事例:学校法人・専門学校 HAL大阪様
信頼性・運用性を高めつつHAL大阪を支えるネットワークを構築
情報インフラを担うネットワークの停止は業務の停止にも直結するため、適切に管理・運用する必要がある。しかし、管理者を配置できない企業にとって、それらの管理・運用負荷は非常に大きくなり、管理・運用が破綻する企業も増えている。今回、アラクサラ製品を導入したHAL大阪も、既存のネットワーク環境の管理・運用コストの増大が課題となっており、リプレースを機にそれらの一掃を図ったのである。
運用負荷の増大を嫌いすべてのスイッチをアラクサラに変更
HAL大阪は、1984年に開校して以来、多くのクリエイターを生み出してきた専門学校であり、ゲーム学部やIT学部、CG学部などITに深くかかわるコースはもちろん、カーデザイン学部やロボット学部、ミュージック学部、国家資格取得学部など幅広いコースが用意されている。
同校は、技術やテクノロジーを学ぶだけにとどまらず、創造性開発を主体にクリエイティブ面にも注力し、またコンテストなどにも精力的に参加。直近では大阪市消防局の防火ポスターデザインで最優秀賞を獲得し市内全域に掲示される。それが縁で、現在では地震体験車のラッピングデザインまでも依頼されるようになっている。
産業界とのコラボレーションも進めている。任天堂Wiiなどの最新家庭用ゲーム機の開発環境も数多く導入。プロフェッショナルと同様の開発環境を整えることにとどまらず、企業の求めに応じ、映像やゲームの一部を同校学生が制作することもある。
「企業から課題を与えられ、それに応えた作品を納品しています。映像であれば著名な映画や愛知万博のメインステージでも使われました。産学連携により、制作現場の雰囲気や厳しさなども肌で感じることができます。卒業後は企業の即戦力となります。」と統轄責任者の寺田延生氏は語る。
HAL大阪は、1999年に新校舎に移転した。当時は、インターネットが一般に浸透し始めた時期とも重なっている。
「ちょうどPC環境が急速に変わっていった時期です。必要なポート数も年々増加し続けていました。学生に一人一台のPCを使うようになってから、必要なポートは一気に増加しました。毎年、LAN教室の増設工事を行い、そのたびにコアに負荷がかかり続けました。また、すべての教室でインターネットにアクセスできるようにした結果、ネットワークが遅く感じられるようにもなりました。ネットワークは学生だけでなく、基幹業務や事務作業でも利用するため、さらなるパフォーマンスの向上が必須でした。HAL大阪には法人全体(東名阪)の業務サーバが集約しています。そこで是非、10G化したいと考えていました。また、今年竣工した東京・名古屋の総合校舎が10G化を予定していたことも10G化を進めたかった理由の1つです」と教務部・主事/IT・WEB開発担当の浅田正雄氏は、当時を振り返る。
工事のたびに、必要なスイッチなどを調達し、LAN回線も新たに引き回していた。スター型であるため、都度コアに回線を接続する必要も生じた。その運用負荷は相当なものだったであろう。また、既存のコアスイッチでのネットワーク運用にも不満があった。熱暴走などを繰り返しており、より堅牢で信頼性の高い製品を求めていたのだ。
「今回は、ネットワークのリプレース時期だったこともあり、コアからエッジまですべてのスイッチを変更することにしました。どのフロアであっても即使えるようにトポロジーもリング型に変更したいと考えていました」(浅田氏)。
同校は、市場ニーズに応じ、学科の新設などを行う。ネットワークインフラは柔軟に使えることが何よりも求められていたのである。
リング型でシンプルなネットワークを
ネットワークトポロジーは、スター型ネットワークとリング型ネットワークがある。リング型ネットワークにすることで、シンプルなネットワークを構築できるほか、スイッチを増設する際も、ケーブルダクトの工事も不要となりフロア内だけで完結する。また、ケーブリングの経路切り替えも高速なため、ネットワークの信頼性を向上し、業務への影響もない。世の中のニーズに合わせて、毎年カリキュラムを革新する同校にとって、ネットワークの口だけを用意しておけば、柔軟にネットワークを増設できるリング型のメリットは非常に大きい。また、アラクサラリングであれば、非常に柔軟なリング設計を行えるため、あらゆる顧客ニーズに応えることも可能だ。
