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導入事例

事例:福岡大学 様文教

(2021年1月)

キャンパスネットワークの更改に合わせて帯域を増強、ゼロトラスト時代のセキュリティ強化や運用の効率化、ネットワークの可視化などを実現

九州を代表する総合大学として知られる福岡大学。同大学では2万人以上の学生と教職員が利用するキャンパスネットワークに、アラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のスイッチやルータを採用。堅牢で安定性の高いネットワークを構成している。2020年の更改に際してもアラクサラ製品を採用し、帯域を増強。さらにサイバー攻撃自動防御ソリューションの「AX-Security-Controller(AX-SC)」、ネットワーク運用管理ソリューションの「AX-Network-Manager(AX-NM)」、ネットワーク可視化・異常検知ソリューションの「AX-3D-VIEWER」を導入し、セキュリティの強化や運用の効率化、ネットワークの可視化などを実現している。

もくじ

  • 情報基盤センター 研究開発室 室長
    教授 センター長補佐 博士(情報工学)
    奥村 勝

  • 情報基盤センター
    研究開発室 准教授
    藤村 丞

無線LANの利用者急増などに対応するためネットワークのあり方を全面的に見直し

福岡大学の概要についてお聞かせください。

奥村:福岡大学は1934年に設立された福岡高等商業学校を前身とする総合大学です。現在は大学9学部31学科、大学院10研究科34専攻のもと、約2万人の学生が学んでいます。我々が所属する情報基盤センターは、教育研究のための情報処理システムやキャンパスネットワークの管理・運用を通し、学生や教職員の活動を支援しています。

今回のキャンパスネットワークの全面更改について、ポイントをお聞かせください。

藤村:前回の更新(2015年)では、集約スイッチと各建屋のスイッチとの帯域を2Gbpsに増強しました。しかしこの5年間で無線LANの利用者が急激に増えた結果、ユーザである学生や研究室の教員から「遅い」という声が聞こえてくるようになったのです。最新では無線LANの流量が有線の流量に近づきつつあり、帯域のさらなる増強が急務となっていました。

奥村:加えて、セキュリティレベルの向上やコストの削減という課題もありました。学外からさまざまなサイバー攻撃を受けている中、既存の検疫システムは老朽化が進み、ゼロトラスト時代のセキュリティにそぐわないものになっていました。また、既存のネットワークは可視化されておらず不具合が発見しづらかったり、継ぎ足しによる整備を重ねてきたため無駄なコストが発生していたりといった課題がありました。そこで今回の更改を機に、ネットワークのあり方を全面的に見直すことにしたのです。

故障なしの安定した稼働を評価しアラクサラを採用

今回の更新でもアラクサラを採用されていますが、その理由を教えてください。

奥村:最大の理由は、これまでの実績です。アラクサラ製品は信頼性に優れており、既存のネットワークも5年間で故障らしい故障がなく、安定した稼働を続けています。本学において、ネットワークが止まるということは、学生向けのサービスが止まってしまうということですから、なんとしてでも避けなくてはなりません。その意味でも、長年の実績があるアラクサラ製品が採用候補に上がりました。

藤村:信頼できるSEがいるというのも大きいですね。アラクサラには、ベンダ経由で技術的な質問についてやりとりしたり、直接の支援を受けたりと、過去10年以上にわたって要所要所で助けてもらいました。また、大学向けのプライベートセミナーを通じ、AX-SC/AX-NM/AX-3D- VIEWERなど新製品の情報提供をいただいたのですが、これも魅力でした。

スケジュールについてお聞かせください。

藤村:2018年の春ごろから新しいネットワークの検討を開始し、2019年11月にアラクサラの採用を決めました。2020年5月の連休明けから導入作業をスタートし、9月に旧ネットワークから新ネットワークに切り替えています。

導入時に何か苦労などありましたか。

藤村:作業を行った時期は、新型コロナウイルス感染症の影響により、学内に学生がほとんどいませんでした。そのため、工事自体はかえってスムーズに進みましたね。アラクサラや導入ベンダからの支援もあり、特に大きなトラブルもなく移行することができました。

