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事例:宮崎県立看護大学様文教

  • FTスイッチ
  • 認証
  • 装置の省エネ

宮崎県立看護大学は、4年制の公立大学として、地域医療の発展に貢献する看護職を育成している。効率的・効果的な学習環境を提供する同大学は、ネットワーク機器のリプレースを機に、住商情報システムのネットワーククオリティ向上フレームワーク「QUALINET™」を採用。ネットワークの核となるスイッチにアラクサラネットワークスのスイッチ「AXシリーズ」を導入して新たなネットワーク環境を構築し、MAC認証によるセキュリティ環境を整備した。今後も同大学は継続して学内ネットワークの高度化を推進していく。

宮崎県立看護大学 看護学部 准教授 長坂 猛 氏
宮崎県立看護大学 総務課 財務担当 主幹 松田 正浩 氏

ネットワークを活用した教育を推進するためMAC認証の導入を決断

九州初の公立看護大学として、1997年に開学した宮崎県立看護大学。教育目的に「人々の健康と福祉の向上に貢献できる人材を育成するとともに、看護学および関連する学問領域の発展に寄与すること」を掲げ、高度な看護教育を実践している。宮崎県の看護教育の未来を担う指導者の育成にも注力しており、総務課財務担当主幹の松田正浩氏は「大学院を併設し、宮崎県の看護教育のレベルアップと後進を育成する役割も担っています」と語る。

宮崎県立看護大学では、学内の各講義室・実習室に最新のAV機器を設置するとともに、学内LANを整備して効率的な学習環境を提供している。ネットワークを利用して、情報の検索や発信を行ったり、国内外の大学と交流を図り、教員や学生はグローバルな視野の幅を広げることができる。しかし、同大学の以前の環境では教職員と学生がネットワークにアクセスする際、部分的にWeb認証を専用スイッチで行っていた。准教授の長坂 猛氏は「IDとパスワードで行うWeb認証は、セキュリティの面で不安がありました。また、海外の看護大学とネットワークでつないで対話形式の講義を行う際も、たびたび実行しなければならないWeb認証が煩わしく思っていました。現状の運用を考慮して今回は、認証の手間を省力化するMAC認証*1への切り替えを検討しました」と説明する。

さらに、ハードウェアのメンテナンスも課題となっていた。本館のコンピューター室には、シャーシ型のコアスイッチが冗長構成で2台、認証スイッチが2台、さらに13台のサーバが配置されていた。そのため機器が発する熱量が多くなり、安定稼働と、障害発生時のメンテナンスに不安があったという。

そこで同大学は、ハードウェアのリース切れを機に、情報ネットワークの刷新を決断した。

冗長構成を維持したままコアスイッチの台数を削減

宮崎県立看護大学は2010年7月、ネットワークシステムを住商情報システムのネットワーククオリティ向上フレームワーク「QUALINET™」の核となるアラクサラネットワークスのスイッチAXシリーズで構築。2010年9月から新ネットワークシステムの本稼働をスタートした。

選定ポイントについて長坂氏は「MAC認証への対応を筆頭に、ネットワークが止まらない冗長性、復旧の容易性など、当校が求める仕様をすべて満たしていました」と振り返る。導入に際しても「住商情報システムのSEは、ネットワークの設定ひとつをとっても、作業を始める前の段階で丁寧に説明し、いくつかの選択肢を提示した上で進めていきました。」と長坂氏は評価する。

同大学が構築したネットワークは、コアスイッチにアラクサラネットワークスのエンタープライズ向け10ギガビットスイッチ「AX6304S」を採用し、本館のコンピューター室に1台配置している。AX6304Sは、1台の装置に2台分の機能を実装するフォールト・トレラント・スイッチ*2によって冗長性が確保されているため、今まで2台使っていたコアスイッチは、1台のAX6304Sに集約されたことになる。
さらに今回、講義室や各研究室、演習室などがある教育研究棟にも新たにAX6304Sを1台設置し、本館のAX6304Sと10Gネットワークで接続した。教育研究棟に設置したAX6304Sは、各フロアに配置したL2スイッチ「AX2430S」と接続し、認証サーバによってMAC認証を行っている。

また、本館のコンピューター室に設置されていた13台の物理サーバは、仮想化技術を用いて4台の物理サーバに集約。サーバ台数が約3分の1になり、コンピューター室の設置スペースと発熱量の削減に貢献している。


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ネットワークの安定化・高速化でストリーミングを活用した講義が活発化

