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事例:福岡大学 様文教

  • FTスイッチ スタック リング 仮想化 IPv6 フルルート対応

フルルート収容の外部接続ルータとコアスイッチを仮想化で集約し、
スタック/リング/リンクアグリゲーションでキャンパス全体をシンプルに冗長化

80年の歴史を有し、九州屈指の総合大学として知られる福岡大学。同大学の教育研究システム「FUTURE」は、現在2万人以上の学生と教職員が利用しており、20年以上にわたって使われ続けている。そしてこのたび同大学は、「FUTURE」のネットワークを更新。コアスイッチをシャーシ型スイッチ「AX8616S」に切り替え、VRF機能によって外部接続ルータを集約。また、クロスオーバー型スイッチ「AX4600S」を集約スイッチに採用し、スタック+リングによって信頼性を向上させた。さらに、建屋スイッチとの接続にはリンクアグリゲーションを用い、シンプルな冗長化を実現している。

総合情報処理センター センター長 教授 佐藤 研一 氏

IPv6への対応と外部接続ルータの安定性を目的に教育システムのネットワークを更新

福岡大学の概要についてお聞かせください。

佐藤

福岡県福岡市にキャンパスを構える総合大学です。人文学部、法学部、経済学部、商学部、理学部、工学部、医学部、薬学部、スポーツ科学部の計9学部があり、大学院も含めて2万人以上の学生が学んでいます。私たちが所属する総合情報処理センターは、情報処理システム、情報ネットワークおよび事務情報システムの環境整備と構築の企画・立案や管理・運用などを行う部門で、大学におけるICT環境のあり方を議論しながら、日々の業務に取り組んでいます。

以前のネットワークはどのような環境で運用されていたのですか?

奥村

1994年に教育研究システム「FUTURE」が構築されて以来、約5年ごとに大規模な更新を行ってきました。前回の更新で稼働を開始した「FUTURE4」では、コアスイッチにアラクサラのシャーシ型L3スイッチ「AX6600S」を採用。エッジスイッチにはすべてギガビット対応のボックス型L2スイッチ「AX2400S」に置き換え、ネットワークの高速化を図りました。また、それまで1カ所に集まっていた機器の設置場所を、キャンパス内の物理的に離れた2カ所に分散させ、万が一の際にどちらかのネットワークが止まっても、もう一方のネットワークが生かせるよう冗長化構成をとっています。

セキュリティにも配慮されたそうですね。

藤村

従来からあるWeb認証に加え、検疫ネットワークを導入しました。今では教職員が使うPCなど約3,200台で検疫を実施しています。

佐藤

導入当初はとまどいの声もありましたが、セキュリティの脅威が拡大している昨今、「検疫がないと安心してネットワークにつなぐことができない」という意見が大勢を占めるようになりました。

今回の「FUTURE4」から「FUTURE5」への更新に際し、どんな課題があったのでしょうか。

藤村

まずは、IPv6への対応です。このタイミングでIPv6を入れておかないと、5年後では間に合わなくなってしまうと考え、末端のPCまで対応させることを目指しました。

次に学外接続ルータの更新です。これまでは、学外ルータやファイアウォールがトラブルで停止してしまうことが年に1回程度の頻度でありました。また、福岡大学で管理しているNTPサーバ(※1)は外部からの利用が非常に多く、アクセス集中による過負荷などでネットワークが不安定になることもあり、こうした問題を解消したいと考えました。

AX8616SのVRF機能を用いて外部接続用ルータをコアスイッチに集約

「FUTURE5」で実現した新しいネットワークについて、そのポイントを教えてください。

藤村

1つめは、コアスイッチをアラクサラの「AX8616S」に更新し、そのVRF機能(※2)を使って学外接続ルータをコアスイッチに仮想化して集約したことです。さらにサーバスイッチの一系統を「AX8616S」、もう一系統を「AX3650S」へ更新しています。

2つめは、建屋のネットワークを集約するスイッチを、アラクサラのコンパクトなシャーシ型スイッチ「AX4600S」に置き換えたことです。2台のスイッチを1つに束ねて冗長化するスタック(VRS)機能(※3)とリングプロトコル(※4)でバックボーンの信頼性を向上させました。

3つめは、それまでGSRP冗長(※5)で構成していた集約スイッチと建屋スイッチの間のネットワークを、リンクアグリゲーション(※6)によってシンプルに冗長化させたことです。

