JP/EN
  • ホーム
  • ソリューション
  • 運用管理:ネットワーク運用の「工数増加─ミス誘発」の悪循環を一掃 アラクサラネットワークスが新開発したAX-NMの真価

ネットワーク運用の「工数増加─ミス誘発」の悪循環を一掃
アラクサラネットワークスが新開発したAX-NMの真価

ITインフラの運用管理の中でも、とりわけ難度も負荷も高いのがネットワークの領域で、ユーザー企業もインテグレータも多くの悩みを抱えている。ここに一石を投じようとアラクサラネットワークスが2019年9月に市場投入するのが「AX-Network-Manager(AX-NM)」だ。その狙いや注目機能について同社のキーパーソンに話を聞いた。

アラクサラネットワークス 開発本部 製品・ソリューション開発部 GL主任技師の新井雅也氏

アラクサラネットワークス 開発本部
製品・ソリューション開発部 GL主任
技師の新井雅也氏

今や業務とコンピュータシステムは密接不可分。ITインフラがひとたび障害を起こした際の影響は甚大であり、IT部門は安定稼働を旗印に今日もまた気を引き締めて運用業務に勤しんでいる。ここで、「ITインフラの運用」と一口に言っても実務は多岐にわたり、その中でもとりわけ難度も負荷も高いと言われるのがネットワークの運用だ。  専門知識を備えたエンジニアがコマンドラインを駆使してネットワーク機器の動作を確認したり設定を変更したりする姿には、極めて高度なプロフェッショナリズムが感じられる。もっとも、人材不足が叫ばれている中にあって、どの企業とて“美学”に酔いしれる余裕などなく、運用業務に要する手間ヒマをいかに抑えるかが喫緊の課題となっている。

品質向上には専門特化したツールが不可欠

「運用効率化の本質は工数低減ではなく品質向上であり、そのためには様々な悩みを取り除かなければなりません」──。そう話すのはアラクサラネットワークスの新井雅也氏(開発本部 製品・ソリューション開発部 GL主任技師)だ。ネットワークに変更を加える場合、手順書やパラメータシートを作成し、実際の作業や確認を行うのが一般的な流れとなる。現状把握やレビュー、作業後の確認といったことには相応の工数がかかるし、見落としやミスを減らすためにペアを組んで変更作業にあたるとなるとなおさらだ。
特にやっかいなことの筆頭に挙がるのが現状把握。ネットワークの構成管理や変更管理については、表計算ソフトで台帳を作って記録している企業が今なお少なくない。これを人手でやっている限りは漏れや間違いが生じやすく、実状と乖離してしまっているということが起こりがちだ。いざ現場で手を動かそうとした時になっておかしなことに気付き、余計な手間が掛かるといったことにつながっている。こうしたことを一掃しない限りは、工数増加→ミス誘発という負のサイクルから抜け出せず、そもそもの品質向上など望むべくもないのだ。
「抜本から解決するにはネットワーク管理に軸足を置いた適切なツールを使うことが不可欠になります。そこで当社が開発したのが運用管理ソフトの『AX-Network-Manager(AX-NM)』。スイッチやルーターなどの機器を手掛けてきた私どもの技術力やノウハウを凝縮した自信作です」と新井氏は話す。

スイッチから構成情報を取得し直感的に把握

AX-NMは、SNMP(Simple Network Management Protocol)を介してスイッチから各種の情報を収集し、ネットワーク構成に関わる最新の状況をデータベースで一元管理することを中核に据えたソフトウェアだ。ネットワーク接続状況の自動検出&マップ表示、異常の可視化による障害切り分け支援、単純な変更作業の一括実行、作業手順ガイダンスや作業前の状態への切り戻しなど、日々の運用作業を効率化する機能群が実装されている。

図1	監視対象のスイッチ機器を登録するだけで、ネットワーク構成情報をSNMPで取得し、これをGUIで分かりやすく可視化する。ネットワークトポロジやスイッチ機器のポートの状態などを表示できる(出典:アラクサラネットワークス)

図1 監視対象のスイッチ機器を登録するだけで、ネットワーク構成情報をSNMPで取得し、これをGUIで分かりやすく可視化する。
ネットワークトポロジやスイッチ機器のポートの状態などを表示できる(出典:アラクサラネットワークス)

