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事例:物質・材料研究機構様官公庁

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「ダイナミック省電力機能」を搭載したアラクサラのコアスイッチがインフラ全体の消費電力量の低減に貢献
「フォールト・トレラント・スイッチ」と「リンクアグリゲーション」でネットワークの冗長性を確保

文部科学省所管の独立行政法人として、物質・材料科学技術に関する基礎研究および基盤的研究開発等を通じ、社会のニーズに応える物質・材料研究機構。同機構は、約1500 名の職員が利用する構内ネットワークをリプレースするにあたり、アラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のコアスイッチを採用。安定したネットワーク環境を構築した。また、アラクサラのフォールト・トレラント・スイッチを採用することで冗長性を確保するとともに、ダイナミック省電力機能を用いて消費電力の低減を実現。サーバを含めたインフラ全体で、40%の電力量削減を達成するなどの成果をあげている。

独立行政法人 物質・材料研究機構 総務部門IT室 室長 瀬川 剛 氏 / 独立行政法人 物質・材料研究機構 総務部門IT室 エンジニア 荻野 寛 氏

世界の最先端をゆく研究機関としてネットワークの安定性を重視

はじめに、物質・材料研究機構の概要についてお聞かせください。

瀬川

その名の通り、物質・材料について研究する、日本で唯一の研究機関です。旧科学技術庁所管の「金属材料技術研究所」と「無機材質研究所」の2つが2001年4月に合併して発足しました。現在は、環境・エネルギー材料、ナノスケール材料、先端的共通技術の3研究部門を柱に、世界の最先端をゆく研究を行っています。ナノテクノロジーを使った革新的な材料開発や、近年、レアアースや都市鉱山などに関連して注目を集めている資源・元素戦略問題の解決に特に重点を置いています。事業所は、メインとなるつくばエリアに、千現(本部)、並木、桜の3箇所があり、約1500人の職員(研究員を含む)が勤務しています。

アラクサラのコアスイッチを導入した目的は何ですか?

瀬川

つくばエリアにおける事業所の構内ネットワークの再構築です。既存のネットワーク機器やサーバのリース切れが近づいたため、インフラまで含めてすべてを刷新することにしました。

既存のネットワーク環境と存在していた課題について教えてください。

荻野

千現、並木、桜の3地区に、それぞれ拠点コアスイッチを置いて構内ネットワークを構築していました。我々の研究活動は我が国の産業の基幹となるものもありますから、ネットワークが止まってしまうことは許されません。そこで、各拠点のコアスイッチを物理的に2台用意し、1台を本番系、もう1台を待機系として冗長性を確保していました。

瀬川

しかし、2台の物理スイッチを置くということは、初期コスト、運用コストも2倍かかることを意味します。経費削減が叫ばれる昨今、内外からコストや電力消費量の削減が求められていました。そこで、冗長性確保、省電力化、IPv6対応の3つを要件に新たなコアスイッチを検討することになったのです。

国内メーカならではのサポート体制と導入実績を評価

アラクサラのコアスイッチを選定した理由をお聞かせいただけますか?

瀬川

必要要件すべてを満たしていたことに加え、国内メーカならではの安心感を評価しました。というのも、既存のコアスイッチは海外メーカ製だったため、どうしてもサポート面で不安を感じていました。その点、国内メーカのアラクサラなら、例え故障や障害が発生しても、迅速に解決できるサポート体制が整っています。また、日本語のマニュアルも充実しているので、英語が苦手な職員でも扱いに困ることはありません。さらに、アラクサラのネットワーク機器は多くの企業、学校、公共団体などで採用された実績が豊富で評判も良く、成熟度や信頼度の面でも間違いないと判断しました。加えて、営業担当者の提案が非常にわかりやすかったことも印象に残っています。

導入スケジュールを教えてください。

荻野

2010年末からインフラの構築を開始し、2011年4月までに構内を順次新しいネットワーク環境に切り替え、サービスインしました。構築にかかった期間は約5カ月です。

構築の工程で苦労されたことはありますか?

