事例:公立大学法人 秋田公立美術大学様
アラクサラのスイッチを活用し有線と無線の認証方式を一元化
セキュアで快適な無線LAN環境を実現
北海道・東北地方の公立大学としては唯一の美術系大学である秋田公立美術大学。同大学は2013年4月、前身の秋田公立美術工芸短期大学を母体として、4年制大学として開学したが、このタイミングで学内のネットワーク環境を一新。これまで一部の利用に限定していた無線LAN環境を、全学で整備することになった。最大の懸念点はセキュリティの確保にあったが、アラクサラネットワークス(以下、アラクサラ)のスイッチを活用したWeb認証で有線と無線の認証方式を一元化、学生が快適かつ安全にネットワークを利用できる環境を実現した。今後はタブレットを使った一斉授業など、さまざまなかたちで新ネットワークの活用を検討している。
もくじ
前身の短大時代から先進的なネットワーク環境を導入
秋田公立美術大学についてお聞かせください。
北嶋
秋田公立美術大学は、2013年4月、前身の秋田公立美術工芸短期大学を母体として、4年制大学として開学しました。北海道・東北地方の公立大学としては唯一の美術系大学で、学生も全国から集まっています。また、女子学生の比率が8割と高いのも特徴です。古い概念にとらわれず、新しい芸術領域の創造にも積極的に挑戦。グローバルに活躍できる人材の育成に加え、イベントへの参加などを通じたまちづくりへの貢献や地場産業の振興など、地域社会とともに歩む大学を目指しています。
学部は美術学部の中に5つの専攻がありますが、総合入試となっており、学生は1~2年次には各専攻に分かれず「絵画」「彫刻」「工芸」「デザイン」などを横断的に学びます。そして、3~4年次から各専攻に所属し、それぞれの専門科目でより高度な知識や技術を身に付けていくのです。
これまでのITに対する取り組みを教えてください。
野村
本学の特長として、美術系の大学でありながら、情報教育にも力を入れてきたことが挙げられます。私は1995年に短大が開学したときから情報教育を担当しており、以来ずっと学内の情報システムを見てきました。当時はインターネットの黎明期で、まだISPによるサービスの提供も始まっていませんでしたが、秋田大学を通じてTOPIC(東北学術研究インターネットコミュニティ)に接続し、ホームページもいち早く設置。学内に光ファイバーを敷設し、当時としては先進的な環境を整備していました。
北嶋
現在、学内にはコンピュータ室が全部で7室あり、端末の内訳は、学生定員420人に対しMacが5教室で122台、情報教育用PC(Windows/Linux) が2教室で82台です。これらの端末は講義がない時間は学生に開放されており、夜9時まで作品制作などに自由に使うことができます。
4年制大学への移行に合わせて無線LAN環境の整備を目指す
今回、ネットワークを更新された狙いについて教えてください。
北嶋
直接のきっかけは、4年制大学への移行に伴って学生数が増加するため、新棟を建設したことにありますが、もう一つの理由は、ITインフラを巡る状況の変化で、これからは無線LAN環境が必須と考えたからです。
無線LANそのものは、短大時代の5年前から一部に限定して試験的に導入していました。限定の理由は、無線という目に見えない通信環境で、本当にセキュリティは大丈夫なのかという不安があったからです。それに当時は、暗号強度の弱いWEPにしか対応していないデバイスが多かったという事情もあります。
野村
しかしスマートフォンやタブレットの普及が進み、学生が当たり前のようにそうした端末を持つ現在、全学的な無線LAN環境の整備は不可欠です。そこで、すでに整備済のネットワークの上に無線LAN環境を追加し、それをすべての授業で自由に活用できるようにすることを目指しました。
ネットワークに求める要件は何でしょうか。
北嶋
本学は、デザイン系はMac、建築系ではWindowsと専攻によって使うOSが異なります。 また、使用するソフトもIllustratorやPhotoshopをはじめ多岐に渡っています。それゆえネットワークには、こうした環境の異なるさまざまな端末が確実に稼働することが求められます。加えて、学生の個人情報など大切な情報を扱うという意味で、しっかりとしたセキュリティも必須条件です。
過去6年トラブルは皆無。アラクサラ製品の信頼性を評価
新たなネットワーク環境の構築において、アラクサラのスイッチを選択した理由を教えてください。
北嶋
具体的な選定作業にあたっては、2012年に野村教授を中心に学内で検討を始めました。検討にあたり、まず重視したのが安定性とセキュリティです。さらに今後の活用といった発展性も含め、いかに学生へ利便性を提供できるかも考慮しました。この3つの要素を高度なレベルで両立させたいと考え、アラクサラ製品の採用を決定しました。