アラクサラネットワークス 第一ネットワークシステム本部 マーケティング部 GL主任技師の綿貫達哉氏

アラクサラネットワークス
第一ネットワークシステム本部
マーケティング部
GL主任技師の綿貫達哉氏

特徴の1つとして、ネットワークの構成情報をGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を用いて分かりやすく可視化できることが挙げられる(図1)。ネットワークの論理構成や、スイッチ同士の物理的なつながりなどを直感的な図として表示。図中にあるスイッチなどのアイコンをクリックすれば、その配下にある機器をツリー構造でドリルダウンしていけるなど、使い勝手に工夫を凝らしている。
「対象とするスイッチはアラクサラネットワークス製に限らずマルチベンダー対応であり、AX-NMに登録するだけで、そのポートにつながったホスト端末の情報(IPアドレス/MACアドレスなど)なども取得できるようになります」と、アラクサラネットワークスの綿貫達哉氏(第一ネットワークシステム本部 マーケティング部 GL主任技師)は説明する。ポート配下にハブを介して複数のホスト群が接続されている形態にも対応。また、MACアドレスからメーカー名が分かるので、パソコンなのか複合機なのかなど、ホストの種類を推測することも可能だ。あずかり知らぬ端末がネットワークに接続された場合にアラートを発するようにもできる。
スイッチなどの機器がアラクサラネットワークス製の場合は、実機の外観を模したリアリティ溢れるグラフィックスを表示。どのポートにネットワークケーブルが接続されているのかが一目瞭然で把握できるのに加え、そのグラフィックス上でポートの開閉やVLAN(仮想ネットワーク)の設定といった操作を直感的にできるようになっている。より細かい設定については、AX-NMの中からCLI(コマンドラインインタフェース)のウインドウを開いて遠隔で制御する仕組みを備える。

機器管理台帳が常に最新であることの価値

SNMP経由で機器情報を収集する機能は、管理台帳を最新の状態に維持できるという点で魅力的だ(図2)。「現場の事情で、手作業、あるいは他のツールを使ってネットワーク機器の設定を変更することはよくあることです。そんな場合でも、AX-NMを使えば最新の状態を即座に把握できます。実態を正確に反映した管理台帳を常に手元に置いておけるという安心感は絶大ですし、そもそもの運用業務の目的である品質向上の礎になるのです」(新井氏)。ネットワークの構築や運用を請け負うインテグレータがAX-NMを使う場合には、「ネットワーク完成図書」などと呼ばれる、物理/論理構成をとりまとめた顧客向けのドキュメントをワンタッチで出力できるので重宝するだろう。

図2	ネットワーク機器の設定を変更した場合でも、最新の状態を即座に取得して管理台帳に反映できる(出典:アラクサラネットワークス)

図2 ネットワーク機器の設定を変更した場合でも、最新の状態を即座に取得して管理台帳に反映できる(出典:アラクサラネットワークス)

主にCLI経由で制御することとなるネットワーク機器の設定内容(コンフィグ)の変更履歴を管理することも可能だ。「具体的には、AX-NMにコンフィグを登録して世代管理する機能が備わっています。前回どのような変更をかけたのかも分かりますし、問題発生時に過去のコンフィグへとロールバックするといったことも容易です」(新井氏)。対象がアラクサラ製スイッチであれば、最新コンフィグを自動取得できる一方、AX-NM上で管理しているコンフィグをクリック1つでスイッチ機器に反映できる。

ユーザーの悩みに応える機能強化で今後も進化を続ける

AX-NMは2019年9月にリリース予定で、管理対象となるスイッチの台数に応じた年額制のサブスクリプションライセンスとして提供する。最初のV1.0では、これまで触れてきた基本機能を一通り取り揃え、さらに2019年度下期に向けてV1.1として機能を拡張する。例えば、VLANの設定や、ACL(アクセス制御リスト)の設定、QoS(帯域制御や優先制御)の設定などをGUI画面から設定できるようにするといった内容が計画されている。
今後の機能強化の中でも注目株となるのがゼロタッチプロビジョニング(ZTP)だ。これは、スイッチの交換や増設の際に、ファームウェアやコンフィグを自動的に投入するもので、専門知識を持つエンジニアがわざわざ現地に赴くことなくスムースに作業を完了させることが期待できる。
これは例えば、支店など遠隔地にある拠点のネットワーク機器をセンターからの指示で交換/増設するようなシーンで役立つだろう。現地とセンターとの間にAX-NMが介在し、画面上に作業チュートリアルを表示させると共に電話などで簡単に指示を出す。それに従って現地作業員が新しい機器をネットワークに接続すれば、AX-NMが認識し、当該のファームウェアやコンフィグを自動的に反映させる。AX-NMは即時に状態を確認し、もしケーブルを間違ったポートに差し込んでいるようなことがあれば、画面上に正しい接続個所を明示して作業完了をアシストする。ユーザー企業のみならずインテグレータにとっても魅力的な新機能だ。
「もちろん、機能の拡充・強化はこれで終わりではありません。使い手の悩みと正対しながら、かゆい所に手が届くツールとして常に進化させていきます。ネットワーク技術者集団の当社として、これからも磨きをかけていきますので期待してください」と綿貫氏は取材を締めくくった。

ご質問・資料請求・⾒積依頼など
以下のフォームより
お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ

ページトップへ戻る