コンフィグレーションガイド Vol.2

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6.4.2 階層化シェーパのスケジューリング

<この項の構成>
(1) スケジューリングの動作説明
(2) シェーパモードとスケジューリング
(3) キュー種別とスケジューリング

(1) スケジューリングの動作説明

スケジューリングは,各キューに積まれたフレームをどのような順序で送信するかを制御する機能です。階層化シェーパでは制御するキュー数をNIF単位で設定します。キュー数は8キューと4キューが選択でき,それぞれ使用できるスケジューリングが異なります。また,キュー数を変更すると該当NIFが再起動します。キュー数ごとのスケジューリングの動作説明と,VLLQおよびWFQの重みの仕様を次の表に示します。

表6-10 8キュー時のスケジューリングの動作説明

スケジューリング種別 概念図 動作説明 適用例
PQ [図データ]  完全優先制御。複数のキューにフレームがキューイングされている場合,優先度の高いキューから常にフレームを送信します。 トラフィック優先順を完全に遵守する場合
2PQ+VLLQ+4WFQ+BEQ
(3PQ+4WFQ+BEQ)
[図データ]  2最優先キュー+可変低遅延キュー+4重み付き帯域均等制御+2Best Effort。キュー8,7(左図Q#8,Q#7)を完全優先制御で行います。キュー8,7にフレームが存在しない場合,キュー6(左図Q#6)にあらかじめ設定した比率分の帯域を割り当てフレームを送信します。さらに,キュー6の余剰帯域をあらかじめ設定した帯域の比(w:x:y:z)に応じてキュー5,4,3,2(左図Q#5,Q#4,Q#3,Q#2)からフレームを送信します。キュー8,7と5から2までにフレームが存在しない場合,キュー1(左図Q#1)で完全優先制御を行います。VLLQの比率を100%とした場合は3PQ+4WFQ+BEQで動作します。 PQに優先順を完全に遵守させたいトラフィック,
VLLQにPQの余剰帯域に対して設定した割合を使用し優先的に出力したいトラフィック,
WFQにPQ,VLLQの余剰帯域を設定した割合で使用し,均等な優先度で出力したいトラフィック,
BEQにPQ,VLLQ,WFQの余剰帯域がある場合に出力するトラフィック
4PQ+4WFQ [図データ]  4最優先キュー+4重み付き帯域均等制御。キュー8,7,6,5(左図Q#8,Q#7,Q#6,Q#5)までを完全優先制御で行います。キュー8から5にフレームが存在しない場合,あらかじめ設定した帯域の比(w:x:y:z)に応じてキュー4,3,2,1(左図Q#4,Q#3,Q#2,Q#1)からフレームを送信します。 PQに優先順を完全に遵守するトラフィック
WFQにPQの余剰帯域を使用して,帯域の比を適用するトラフィック
2PQ+4WFQ+2BEQ [図データ]  2最優先キュー+4重み付き帯域均等制御+2Best Effort。キュー8,7(左図Q#8,Q#7)を完全優先制御で行います。キュー8,7にフレームが存在しない場合,あらかじめ設定した帯域の比(w:x:y:z)に応じてキュー6,5,4,3(左図Q#6,Q#5,Q#4,Q#3)からフレームを送信します。キュー8から3までにフレームが存在しない場合,キュー2,1(左図Q#2,Q#1)で完全優先制御を行います。 PQに優先順を完全に遵守するトラフィック
WFQにPQの余剰帯域を使用して,帯域の比を適用するトラフィック
BEQにPQ,WFQの余剰帯域を使用するトラフィック