新ネットワークの導入により、同大学のインフラ・ネットワーク環境は大幅に改善された。

現在、教育研究棟のLL教室、情報処理室、臨床看護実習室などに置かれた100数十台のクライアントPCが、MAC認証によってネットワークに接続しているほか、ネットワークプリンター、ネットワークスキャナー、各研究室の教授用パソコンもMAC認証によって接続している。附属図書館では、学生の館内利用向けに貸出用ノートパソコンを10数台用意し、MAC認証でネットワークアクセスを制御。学生や外来利用者が勝手に持ち込んだパソコンからは、学内ネットワークにアクセスできないようにセキュリティが担保されている。

「MAC認証の導入により、セキュリティレベルの強化が実現しました。また、煩わしかったWeb認証の手間がなくなり、ユーザビリティは大幅に向上しています。Web認証の頃は、ユーザーから「認証のやり方がわからない」「IDとパスワードを忘れた」といった問い合わせが、私や保守担当者に寄せられていましたが、現在はそれらの問い合わせもありません」と長坂氏。

さらに、教育研究棟内にコアスイッチのAX6304Sを設置したことで、ネットワーク高速化が実現。ストリーミング動画も滑らかな画像で、ストレスなく見られるようになった。長坂氏は「従来のネットワークでは、海外の先生の授業をストリーミング配信する際、画像のフリーズが心配で、接続する人数を制限していました。新ネットワークでは、100人程度の学生が一斉にアクセスしてもフリーズする恐れが少なくなり、安心して授業に活用できるようになりました」と評価する。

スイッチの保守についても、従来は障害発生時に業者に依頼していたリストア作業が、AX6304Sでは、バックアップデータが入ったSDカードを本体に差し込むだけでできるようになったことから、メンテナンス性も向上した。

また、本館のコンピューター室に設置していたスイッチとサーバの台数の削減によって機器が発する総熱量は大幅に減り、機器冷却用のクーラーの稼働率も縮小されている。管理台数の削減はさらに、今後の障害対応にも貢献するはずだ。

検疫ソリューションの導入でさらなるセキュリティ強化を推進

宮崎県立看護大学は、今後の展望としてセキュリティの強化をポイントに挙げている。将来は検疫ソリューションの活用により、パッチ未適用端末をチェックしたり、情報漏えいの原因となるファイル交換ソフトなどの不正インストールをチェックしたり、ウイルス感染PCを検知したりするなどして、ポリシーに合わない端末を排除していく方針だ。「情報セキュリティに関しては、県の方針に従いつつ対策を進めている状況。現在、県は保有する全パソコンにインストールされているソフトの状況を調査中であり、可視化に向けた取り組みを進めています」と松田氏は語る。

宮崎県立看護大学は看護大学という特性上、臨床実習では患者の個人情報を扱う機会も多く、より強固なセキュリティ対策が求められる。また、県の教育機関として、安定したサービスを提供し続けなければならない。このような使命がある中、同大学は要件を満たすインフラ環境が構築できた。同大学の事例は、ネットワークの安定化・高度化を目指す多くの企業・団体の参考になるだろう。 

ネットワーククオリティ向上フレームワーク「QUALINET™」(クオリネ)とは

ネットワークの構築において、コンサルティングから製品販売、導入、サポート、保守まで、住商情報システムがワンストップで提供するサービス。住商情報システムと製品開発元とが相互連携し、製品導入から運用支援まで一貫して支援を行う体制だ。その中で、アラクサラネットワークスのスイッチAXシリーズは、QUALINET™のネットワークインフラの中核を担うソリューション。単独でネットワーク認証や検疫セキュリティを実現したり、ネットワーク機器の省電力に貢献したりするほか、他社のソリューションと連携することで通信の安定化やさらなるセキュリティレベルの向上を実現する。QUALINET™は現在、「ミッションクリティカルネットワーク」「ネットワーク認証・検疫セキュリティ」「通信保護、安定通信」「SLM(ServiceLevelManagement)」「ネットワークグリーンIT化」の5つのソリューションで構成されているが、今後もネットワークの進歩に合わせて、ソリューションメニューを追加していく予定だ。

  • *1 MAC認証:スイッチに接続された端末のMACアドレスで認証する方式。
  • *2 フォールト・トレラント・スイッチ:1台に2台分の装置を実装してシステムの冗長性を確保したスイッチ。

宮崎県立看護大学

宮崎県立看護大学

宮崎県立看護大学は、宮崎市のまなび野に拠点を置く4年制の看護大学。学部生は1学年約100名、4学年合わせて約400名を擁する。卒業生は宮崎県内を中心に、各地の医療機関で看護職として従事。地域医療の発展に貢献している。大学院も併設しており、博士前期課程、博士後期課程において、看護学の発展に貢献する看護教育者の育成を行っている。

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