コンフィグレーションガイド Vol.2

[目次][索引][前へ][次へ]


6.4.3 階層化シェーパの帯域制御

階層化シェーパには,ユーザ帯域制御,WGQ帯域制御,およびポート帯域制御があります。

<この項の構成>
(1) ユーザ帯域制御
(2) WGQ帯域制御
(3) ポート帯域制御

(1) ユーザ帯域制御

ユーザ帯域制御は,ユーザ内のすべてのユーザキューの送信帯域をシェーピングする機能です。ユーザ帯域制御の方式は,ユーザ種別や該当ユーザの所属しているNIFのシェーパモードによって異なります。ユーザの種別,ユーザ帯域制御の設定条件,およびユーザ帯域制御値の仕様を次の表に示します。

表6-15 ユーザの種別

ユーザ種別 回線当たりの
ユーザ数
内容
LLRLQ1※1 1 帯域の割り当て,出力優先度共にポート内で最優先のユーザ。
LLRLQ2 1 LLRLQ1の次に優先度の高いユーザ。
ユーザ※1※2 最大1023 通常のユーザ。ユーザ間の帯域分配,出力優先度はシェーパモードによって異なります。
デフォルトユーザ 1 フロー検出条件で検出されないフレームおよび優先度によるユーザキューの指定をしていないフレームがキューイングされるユーザ。

注※1
LLRLQ1またはユーザID1のユーザには,本装置が自発的に送信するフレームがキューイングされます。

注※2
装置種別で最大値が異なります。詳細は,マニュアル「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.2 AX6700Sの収容条件【AX6700S】」,「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.4 AX6600Sの収容条件【AX6600S】」または「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.6 AX6300Sの収容条件【AX6300S】」のフィルタ・QoSの階層化シェーパを参照してください。

表6-16 ユーザ帯域制御の設定条件

シェーパモード ユーザ種別 帯域制御パラメータの設定条件
RGQ ユーザ,
デフォルトユーザ

  • 最大帯域≦ポート帯域
  • 最低帯域≦最大帯域
  • 該当ポートの全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
LLRLQオプション付きRGQ LLRLQ1,
LLRLQ2
LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
ユーザ,
デフォルトユーザ

  • 最大帯域≦ポート帯域
  • 最低帯域≦最大帯域
  • LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
WGQ ユーザ,
デフォルトユーザ
なし
LLRLQオプション付きWGQ LLRLQ1,
LLRLQ2
LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域の合計≦ポート帯域
ユーザ,
デフォルトユーザ
なし
LLPQ
(LLPQ1,LLPQ2,LLPQ4)
ユーザ,
デフォルトユーザ

  • 最大帯域≦ポート帯域
  • 最低帯域≦最大帯域
  • LLPQ帯域≦最大帯域
  • 該当ポートの全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
LLRLQオプション付きLLPQ
(LLPQ1,LLPQ2,LLPQ4)
LLRLQ1,
LLRLQ2
LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
ユーザ,
デフォルトユーザ

  • 最大帯域≦ポート帯域
  • 最低帯域≦最大帯域
  • LLPQ帯域≦最大帯域
  • LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域

表6-17 ユーザ帯域制御値の仕様

帯域制御パラメータ 帯域制御値
最大帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s
最低帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s
LLPQ帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s
重み 1〜50

注※ WGQのユーザに指定する場合,1〜10になります。


各ユーザは,ポートごとにユニークなユーザIDを持っています。このユーザIDと出力優先度によって,サービス(フロー)に適したユーザ帯域制御とスケジューリングを行っているユーザのユーザキューが特定できます。ユーザIDは,NIF種別,シェーパモード,およびキュー数によって使用できる値が異なります。NIFごとに指定できるユーザIDの範囲を次の表に示します。

表6-18 NK1GS-8Mでシェーパモードごとに指定できるユーザIDの範囲

シェーパモード キュー数 ユーザIDの指定範囲
RGQ,WGQ 8 1〜511
4 1〜1023
LLPQ1,LLPQ2 8 1〜255
4 1〜511
LLPQ4 8 1〜255

注※
ユーザID 0はデフォルトユーザが使用します。LLRLQオプション使用時はユーザID 1はLLRLQ1,ユーザID 2はLLRLQ2が使用するため,指定できません。

表6-19 NH1GS-6Mでシェーパモードごとに指定できるユーザIDの範囲

シェーパモード キュー数 ユーザIDの指定範囲
RGQ 8 1〜255
4 1〜511

注※
ユーザID 0はデフォルトユーザが使用します。

ユーザ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,フレーム間ギャップからFCSまでです。ユーザ帯域制御の対象範囲を次の図に示します。

図6-16 ユーザ帯域制御の対象範囲

[図データ]

(2) WGQ帯域制御

シェーパモードにLLRLQオプション付きWGQを使用した場合,すべてのWGQのユーザに対してWGQ帯域制御を設定できます。WGQ帯域制御を設定した場合,WGQ帯域制御値を上限として,WGQのユーザにはLLRLQ1およびLLRLQ2の送信帯域を引いた帯域が各ユーザの重みに基づいて割り当てられます。帯域制御値を決めることで,LLRLQ1およびLLRLQ2が帯域を使用していないときにWGQのユーザがポート帯域まで無制限に使えないようにできるため,最優先ユーザと通常ユーザを差別化できます。

WGQ帯域制御はNIF種別で設定可否が異なります。NIF種別との対応については,「6.10.2 階層化シェーパ機能サポートNIF」を参照してください。

WGQ帯域制御値の仕様を次の表に示します。

表6-20 WGQ帯域制御値の仕様

帯域制御パラメータ 帯域制御値
最大帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s

また,WGQ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。

(3) ポート帯域制御

ポート帯域制御は,ユーザ帯域制御を実施したあとに該当ポートに指定した送信帯域にシェーピングする機能です。この制御を使用して,広域イーサネットサービスへ接続できます。

例えば,ポート帯域が1Gbit/sでISPとの契約帯域が400Mbit/sの場合,ポート帯域制御機能を使用してあらかじめ帯域を400Mbit/s以下に抑えてフレームを送信することができます。

回線種別に対するポート帯域制御の帯域範囲と設定単位を次の表に示します。

表6-21 ポート帯域制御の仕様

回線速度
(オートネゴシエーション結果も含む)
設定範囲 刻み値
1000Mbit/s 1M〜1000Mbit/s 1Mbit/s
64k〜1000000kbit/s 1Kbit/s
100Mbit/s 1M〜100Mbit/s 1Mbit/s
64k〜100000kbit/s 1Kbit/s
10Mbit/s 1M〜10Mbit/s 1Mbit/s
64k〜10000kbit/s 1Kbit/s

注※ 全二重モードの場合だけポート帯域制御が動作します。


また,ポート帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

All Rights Reserved, Copyright(C), 2006, 2018, ALAXALA Networks, Corp.