実は本学には6年前からアラクサラ製品が入っていました。その機器のリース期間である6年間、20数台の機器について、故障やトラブルは皆無でした。これこそ、私たちがアラクサラ製品を最も高く評価した点です。
野村
アラクサラ製品を導入する前は他社製品を使っていたのですが、数年もたつと何台かは故障してしまいました。本学では工房などにも機器を設置しており、こうした場所は埃なども多いことから、精密機械にとって過酷な環境です。しかしこうした中でも、アラクサラ製品は安定したネットワーク環境を実現してくれました。また、しっかりとしたサポート体制が整っていることも安心感につながっています。
アラクサラのスイッチによるWeb認証を活用しセキュアな無線環境を実現
無線LAN環境のセキュリティも課題だったそうですが。
北嶋
セキュリティ性の高いWPA2による無線アクセスポイントでの認証はもちろんですが、それだけでは不安もありました。そこで、アラクサラの「AX2530S」を活用し、有線・無線いずれの環境においてもユーザ個別のIDとパスワードを用いてWeb認証を行う仕組みを構築したのです。
野村
有線と無線の認証方式を一元化することで、ユーザの利便性を損なうことなく、セキュアな無線LAN環境を実現することができました。今では、学生個人のノートPC、スマートフォンやタブレットなどによるネットワークへのアクセスを認めています。これにより、学生たちは学内でいつでも自由にこれらの端末を使用できるようになりました。
また今回は、PoE(Power over Ethernet)スイッチの「AX2230S」も採用しています。これは無線LANのアクセスポイントなどを設置するにあたり、配線をスッキリ整理したかったという理由がありました。現在、多いところでは、PoEスイッチに最大10台の無線アクセスポイントを収容しています。加えてPoEスイッチとしての利用だけでなく、有線の島ハブや情報コンセントを収容するスイッチとして、ミックスでの運用も行っています。こうした混在が許される点も、アラクサラ製品の魅力のひとつですね。
講義や制作作業を高いパフォーマンスで支える
新しいネットワークの利用状況や、ユーザの反応はいかがですか。
北嶋
構築作業が始まったのは2013年9月で、2か月後の11月にカットオーバーしました。本格的な評価は4月に新入生が入ってきてからというところもありますが、現在、新ネットワークのパフォーマンスは良好ですし、無線LANも学生によって活発に活用されています。
野村
学生、教職員を問わず、講義棟以外で使われることも少なくありません。本学には、旧国立農業倉庫(米蔵)を改修した実習棟があり、そこで工芸やデザインの実習を行っています。この棟では制作作業を行っており、学生は常設されたPCも利用できますが、作業中にいつでもインターネットを使って検索などできた方が制作の助けになります。そこで、ノートPCやスマートフォン、タブレットなどを持ち込んで無線LANにつなぎ、制作作業の傍ら、情報検索などを行えるように設計。実際、そのように利用されることが多いようです。
北嶋
学内情報システム(学内ポータル)では、メール、学生へのお知らせ、掲示板、図書の貸し出し、履修登録、ファイル共有といった学生向けのサービスのほか、財務会計や教務のシステムなどを提供しています。
野村
本学は美術系大学であるため、Illustrator、Photoshop、動画など、数メガ、数十メガ単位の重いデータがネットワークを通じて頻繁に行き交っています。こうしたやりとりも、ネットワーク全体のパフォーマンスに悪影響を与えることはないようです。
今後の活用について教えてください。
野村
来年度からは、最大180人を収容できる大講義室で、タブレットを使った一斉授業を行うことも検討しています。そうした場合でも、安定したネットワーク環境があれば安心です。このほか、タブレットを活用したフィールドワークの実施を考えている先生がいらっしゃいますし、今後、新ネットワークが果たす役割はますます大きくなると考えています。
ありがとうございました。
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公立大学法人 秋田公立美術大学
秋田公立美術大学は、2013年4月、前身である秋田公立美術工芸短期大学が4年制大学へ移行し開学。北海道・東北地方の公立大学としては唯一の美術系大学である。同大学は、「新しい芸術領域を創造し、挑戦する大学」「秋田の伝統・文化をいかし発展させる大学」「秋田から世界へ発信するグローバル人材を育成する大学」「まちづくりに貢献し、地域社会とともに歩む大学」という4つの理念を掲げており、古い概念にとらわれることなく、新しい芸術領域の創造に挑戦している。