構成定義コマンドレファレンス Vol.2

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フロー情報に関する注意事項

フロー制御は,IPv4パケットに着目したIPv4フロー制御と,IPv6パケットに着目したIPv6フロー制御の二つに分けることができます。以下,それぞれの機能について説明した後,本フロー制御に関する情報を定義する構成定義コマンドとパラメータを説明します。

IPv4フロー制御

IPv4 フロー制御は,パケットを中継または廃棄するフィルタ機能,パケット種別毎に送信する優先順位付けを行うQoS機能(フロー制御部分)を備えています。

フロー制御は,インタフェースの入力側,出力側毎に設定します。入力側,出力側の各々で1段目は主にフィルタ機能,2段目は主にQoS機能(フロー制御部分)を実行します。パケットは,(a)入力側1段目のフィルタ機能,(b)入力側2段目のQoS機能,(c)出力側1段目のフィルタ機能,(d)出力側2段目のQoS機能の順にフロー制御の判定を実行します。

以下にフロー制御を構成する制御ブロック毎に簡単な内容説明と関連する構成定義コマンドを示します。

図1-1 QoS,filterフロー制御情報の制御範囲

[図データ]

  1. 入力側1段目のフィルタ機能
    入力側1段目では下記機能を実行します。

    フィルタリング:フロー検出条件に一致したパケットを中継または廃棄します。

    DSCP書き換え:
    フロー検出条件に一致したパケットのDSCPフィールドを書き換えます。

    ポリシールーティング:
    フロー検出条件に一致したパケットを指定した出力先へパケットを送信します。
    構成定義コマンド→ flow filter(filterフロー情報)
  2. 入力側2段目のQoS機能(フロー制御部分)
    入力側2段目では下記機能を実行します。

    優先度決定:フロー検出条件に一致したパケットの優先度を決定します。

    DSCP書き換え:
    フロー検出条件に一致したパケットのDSCPフィールドを書き換えます。

    契約帯域監視:
    フロー検出条件に一致したパケットが契約帯域を遵守または違反しているかを監視します。
    構成定義コマンド→ flow qos(QoSフロー情報)
  3. 出力側1段目のフィルタ機能
    出力側1段目では下記機能を実行します。

    フィルタリング:フロー検出条件に一致したパケットを中継または廃棄します。

    DSCP書き換え:
    フロー検出条件に一致したパケットのDSCPフィールドを書き換えます。

    コネクション分岐:
    フロー検出条件に一致したパケットを指定されたDLCI/VCを選択し送信します。
    構成定義コマンド→ flow filter(filterフロー情報)
  4. 出力側2段目のQoS機能(フロー制御部分)
    出力側2段目では下記機能を実行します。

    優先度決定:フロー検出条件に一致したパケットの優先度を決定します。

    DSCP書き換え:
    フロー検出条件に一致したパケットのDSCPフィールドを書き換えます。

    契約帯域監視:
    フロー検出条件に一致したパケットが契約帯域を遵守または違反しているかを監視します。

    コネクション分岐:
    フロー検出条件に一致したパケットを指定されたDLCI/VCを選択し送信します。
    構成定義コマンド→ flow qos(QoSフロー情報)
  5. QoS送信制御との連動
    インタフェースの送信キューにパケットを出力する順序を制御するためのキューモードを設定します。キューモードには出力優先制御,最低帯域保証,均等保証,均等最低帯域保証,最低帯域保証(kbit/s 指定)の5種類があります。定義方法はQoSキュー属性(qos-queue-list)によってインタフェースの送信キューに設定するキューリストを定義し,更にQoSインタフェース情報(qos-interface)によってインタフェース毎に使用するキューリストを設定します。
    構成定義コマンド→ qos-queue-list(QoSキュー属性)
    構成定義コマンド→ qos-interface(QoSインタフェース情報)

    図1-2 QoSキュー属性,QoSインタフェース情報の制御範囲

    [図データ]

  6. QoSキュー制御との連動
    キュー制御は送信キューにパケットが滞留している場合,キューイング優先度に従い送信キューに積むパケットを廃棄する機能です。QoS廃棄モード(qos-discard-mode)によって,キューイング優先度毎にキューイングを許容するキュー長のパターンを設定します。
    構成定義コマンド→ qos-discard-mode(QoS廃棄モード)

    図1-3 QoS廃棄モードの制御範囲

    [図データ]

IPv6フロー制御

IPv6 フロー制御は,フィルタ機能およびQoS機能を備えています。IPv6フロー情報の入力形式は,本章で説明するflow構成定義情報です。

IPv6 filterフロー情報の構成定義コマンドについては,「flow filter(filterフロー情報) IPv6 filterフロー情報」を参照ください。

IPv6 QoSフロー情報の構成定義コマンドについては,「flow filter(filterフロー情報) IPv6 QoSフロー情報」を参照ください。

フロー制御をサポートするインタフェース種別

IPv4,IPv6フロー制御をサポートするインタフェース一覧を「表1-1 フロー制御をサポートするインタフェース一覧」に示します。フロー制御が可能なインタフェースは,ip情報またはip-address情報で設定した対象インタフェース名称を指定します(フロー制御設定前にip情報またはip-address情報を設定済みである必要があります)。

表1-1 フロー制御をサポートするインタフェース一覧

項番 インタフェース名 IPv4 IPv6
flow filter flow qos flow filter flow qos
入力側 出力側 入力側 出力側 入力側 出力側 入力側 出力側
1 <Line Name>
2 rmEthernet
3 <DLCI Name>
4 <VC Name>
5 <Group Name>
6 <Timeslot Name>
7 <Peer Name>
8 <Tunnel Name>
9 <VLAN Name>
10 <Session Name> (*1) (*2) (*1) (*2) (*1) (*2) (*1) (*2)

(凡例)○:設定可能 −:設定不可

(*1):PPPoEセッション(入力側)は未サポートです。

(*2):1セッションだけサポートです。


BCU交替時の注意事項
現用構成定義のフロー構成定義情報を変更した装置で,BCU交替を行うと,RPが再起動します。BCU交替時RPの再起動を抑止するには運用系BCUで下記の手順を実施してください。
  1. Config save 構成定義コマンド投入
  2. Config close 構成定義コマンド投入
  3. Config copy 構成定義コマンド投入
    入力例:config copy/mc0/config/router.caf primary
  4. BCU交替実施

filterフロー情報とQoSフロー情報を併用した場合に影響ある動作種別

同一インタフェースに対して,filterフロー情報とQoSフロー情報を併用する場合の有効順位は次に示すようになります。(*1)

入力側フィルタ < 入力側QoS < 出力側フィルタ < 出力側QoS

そのため,filterフロー情報とQoSフロー情報の動作指定でDSCP書換またはコネクション分岐を併用した場合,有効順位が最も高い設定が有効になります。

(*1):各定義のフロー設定条件にフローが一致することが条件です。

表1-2 フロー情報とQoSフロー情報を併用した場合に影響ある動作種別

項番 動作種別 フロー制御 影響の可否
1 フィルタリング filterフロー情報
2 DSCP書き換え filterフロー情報・QoSフロー情報
3 コネクション分岐 filterフロー情報・QoSフロー情報
4 出力優先度決定 QoSフロー情報
5 ユーザ優先度書き換え QoSフロー情報
6 契約帯域監視 QoSフロー情報

(凡例)
△:有効順位が最も高い設定が有効になる
−:影響なし

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