造り上げていきたいです。例えば、インターネットにアクセスできないとき、その都度情報メディア教育研究センターで対応していては非効率です。ですから現場の先生が状況をすぐに確認でき、できるだけ現場で解決できる環境を整備したいと考えています。このほか、IPv6の展開を検討しています。

今回の導入におけるアラクサラへの評価を聞かせてください。

近堂:広島大学での豊富な実績から、今回の導入についてもHINET連携まで含めて一緒に面倒を見てもらえる安心感がありました。ただし、ネットワーク環境は無線LANだけでなく、スイッチ、管理ツール、セキュリティ対策などの整備も必要です。今後はGIGAスクールでの導入運用経験を活かせるよう、キャンパスネットワークの強化を進めていきたいと考えていますが、そこにマッチするアラクサラ製品があれば、うまく取り込んでいけるといいですね。

About 広島大学附属学校

広島大学附属学校

1905年に広島高等師範学校附属中学校が開校以来、120年近い歴史を誇る。広島大学全体の附属学校として位置付けられており、現在は県内に2つの高等学校、4つの中学校、3つの小学校を持つ。広島大学のほぼ全ての学部の教育実習を担当しており、主として教育学部との共同による教育の実践的研究や、文部科学省の研究開発学校としての先導的研究を推進している。

https://www.hiroshima-u.ac.jp/fuzoku

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