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事例:株式会社シーイーシー 様データセンター

  • FTスイッチ フルルート対応

高品質・大容量・高信頼のインターネットサービスの提供を目指し、
データセンターのコアルータをAX8600Rシリーズにリプレース

独立系SIerとして幅広いITサービスを取り扱う株式会社シーイーシーにおいて、データセンターなど各種インターネットサービスを提供しているデータセンターサービス事業部。同社は、大規模データセンターを支えるコアルータが老朽化したことをきっかけにリプレースを検討し、最終的に100ギガビットイーサネット対応のハイエンドルータ「AX8600Rシリーズ」を導入した。その結果、レイテンシーの低減による転送速度の高速化、CPUの性能向上によるパフォーマンスの強化を実現。同社が提供するさまざまなインターネットサービスを裏から支えている。

株式会社シーイーシー データセンターサービス事業部 データセンターサービス部 特別顧問 高田 寛 氏

都市型データセンターを軸に各種インターネットサービスを提供

シーイーシーの事業についてお聞かせください。

三ツ木

当社は1968年創業の独立系システムインテグレーターです。インダストリーオートメーション事業、システムインテグレーション事業、プラットフォームインテグレーション事業の3つを事業の柱とし、お客様企業の発展のための製品・サービスを提供しています。

我々データセンターサービス事業部は、ICTプラットフォームサービスの中核となっており、データセンターサービスに加え、自社ブランドのプライベートクラウドサービス「BizVision PLUS Private」とパブリッククラウドサービス「BizVision PLUS Public」を提供。データセンターは東京、神奈川、大阪および大分にあり、都市型、DR(ディザスタリカバリー)型、運用充実型など、さまざまなタイプを用意しています。

今回リプレースを行った東京第2データセンターには、どのような特長があるのでしょうか。

高田

東京第2データセンターは池袋駅から徒歩10分。アクセス、利便性ともに抜群のロケーションにある都市型データセンターです。1997年、商用のインターネットエクスチェンジ(IX)として設立された「メディアエクスチェンジ」が母体で、ISP間やISPとインターネットデータセンター(IDC)間の相互接続業務が強み。インターネットの中心に直結した高速ネットワーク(MEX)を備えているため、高品質・大容量かつ高信頼のインターネット接続サービスが提供可能で、ベンチャーから大企業まで、さまざまなお客様にご利用いただいております。

国内メーカーならではの迅速なサポート体制と円滑なコミュニケーションを評価

リプレースのきっかけを教えてください。

高田

東京第2データセンターでは、2000年代前半にアラクサラの前身である日立製作所のハイエンドギガビットルータ「GR4000シリーズ」を4台導入し、約10年にわたって使ってきました。その間、事業が拡大するにつれてユーザのトラフィックも大幅に増え、さらにインターネットユーザも増加したことに伴い、GR4000で処理できる経路数が不足してきたことが直接のきっかけです。さらに、ルータ自体も導入から年月がたち、保守部品の枯渇が懸念されていました。

三ツ木

そこで、2012年ごろからリプレースを考え始めました。2013年秋にはGR4000シリーズの後継機種である「AX8600Rシリーズ」がアラクサラからリリースされたため、このタイミングで本格的な導入の検討を開始しました。

どんな仕様を求めていたのでしょう?

高田

10Gポートを8つ以上搭載していること、ワイヤレートかつフルハードウェアフォワーディングでデータ転送ができること、経路が100万以上入ることの4点です。

データセンター事業者である私たちは、冗長性とセキュリティを高めるため、ネットワークを構成する機器を複数のメーカーで混在して使う可能性があります。よって、インターネット技術の標準規格であるRFCに則っていることこそ重要で、メーカー独自の機能は必要としていません。そこで選定においては、標準的な機能の有無や性能面を重視しました。

アラクサラの製品を選んだ理由を教えてください。

高田

海外メーカーの製品の場合、バグや故障が発生すると、製品や情報を販売会社経由で海外の本社に送って解析や修理が行われるため、問題の解決に1カ月以上かかることも少なくありません。その点、国内メーカーのアラクサラなら、故障やトラブルの際にも、すぐにエンジニアが駆けつけて対応していただける安心感がありました。

また、アラクサラの製品は品質も高く、前身である日立製作所の「GR4000」もほとんど故障しませんでした。さらにメンテナンス性にも優れ、手順書通りに作業すれば、迷うことなく対応できるのが特長です。製品自体の造りもいいですね。