コアスイッチにAX8616Sを採用した理由をお聞かせください。

藤村

VRF機能でルータがコアスイッチに集約できることと、フルルート収容が可能なこと。そして最大のポイントは、止まらない安定性ですね。

奥村

コストを抑えるという観点からも、コアスイッチとルータを1台に集約するメリットは大きいと考えました。

AX4600Sのスタック/リング構成でバックボーンの信頼性を向上

集約スイッチにAX4600Sを採用した理由をお聞かせください。

藤村

コンパクトなサイズとリング/スタックの構成が可能なことです。集約スイッチをスタックで構成することで、下位の建屋スイッチとの接続をリンクアグリゲーションでシンプルに冗長化できる点も採用のポイントになりました。それまではシャーシ型スイッチのAX6600SをGSRP冗長で利用していたため、建屋スイッチとの回線はアクティブ/スタンバイ運用で1Gbpsの帯域となっていました。今回、アクティブ/アクティブ運用で帯域が二倍(2Gbps)へ増強されるのは大きなメリットでした。

奥村

また将来的には、集約スイッチと建屋は10Gbpsで接続したいと考えています。それゆえ10Gbpsの光ネットワークを多数収容できるAX4600Sは魅力的だったのです。

サーバスイッチに採用したAX8616Sについてはいかがですか。

奥村

これはPC教室用のサーバと接続するネットブート用のスイッチで、バースト性も含めたトータルのパフォーマンスがPCの起動時間に大きく影響します。そこでこの点を重視して選定を行いました。

ネットワーク 構成図
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わずかな情報をもとに試行錯誤を繰り返しながら設定を進める

スケジュールと導入の流れについてお聞かせください。

藤村

2014年4月から3カ月かけて検討し、コンペでベンダを選定。11月から構築に着手しました。それから約9カ月かけて機器の入れ替えなどを行い、2015年8月に旧ネットワークから新ネットワークに切り替えました。

移行時の苦労などありましたらお聞かせください。

藤村

今回、IPv6環境を全学で利用できることを目指して検討を行いましたが、これだけの規模のシステムを完全にIPv6化した例は多くありません。当時はIPv6の情報や事例が少ない中、何がベストなのか調べたり、考えたりするのが大変でした。そこで、アドレスの割り振り方やセキュリティなどの細かい部分を、わずかな情報をもとに試行錯誤を繰り返しながら設定を進めていきました。

ネットワークの安定性が向上するとともにネットワークスピードも高速化

今回の更新で得られた効果についてお聞かせください。

藤村

安定性が高まり、ネットワークが止まらなくなりました。また、ネットワークのスピードも大幅に向上したと感じています。定量的な測定は行っていませんが、ファイルのダウンロードなどにかかる時間はとても短くなっていますね。

奥村

主要なスイッチがアラクサラに切り替わった結果、オペレーションが統一され、アラクサラのツール(※7)を利用することで、管理が容易になりました。このことにより、運用ミスと手間の低減が期待されます。

今後の展望についてお聞かせください。

佐藤

総合情報処理センターには、学校経営に貢献していくというミッションもあります。ゆえに、これからは学生や教職員に向けて情報システム環境を提供するだけでなく、学内に蓄積されているビッグデータを教育サービスや学生の進路相談等に活用するなど、新しい施策も求められることになるでしょう。こうしたことを考えると、次回の更新も大がかりなものになることが想定されます。今後もアラクサラの協力を仰ぎながら、よりよい環境を一緒に構築していけたらと思います。

ありがとうございました。

*1
NTPサーバ:現在時刻のデータを配信しているサーバ。
*2
VRF機能:1台のスイッチの中に複数のルーティングテーブルを持たせることによって、仮想的に複数のスイッチとして動作させる機能。
*3
VRS(スタック)機能:複数のスイッチを仮想的に1台としてまとめて管理する機能。
*4
リングプロトコル:スイッチをリング状に接続することで、柔軟かつスケーラブルなシンプルネットワークを構築するアラクサラ独自のプロトコル。
*5
GSRP:アラクサラ独自の装置冗長プロトコル。
*6
リンクアグリゲーション:複数の回線を仮想的に1本の回線とすることで通信速度や耐障害性を高める技術。
*7
アラクサラのツール:AX-Networker's-Utility(ネットワーク管理単機能ツールパッケージ)。複数のスイッチのコンフィグレーション収集やソフトウェア更新などを自動で行うツール群。
社名/商品名は、各社の商標または登録商標です。

About 福岡大学

福岡大学

福岡市の南西部に広大なキャンパス空間と多くの施設群を擁する西日本屈指の総合大学。教育・研究・医療の3つの高度機能の遂行を普遍的使命とし、責任ある教育、探求心と地道な努力による研究、高い質を備えた医療に全力を傾注。加えて、地域連携も重要な社会的責務としている。「思想堅実」「穏健中正」「質実剛健」「積極進取」の建学の精神に基づいた全人教育を目標に、真理と自由を追求。自発的で創造性豊かな人間を育成し、社会の発展に寄与することを使命とする。

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