解説書 Vol.2
この節で説明する機能ブロックの位置を次の図に示します。
図1-9 優先度指定の位置づけ
- <この節の構成>
- (1) フロー単位による優先度決定
- (2) DSCP値による優先度決定
- (3) ユーザ優先度による優先度決定
- (4) 構成定義情報で優先度を決定できるパケット
- (5) 優先度設定時の注意事項
(1) フロー単位による優先度決定
入力パケットが属するフローを検出し,該当するフローに対応する出力優先度とキューイング優先度を決定しQoS制御を実施します。
(2) DSCP値による優先度決定
入力IPパケットのDSCPフィールドの値によって出力優先度とキューイング優先度を決定してQoS制御を実施します。DSCPはIPv4パケットではTOSフィールドの上位6ビット,IPv6パケットではトラフィッククラスフィールドの上位6ビットに当たります。
表1-4 TOS値に対応する優先度
precedence TOS値 出力優先度 キューイング優先度 0 0〜31 1 4 1 32〜39 2 1 40〜47 2 4 48〜55 2 3 56〜63 2 2 2 64〜71 3 1 72〜79 3 4 80〜87 3 3 88〜95 3 2 3 96〜103 4 1 104〜111 4 4 112〜119 4 3 120〜127 4 2 4 128〜135 5 1 136〜143 5 4 144〜151 5 3 152〜159 5 2 5 160〜191 6 1 6 192〜223 7 1 7 224〜255 8 1
(3) ユーザ優先度による優先度決定
Tag-VLAN連携のユーザ優先度フィールドの値によって出力優先度を決定して,QoS制御を実施します。
(4) 構成定義情報で優先度を決定できるパケット
IPパケット種別ごとに構成定義情報によって優先度を決定できるパケットと,構成定義情報の設定内容に関係なく固定的に優先度が決定するパケットがあります。
パケット種別ごとの優先度を「表1-5 パケット種別ごとの優先度」,「表1-8 グループ帯域制御・16VLL帯域制御指定時のパケット種別ごとの優先度」,「表1-9 64VLL帯域制御指定時のパケット種別ごとの優先度」に示します。
表1-5 パケット種別ごとの優先度
パケット種別 全IPパケット優先度指定機能※1 RP種別 IPフロー
検出条件
の状態出力回線の
キュー数ごとの出力優先度※2キューイング優先度 4 8 16 32 64 250 1000 本装置が生成するARP(ARP Request/ARP Response)パケット 有効・無効 − − 4 8 16 32 64 250 1000 4 本装置が生成するレイヤ2パケット(WAN) 有効・無効 − − 4 8 16 32 64 250 1000 4 本装置が生成するIPv4パケット※5
(RIP,OSPF,BGP,telnet,ftp,snmp,igmp,pimなど)無効 − 一致・
不一致4 8 16 32 64 250 1000 4※4 有効 − 一致 ※3※5 不一致 4 8 16 32 64 250 1000 4※4 本装置が生成するエラーを通知するためのIPv4 ICMPパケット 無効 − 一致・
不一致2 4 7 13 25 98 392 1 有効 − 一致 ※3 不一致 2 4 7 13 25 98 392 4 本装置が中継する次のIPv4パケット
- オプション(IPヘッダ)付きパケット
- フラグメントしたパケット
- 方向転換(Redirect)したパケット
- ARP未解決パケット
- DVMRPトンネルインタフェースに送出するDVMRPカプセル化パケット
無効 − 一致・
不一致2 4 7 13 25 98 392 4 有効※5 − 一致 ※3 不一致 2 4 7 13 25 98 392 4 上記以外のIPv4パケット 有効・無効 − 一致 ※3 不一致 2 4 7 13 25 98 392 4 本装置が生成するIPv6パケット 有効・無効 − 一致 ※3 不一致 4 8 16 32 64 250 1000 4 本装置が中継するIPv6パケット 有効・無効 − 一致 ※3 不一致 2 4 7 13 25 98 392 4 (凡例) −:該当しない
注※1 全IPパケットの優先度をflow構成定義によって指定できるようにする機能です。
注※2 出力優先度はパケットを積むキュー番号を意味します。
注※3 flow qos構成定義で指定した優先度です。
注※4 本条件でパケットを中継する場合,パケットを受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式を「表1-6 受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式」に示します。
注※5 本装置が生成するIPv4パケットの一覧を「表1-7 本装置が生成する主なIPv4パケット」に示します。
表1-6 受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式
RP種別 優先度指定方式 入力側 出力側 AX2000R内蔵RP AX2000R内蔵RP 入力側,出力側で指定した優先度を両側で指定した場合は出力側で指定した優先度
パケット名称 プロトコル(番号) ポート番号 タイプ番号 備考 Echo Reply ICMP(1) − 0 エコー応答(ping) Echo − 8 エコー要求(ping) Membership Query IGMP(2) − 17※3 メンバーシップ要求 Version1 Membership Report IGMP(2) − 18※3 バージョン1のメンバーシップ報告 ftp TCP(6) 20,21※1 − − telnet 23※1 − − time 37※1 − − www 80※1 − − bgp 179※1 − − rlogin 513※1 − − echo UDP(17) 7※2 − − time 37※2 − − bootps/bootpc 67,68※2 − DHCP ntp 123※2 − − snmp 161※2 − − sysylog 514※2 − − rip 520※2 − − ospf 89 − − − (凡例) −:該当しない