荻野

新しいネットワークに切り替えている最中の2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。つくば地区は震度6と大きな地震に見舞われましたが、幸い大きなスケジュール遅延を起こすことなく、ほぼ予定通りにスタートできました。移行については、新旧ネットワークを並行稼働しつつ、千現、並木、桜と地区ごとに切り替えました。切り替え作業は、平日は夜までネットワークを利用する研究者や職員がいるため、主に土日の休みを利用しました。

新しいネットワーク環境の構成をご説明ください。

荻野

ユーザー数の多い千現と並木の2地区については、拠点コアスイッチにアラクサラのAX6708Sを、規模の小さな桜地区はAX6304Sをそれぞれ採用しました。このうちAX6708Sは、ネットワーク機器を必要最低限の稼働状態にして省電力化を行う「ダイナミック省電力機能」*1を搭載しています。

瀬川

いずれの拠点コアスイッチも、1台の物理スイッチに2台分の機能を実装したフォールト・トレラント構成*2によって冗長性を確保しました。物理的なスイッチは1台ですが、内部はハードウェア的に二重化されているので、障害が発生したとしてもネットワークが止まることはありません。また、千現と並木、千現と桜の拠点間接続には、複数の回線を1本に束ねる「リンクアグリゲーション」*3を採用。1本の回線が止まった場合でも、残りの回線でカバーできる体制を取り、冗長性と信頼性を確保しています。本部のある千現には、フォールト・トレラント構成の外部接続スイッチ(AX6304S)とサーバスイッチ(AX6304S)を置き、外部公開サーバをIPv6とIPv4の両方で運用中です。

「ダイナミック省電力機能」はどのようにお使いですか?

瀬川

本稼働からしばらくは初期トラブルを避けるため、ダイナミック省電力機能を使わずに運用していました。約1年後の2012年7月、夏本番を迎えるにあたり、電力消費量の増加が予測されたことから、省電力機能の本格的な利用を開始。AX6708Sが搭載する3枚のスイッチユニットのうち、待機系1枚の給電を常時オフにする「コールドスタンバイ状態」で運用しましたが、この夏は特にトラブルも無く、安定して稼働させることができました。

物質・材料研究機構 ネットワークシステム構成イメージ
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インフラ全体で電力消費量を大幅削減。外来者への構内ネットワーク提供も検討

ネットワーク環境の移行で得られた効果は何ですか?

瀬川

電力消費量の削減が実現しました。スイッチの省電力機能やサーバの仮想化、省電力対応のエッジスイッチなどと合わせ、インフラ全体でおおよそ40%の削減に成功しています。その結果、停電時のバックアップ電源となるUPSの稼働時間も、従来の23分から45分に伸びました。さらに、スイッチやサーバの集約効果により、サーバルームの空調設定温度を上げることができたほか、音も従来と比べ静かになっています。

荻野

障害のない安定したネットワーク環境を構築できたことが大きな成果です。今回のネットワーク構築では、ネットワークのトラフィック量をモニタリングするsFlowを導入しています。これにより、トラフィックが可視化され、不正アクセスや突発的なトラフィック量の増加なども監視できるようになりました。

今後の展望についてお聞かせください。

瀬川

「ダイナミック省電力機能」のうち、スケジューリング制御やトラフィック量による制御などを利用することで、省電力機能を今以上に有効活用していきたいと考えています。

荻野

当機構に長期間滞在する外来の研究者から、構内ネットワークを利用したいという要望が寄せられています。そのためには、ネットワークのセキュリティ強化が必要ですので、ネットワークの仮想化技術である「ネットワーク・パーティション」*4を使い、セグメントを分離することも検討していきたいと思います。

アラクサラに対する要望をお聞かせください。

瀬川

省電力機能を有効に活用するためにも、汎用的な設定を盛り込んだ「おすすめ設定」や、トラフィック量を自動で学習して電力量を制御する「インテリジェンス機能」など、より使いやすくなる機能があるといいですね。そういった機能を開発していただけると、積極的に省電力機能を使うユーザーも増えるのではないでしょうか。

ありがとうございました。

*1
ダイナミック省電力機能:必要なときに必要な部分へ適切に電力を供給し、不要な部分は電力を削減・停止する機能。
*2
フォールト・トレラント構成:1台に2台分の装置を実装し、システムの冗長性を確保したスイッチ。
*3
リンクアグリゲーション:複数の物理回線を仮想的に集約し、1つの回線とみなす技術。
*4
ネットワーク・パーティション:VRFやVLANによってネットワークを論理的に分割し、複数の論理ネットワークを構成する技術。

ダイナミック省電力機能を搭載した拠点コアスイッチAX6708S

物質・材料研究機構

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物質・材料科学技術に関する研究を総合的・専門的に行い、物質・材料科学技術水準の向上を図ることを目的に設立された独立行政法人。環境・エネルギー・資源に関する物質・材料研究により、持続可能な社会の構築に貢献することを研究方針としており、「物質・材料科学技術に関する基礎研究および基盤的研究開発」「研究開発成果の普及とその活用の促進」「NIMSの施設および設備の共用」「研究者・技術者の養成およびその資質の向上」をミッションとする。

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