表6-11 4キュー時のスケジューリングの動作説明

スケジューリング種別 概念図 動作説明 適用例
PQ [図データ]  完全優先制御。複数のキューにフレームがキューイングされている場合,優先度の高いキューから常にフレームを送信します。 トラフィック優先順を完全に遵守する場合
VLLQ+3WFQ
(PQ+3WFQ)
[図データ]  可変低遅延キュー+3重み付き帯域均等制御。キュー4(左図Q#4)にあらかじめ設定した比率分の帯域を割り当てフレームを送信します。キュー4の余剰帯域をあらかじめ設定した帯域の比(x:y:z)に応じてキュー3,2,1(左図Q#3,Q#2,Q#1)からフレームを送信します。VLLQの比率を100%とした場合はPQ+3WFQで動作します。 VLLQにユーザ帯域に対して設定した割合の帯域を使用し優先的に出力したいトラフィック,
WFQにVLLQの余剰帯域を設定した割合で使用し,均等な優先度で出力させたいトラフィック
4WFQ [図データ]  設定した帯域の比(w:x:y:z)に応じてキュー4,3,2,1(左図Q#4,Q#3,Q#2,Q#1)からフレームを送信します。 トラフィックごとに設定した割合で帯域を使用し,均等な優先度で出力したい場合
PQ+VLLQ+2WFQ
(2PQ+2WFQ)
[図データ]  最優先キュー+可変低遅延キュー+2重み付き帯域均等制御。キュー4(左図Q#4)を完全優先制御で行います。キュー4にフレームが存在しない場合,キュー3(左図Q#3)にあらかじめ設定した比率分の帯域を割り当てフレームを送信します。さらに,キュー3の余剰帯域をあらかじめ設定した帯域の比(x:y)に応じてキュー2,1(左図Q#2,Q#1)からフレームを送信します。VLLQの比率を100%とした場合は2PQ+2WFQで動作します。 PQに優先順を完全に遵守させたいトラフィック,
VLLQにPQの余剰帯域に対して設定した割合を使用し優先的に出力したいトラフィック,
WFQにPQ,VLLQの余剰帯域を設定した割合で使用し,均等な優先度で出力したいトラフィック

表6-12 VLLQおよびWFQの重みの仕様

項目 仕様 内容
VLLQの重み 5〜100% 5刻みで設定できます。100%を設定した場合,VLLQはPQとして動作します。
WFQの重み 1〜100% 帯域の比としての重みの設定です。各WFQの値が次の条件を満たすように設定してください。
  • キュー番号の小さいキューの重み値が,キュー番号の大きいキューの重み値を超えないこと
  • 各WFQの重み値の合計が100以下になること
例:VLLQ+3WFQの場合
x≧y≧z,かつx+y+z≦100

(2) シェーパモードとスケジューリング

シェーパモードごとに設定できるスケジューリングが異なります。各シェーパモードで設定できるスケジューリングを次の表に示します。なお,LLPQ4モードは8キュー制御でだけ使用できます。

表6-13 8キュー時のシェーパモードで設定できるスケジューリング

スケジューリング シェーパモード
RGQ WGQ LLPQ1 LLPQ2 LLPQ4 LLRLQ
PQ
2PQ+VLLQ+4WFQ+BEQ
2PQ+4WFQ+2BEQ
4PQ+4WFQ

(凡例)○:設定できる −:設定できない

注※ LLRLQ1,LLRLQ2に対してのスケジューリングを指しています。


表6-14 4キュー時のシェーパモードで設定できるスケジューリング

スケジューリング シェーパモード
RGQ WGQ LLPQ1 LLPQ2 LLRLQ※1
PQ
VLLQ+3WFQ ※2
4WFQ
PQ+VLLQ+2WFQ ※2

(凡例)○:設定できる −:設定できない

注※1 LLRLQ1,LLRLQ2に対してのスケジューリングを指しています。

注※2 VLLQの重みを100%に設定してください。


(3) キュー種別とスケジューリング

階層化シェーパはキュー種別によって指定できるスケジューリングが異なります。次にキュー種別ごとのスケジューリングについて説明します。

(a) ユーザキューのスケジューリング

ユーザキューのスケジューリングはNIFごとに設定したシェーパモードとキュー数で異なります。また,すべてのスケジューリングで廃棄制御はテールドロップで動作します。テールドロップの詳細については,「6.7.1 廃棄制御」を参照してください。

(b) ポート送信キューのスケジューリング

ポート送信キューのスケジューリングはPQ固定,キュー数はNIFごとの設定で異なります。廃棄制御はテールドロップで動作します。テールドロップの詳細については,「6.7.1 廃棄制御」を参照してください。

(c) ディストリビューション送信キューのスケジューリング

ディストリビューション送信キューのスケジューリングはPQ固定,キュー数は8固定です。廃棄制御はテールドロップで動作します。テールドロップの詳細については,「6.7.1 廃棄制御」を参照してください。

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