帯域を増強した上でセキュリティの強化や運用の効率化、ネットワークの可視化を実現

新しいキャンパスネットワークの構成を教えてください。

奥村:基本的な構成は前回と変わりません。スイッチは全部で約320台、コアスイッチにAX8600S、集約スイッチにAX4600Sを採用しました。スタックで構成することで、2台のスイッチを論理的に1台に束ねた上で、リングプロトコルによりシンプルな構成としています。下位の建屋スイッチにはAX2500Sを採用し、集約スイッチとの接続をリンクアグリゲーションで冗長化しました。上位の学外接続ルータもAX3800Sのスタック構成とし、回線帯域を20Gbpsに増強。結果として、集約スイッチと建屋スイッチの間が10Gbpsで接続できるようになりました。

サイバー攻撃自動防御ソリューションのAX-SCは、どのように活用されていますか。

藤村:AX-SCは、トラフィックを常時監視している次世代ファイアウォールと連携しています。ファイアウォールが異常な振る舞いを検知すると、AX-SCが自動的にスイッチから感染端末を遮断して隔離、ユーザのPC画面上に「切断しました」というメッセージを表示します。また、IPアドレスで検索すれば端末の所在や接続履歴が即座に把握できるので、手動での端末捜索が必要な場合にも役立っています。

ネットワーク運用管理ソリューションのAX-NMは、どのように活用されていますか。

藤村:主な用途は大量にあるスイッチの一括管理です。AX-NMを使うことで、約320台のスイッチの設定変更やコンフィグ/ソフトウェアの入れ替えが、自動かつ一括で実行できます。以前はマクロで自動化はしていたものの、途中の作業状況がわからず、ログを見なければエラーが出ても気付きませんでした。一方、AX-NMは更新状況が目に見える上に記録されるため、作業の確実性が高まっています。また、機器の接続関係を自動解決したトポロジーマップが生成されるのも便利です。

ネットワーク可視化・異常検知ソリューションのAX-3D-VIEWERは、どのように活用されていますか。

藤村:本格的な活用はこれからになります。AX-Sensorで収集したトラフィック情報を地図やネットワーク構成図上に3Dで表示できるため、システム全体の通信状況が直観的に把握できて便利です。今後は、障害発生箇所の特定などに役立てていきたいと思います。

キャンパスネットワークをアラクサラ製品で統一、限られた予算の中で最大限の機能強化が実現

導入で得られた効果、今後への期待についてお聞かせください。

奥村:今回の更新では、キャンパスネットワークをアラクサラ製品で統一することができ、限られた予算の中で最大限の機能強化が実現したと思います。これにより、止まらないネットワークが構築できた上、AX-SC/ AX-NM/AX-3D-VIEWERの導入でネットワークが可視化されました。

藤村:また、本学では1993年から公開NTPサービスを提供しているのですが、近年はサーバへの通信負荷が増大し、その対策が急務となっていました。アラクサラのスイッチは公開NTPサービスに寄せられる大量のトラフィックをさばくことが可能で、可視化ツールとの併用によって管理負荷の軽減も期待できそうです。

BYODの導入やビッグデータの活用などを検討新たなサービスの提供へ

今後の展望についてはいかがでしょうか。

藤村:BYODの導入を考えています。現在はPC教室の端末で授業を行っていますが、学生個人のPCを学内に持ち込んで使ってもらうことも検討中で、そのためのカリキュラムやネットワーク環境の整備が課題となっています。また、学内に蓄積されているビッグデータを活用した新たなサービス提供も検討しています。

最後にアラクサラに対する期待をお聞かせください。

奥村:アラクサラは国内メーカーだけあって気軽に相談できるのがいいですね。2020年は遠隔授業が増え、改めてネットワークの重要性を実感することになりました。今後とも我々は止まらないネットワークを目指していきますが、アラクサラには引き続きご協力いただくとともに、新しい技術へ積極的にチャレンジしていってほしいと思います。

ありがとうございました。

About 福岡大学

福岡大学

福岡市の南西部に広大なキャンパス空間と病院を含む多くの建物施設群を擁する、九州屈指の総合大学。教育・研究・医療の3つの高度機能を果たすことを普遍的使命とし、責任ある教育、探求心と地道な努力による研究、高い質を備えた医療に全力を傾注するとともに、地域社会の中で地域連携機能を果たすことも重要な社会的責務としている。建学の精神として「思想堅実」「穏健中正」「質実剛健」「積極進取」を掲げており、これらは人格形成の上で一体となって、同大学における教育の基本理念となっている。

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