注※1 送信元ポート番号および宛先ポート番号の片方がこのポート番号です。
注※2 送信元ポート番号がこのポート番号です。
注※3 IGMPバージョンとIGMPタイプを合わせたものがこのタイプ番号です。
表1-8 グループ帯域制御・16VLL帯域制御指定時のパケット種別ごとの優先度
パケット種別 全IPパケット優先度指定機能※1 IPフロー
検出条件
の状態出力グループ番号と
出力優先度※2キューイング優先度 グループ数
2までグループ数
3以上本装置が生成するARP(ARP Request/ARP Response)パケット 有効・無効 − (グループ1)
4(グループ16)
44 本装置が生成するレイヤ2パケット(WAN) 有効・無効 − (グループ1)
4(グループ16)
44 本装置が生成するIPv4パケット※5
(RIP,OSPF,BGP,telnet,ftp,snmp,igmp,pimなど)無効 一致・
不一致(グループ1)
4(グループ16)
44※4 有効 一致 ※3※5 不一致 (グループ1)
4(グループ16)
44※4 本装置が生成するエラーを通知するためのIPv4 ICMPパケット 無効 一致・
不一致(グループ1)
2(グループ8)
11 有効 一致 ※3 不一致 (グループ1)
2(グループ8)
14 本装置が中継する次のIPv4パケット
- オプション(IPヘッダ)付きパケット
- フラグメントしたパケット
- 方向転換(Redirect)したパケット
- ARP未解決パケット
- DVMRPトンネルインタフェースに送出するDVMRPカプセル化パケット
無効 一致・
不一致(グループ1)
2(グループ8)
14 有効※5 一致 ※3 不一致 (グループ1)
2(グループ8)
14 上記以外のIPv4パケット 有効・無効 一致 ※3 不一致 (グループ1)
2(グループ8)
14 本装置が生成するIPv6パケット 有効・無効 一致 ※3 不一致 (グループ1)
4(グループ16)
44 本装置が中継するIPv6パケット 有効・無効 一致 ※3 不一致 (グループ1)
2(グループ8)
14 (凡例) −:該当しない
注※1 全IPパケットの優先度をflow構成定義によって指定できるようにする機能です。
注※2 出力優先度はパケットを積むキュー番号を意味します。出力グループのキュー数は4固定です。
注※3 flow qos構成定義で指定した優先度です。
注※4 本条件でパケットを中継する場合,パケットを受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式を「表1-6 受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式」に示します。
注※5 本装置が生成するIPv4パケットの一覧を「表1-7 本装置が生成する主なIPv4パケット」に示します。
注※6 16VLL帯域制御の場合は,出力グループ番号は出力VLL番号となります。16VLL帯域制御については,「1.8.6 帯域制御(トラフィック指定)」を参照してください。
表1-9 64VLL帯域制御指定時のパケット種別ごとの優先度
パケット種別 全IPパケット優先度指定機能※1 IPフロー
検出条件
の状態出力VLL番号と出力優先度※2※7 キューイング優先度 本装置が生成するARP(ARP Request/ARP Response)パケット 有効・無効 − (VLL64)4 4 本装置が生成するレイヤ2パケット(WAN) 有効・無効 − (VLL64)4 4 本装置が生成するIPv4パケット※5
(RIP,OSPF,BGP,telnet,ftp,snmp,igmp,pimなど)無効 一致・
不一致(VLL64)4 4※4 有効 一致 ※3※5 4※6 不一致 (VLL64)4 4※4 本装置が生成するエラーを通知するためのIPv4 ICMPパケット 無効 一致・
不一致(VLL25)1 1 有効 一致 ※3 4※6 不一致 (VLL25)1 4 本装置が中継する次のIPv4パケットオプション(IPヘッダ)付きパケット
フラグメントしたパケット
方向転換(Redirect)したパケット
ARP未解決パケット
DVMRPトンネルインタフェースに送出するDVMRPカプセル化パケット無効 一致・
不一致(VLL25)1 4 有効※5 一致 ※3 4※6 不一致 (VLL25)1 4 上記以外のIPv4パケット 有効・無効 一致 ※3 4※6 不一致 (VLL25)1 4 本装置が生成するIPv6パケット 有効・無効 一致 ※3 4※6 不一致 (VLL64)4 4 本装置が中継するIPv6パケット 有効・無効 一致 ※3 4※6 不一致 (VLL25)1 4 (凡例) −:該当しない
注※1 全IPパケットの優先度をflow構成定義によって指定できるようにする機能です。
注※2 出力優先度はパケットを積むキュー番号を意味します。出力VLLのキュー数は4固定です。
注※3 flow qos構成定義で指定した出力優先度です。ユーザ優先度と送信キュー番号の対応を「表1-10 ユーザ優先度と送信キュー番号およびキューイング優先度の関係(NEB100-1TC)」に示します。
注※4 本条件でパケットを中継する場合,パケットを受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式を「表1-6 受信したRPと送信したRPの組み合わせごとの優先度指定方式」に示します。
注※5 本装置が生成するIPv4パケットの一覧を「表1-7 本装置が生成する主なIPv4パケット」に示します。
注※6 flow qos構成定義で指定したキューイング優先度にかかわらず,設定値はすべて4固定となります。
注※7 出力VLLは帯域制御を設定したTag-VLAN連携回線となります。また,64VLL帯域制御については,「1.8.6 帯域制御(トラフィック指定)」を参照してください。
(5) 優先度設定時の注意事項
双方向通信に対して完全優先を行う場合は,両方向のフローに対して優先度の設定をする必要があります。
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