三ツ木

国内メーカーだけあって円滑なコミュニケーションが可能というのも選定の理由です。実は「GR4000」の前も、アラクサラ(の前身メーカー)の製品を使っていたのですが、その際も現場の声を採り入れて、使いやすさに配慮した製品を提供していただきました。こうした背景から、これまで培ってきたやり取りを活かせるのではないかと考えたのです。

ネットワーク 構成図
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評価機を検証し、性能を確認してから1年間かけてリプレース

選定から導入までのスケジュールについてお聞かせください。

三ツ木

2013年秋から約1カ月の間、AX8616Rを評価機として借りて検証し、十分な性能が得られることを確認。正式に採用を決定しました。そして2014年1月に1台のAX8616Rを既存のGR4000と入れ替え、その後1年かけて順次リプレース作業を進め、2014年12月にすべてのコアルータをAX8616Rに更新しました。

導入時にはどのような苦労がありましたか?

高田

評価・検証の際、特定の相手先へパケットが飛ばなくなるといったバグが発生しました。アラクサラに連絡を入れたところ、即座に複数のメンバーで構成されたエンジニアチームがやってきて、現地で開発チームに症状をエスカレーションし、解析を行ってくれました。おかげでその日のうちにバグの原因を特定、その後の適切な対処もあって、迅速に問題を解決できました。

レイテンシーの短縮による転送速度の向上とCPU Congestion(輻輳)の解消を実感

東京第2データセンターのネットワーク環境について教えてください。

高田

コアルータは3台のAX8616Rによって構成されています。このコアルータを中心に、ネットワークの上流はアグリゲーションスイッチとエッジルータを介してインターネットエクスチェンジ(IX)やトランジットなどのネットワーク事業者と接続。ネットワークの下流もアグリゲーションスイッチとエッジルータを介して当社のユーザ企業のネットワーク、シーイーシーの社内ネットワーク、当社のクラウドサービスとつながっています。

コアルータは当社のすべてのサービスの中核を為すものであり、停止は許されません。そこで3台のAX8616Rでアクティブ-アクティブの冗長構成を組み、耐障害性を高めています。

導入の効果をお聞かせください。

高田

レイテンシーが低くなり、転送速度が速くなりました。定量的に速度を測定したわけではありませんが、実際に使ってみると1パケット目の遅れがなく、トラフィックグラフのピーク値も入れ替え前より高くなっていることから、これまで詰まっていたパケットの流れがスムーズになったと思われます。

三ツ木

ルータのCPU速度も速くなりました。ルータのCPUに高い負荷がかかるとCPU Congestion(輻輳)というアラートがメールで通知される運用をしているのですが、昨今ではDDoS攻撃などでルータへ宛先のないパケットや挙動の怪しいパケットが飛んでくることも多く、ルータはこれらの挙動に対応するためCPUリソースを使い切ってしまうケースが増えています。そのため、本来処理すべき経路情報のパケットが来ても反映するのに時間がかかり、通信が滞ってしまうことがありました。

AX8616Rに入れ替えてからは、輻輳のアラートが上がってくることはめっきり少なくなりました。CPU性能が向上したことに加え、DDoS攻撃などを受けてもCPU負荷が上がらないように工夫していると聞いています。経路変更も短時間に反映されるようになり、より安定したネットワークが実現しています。

冗長性確保に向けて、フルルートに対応した小型エッジスイッチの登場に期待

今後の展望やアラクサラに対する期待についてお聞かせください。

高田

コアルータは更新できましたが、エッジルータとして使える製品がまだアラクサラから出てきていません。現在、エッジルータは海外メーカーの製品を使っていますが、できるだけ複数メーカーの製品を使ってリスクを分散させ、冗長性を確保したいと考えています。そのため、アラクサラからフルルートに対応した小型のエッジルータが登場することを期待しています。

三ツ木

運用担当者からすると、もっと細かいレベルでルータから出力するログ項目のオン・オフが選択できたり、レベル別に項目をカスタマイズできたりするとありがたいですね。

ありがとうございました。

社名/商品名は、各社の商標または登録商標です。

株式会社シーイーシー

株式会社シーイーシー

データセンター、クラウドサービス、ネットワーク、運用管理、ソリューションに関するビジネスを展開。データセンター事業では、堅牢なファシリティーと強固なセキュリティを確保したデータセンターを東京・神奈川・大阪・大分に設置。ネットワークサービスは、国内主要IXに直結したMEXバックボーンを利用して、高品質・大容量のサービスを提供している。

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