今回HAL大阪は、アラクサラ製品で校内のネットワークを統一した。「当校の要望を十分理解していただいた上、コスト面でも最もバランスがよかったのがアラクサラでした。他社よりもバックボーンが太いということや設置スペースが少なくてすむというメリットも魅力的でしたね」(寺田氏)。
HAL大阪は、これまで1台でラックが埋まってしまうほど大型のスイッチを採用していたということだ。巨大なスイッチを設置することは、それだけのスペースを占有することになる。スペースコストも相当なものになり、そのスペースを用意するのも容易ではない。冗長化構成をとる場合には、必要なスペースが2倍になる。省スペースで設置できるのであれば、コスト面のメリットも大きい。
学生の間違いで「ループ」が発生
「導入直後、ネットワークが落ちてしまう障害が起きました。内線もPCも利用できず、業務が停止するほどのインパクトがありました。これは学生がスイッチにケーブルの両端を入れてしまいループしたのが原因です。」(浅田氏)。
同校の場合、校舎間の広域内線にはIP電話、業務に使うPCはシンクライアントを採用していた。ネットワークが使えなければ、当然電話やPCの利用はできない。さらに、業務サーバを設置していた関係上、名古屋、東京の業務にも支障がでてしまう。
「原因がどこにあるのか、人海戦術で探しました。最初は、バックボーンの障害も疑ったのですが、最終的に"つなぎ間違い"によるL2ループが原因ということを突き止めたのです。学生のちょっとしたミスで、基幹までおよぶ障害につながるのだと実感した事故でしたね」(寺田氏)。
同校は、学生が実習によりネットワークを触るという特殊な環境にあるため、このような事故が起きてしまったのであるが、ネットワークポートは、以前と比べ身近な存在となっている。ループなどもいち早く検知し、対策する必要があるだろう。同様の事故は、いつ起きるかわからない。そのときのインパクトは相当なものである。
現在は、スイッチのファームウェアをバージョンアップし「ループ検知」を実現している。たとえ、同様の「つなぎ間違い」を起こしても、そのポートを自動的に閉塞し、ネットワーク全体に影響が波及することにはならない。信頼性と運用性が飛躍的に向上した。
「当校は、教育系ネットワークのみの管理者を配置していません。教官が兼務しており、授業の合間などに"面倒"を見ているのが実態です。そのため、可能な限り自律的な運用をしてほしいというのが理想です。"ループに注意"といっても学生はしてしまいますからね」(浅田氏)。
ネットワークの安定稼働を実現ユーザーの声に応えるアラクサラ
アラクサラは、HAL大阪の要望にきめ細かに応えている。ネットワークの使用が前提となった情報システムを支える責務は大きい。HAL大阪は、管理者以外がネットワークを変更する可能性がある、といった特殊な環境ではあるが、今回の事例は、そのような声にもいち早く対応する体制作りが実現している証しと言えよう。
「今後は、運用負荷の軽減をさらに実現できればと考えています。教育系ネットワークにも専任の管理者を配置できれば良いのですが、実際にはカリキュラムにも精通している必要があり、やはり教官が兼務することになります。アラクサラの場合、マニュアルも日本語で海外製品と比べて扱いやすいので助かっています。あとは、管理者のスキルにかかわらず、設定やネットワークの状態確認ができるような手段があれば、と思います」(浅田氏)。
HAL大阪のネットワークが安定稼働しているからこそ、次の運用に目がいっているのだろう。
アラクサラは、次世代のエンジニア/クリエイターを育てるHAL大阪のネットワークを支えている。今後、巣立った学生は、さまざまな分野で存分に活躍することだろう。そういった意味では、アラクサラは次世代を創出する支援をしているのだ。
アラクサラは、様々な分野のプロフェッショナルを育成するHAL大阪のネットワークを支えている。
HAL大阪
1984年に開校して以来、すぐれた技術者・クリエイターを世に輩出している。ゲーム学部やIT学部、CG学部などITに深くかかわるコースはもちろん、カーデザイン学部やロボット学部、ミュージック学部、国家資格取得学部など、IT・デジタルコンテンツ業界をカバーする昼・夜計24学科が用意されている。姉妹校としてHAL東京・名古屋、東京・大阪・名古屋モード学園、大阪・名古屋医専、首都医校など国内に9校。パリにクレアポールがある。