コンフィグレーションガイド Vol.2
階層化シェーパには,ユーザ帯域制御,WGQ帯域制御,およびポート帯域制御があります。
- <この項の構成>
- (1) ユーザ帯域制御
- (2) WGQ帯域制御
- (3) ポート帯域制御
(1) ユーザ帯域制御
ユーザ帯域制御は,ユーザ内のすべてのユーザキューの送信帯域をシェーピングする機能です。ユーザ帯域制御の方式は,ユーザ種別や該当ユーザの所属しているNIFのシェーパモードによって異なります。ユーザの種別,ユーザ帯域制御の設定条件,およびユーザ帯域制御値の仕様を次の表に示します。
表6-15 ユーザの種別
ユーザ種別 回線当たりの
ユーザ数内容 LLRLQ1※1 1 帯域の割り当て,出力優先度共にポート内で最優先のユーザ。 LLRLQ2 1 LLRLQ1の次に優先度の高いユーザ。 ユーザ※1※2 最大1023 通常のユーザ。ユーザ間の帯域分配,出力優先度はシェーパモードによって異なります。 デフォルトユーザ 1 フロー検出条件で検出されないフレームおよび優先度によるユーザキューの指定をしていないフレームがキューイングされるユーザ。
- 注※1
- LLRLQ1またはユーザID1のユーザには,本装置が自発的に送信するフレームがキューイングされます。
- 注※2
- 装置種別で最大値が異なります。詳細は,マニュアル「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.2 AX6700Sの収容条件【AX6700S】」,「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.4 AX6600Sの収容条件【AX6600S】」または「コンフィグレーションガイド Vol.1 3.6 AX6300Sの収容条件【AX6300S】」のフィルタ・QoSの階層化シェーパを参照してください。
表6-16 ユーザ帯域制御の設定条件
シェーパモード ユーザ種別 帯域制御パラメータの設定条件 RGQ ユーザ,
デフォルトユーザ
- 最大帯域≦ポート帯域
- 最低帯域≦最大帯域
- 該当ポートの全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
LLRLQオプション付きRGQ LLRLQ1,
LLRLQ2LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域 ユーザ,
デフォルトユーザ
- 最大帯域≦ポート帯域
- 最低帯域≦最大帯域
- LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
WGQ ユーザ,
デフォルトユーザなし LLRLQオプション付きWGQ LLRLQ1,
LLRLQ2LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域の合計≦ポート帯域 ユーザ,
デフォルトユーザなし LLPQ
(LLPQ1,LLPQ2,LLPQ4)ユーザ,
デフォルトユーザ
- 最大帯域≦ポート帯域
- 最低帯域≦最大帯域
- LLPQ帯域≦最大帯域
- 該当ポートの全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
LLRLQオプション付きLLPQ
(LLPQ1,LLPQ2,LLPQ4)LLRLQ1,
LLRLQ2LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域 ユーザ,
デフォルトユーザ
- 最大帯域≦ポート帯域
- 最低帯域≦最大帯域
- LLPQ帯域≦最大帯域
- LLRLQ1,LLRLQ2の最大帯域と全ユーザ,デフォルトユーザの最低帯域の合計≦ポート帯域
表6-17 ユーザ帯域制御値の仕様
帯域制御パラメータ 帯域制御値 最大帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s 最低帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s LLPQ帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s 重み 1〜50※ 注※ WGQのユーザに指定する場合,1〜10になります。
各ユーザは,ポートごとにユニークなユーザIDを持っています。このユーザIDと出力優先度によって,サービス(フロー)に適したユーザ帯域制御とスケジューリングを行っているユーザのユーザキューが特定できます。ユーザIDは,NIF種別,シェーパモード,およびキュー数によって使用できる値が異なります。NIFごとに指定できるユーザIDの範囲を次の表に示します。
表6-18 NK1GS-8Mでシェーパモードごとに指定できるユーザIDの範囲
シェーパモード キュー数 ユーザIDの指定範囲※ RGQ,WGQ 8 1〜511 4 1〜1023 LLPQ1,LLPQ2 8 1〜255 4 1〜511 LLPQ4 8 1〜255
- 注※
- ユーザID 0はデフォルトユーザが使用します。LLRLQオプション使用時はユーザID 1はLLRLQ1,ユーザID 2はLLRLQ2が使用するため,指定できません。
表6-19 NH1GS-6Mでシェーパモードごとに指定できるユーザIDの範囲
シェーパモード キュー数 ユーザIDの指定範囲※ RGQ 8 1〜255 4 1〜511
- 注※
- ユーザID 0はデフォルトユーザが使用します。
ユーザ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,フレーム間ギャップからFCSまでです。ユーザ帯域制御の対象範囲を次の図に示します。
図6-16 ユーザ帯域制御の対象範囲
(2) WGQ帯域制御
シェーパモードにLLRLQオプション付きWGQを使用した場合,すべてのWGQのユーザに対してWGQ帯域制御を設定できます。WGQ帯域制御を設定した場合,WGQ帯域制御値を上限として,WGQのユーザにはLLRLQ1およびLLRLQ2の送信帯域を引いた帯域が各ユーザの重みに基づいて割り当てられます。帯域制御値を決めることで,LLRLQ1およびLLRLQ2が帯域を使用していないときにWGQのユーザがポート帯域まで無制限に使えないようにできるため,最優先ユーザと通常ユーザを差別化できます。
WGQ帯域制御はNIF種別で設定可否が異なります。NIF種別との対応については,「6.10.2 階層化シェーパ機能サポートNIF」を参照してください。
WGQ帯域制御値の仕様を次の表に示します。
表6-20 WGQ帯域制御値の仕様
帯域制御パラメータ 帯域制御値 最大帯域 64kbit/s〜1000Mbit/s また,WGQ帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。
(3) ポート帯域制御
ポート帯域制御は,ユーザ帯域制御を実施したあとに該当ポートに指定した送信帯域にシェーピングする機能です。この制御を使用して,広域イーサネットサービスへ接続できます。
例えば,ポート帯域が1Gbit/sでISPとの契約帯域が400Mbit/sの場合,ポート帯域制御機能を使用してあらかじめ帯域を400Mbit/s以下に抑えてフレームを送信することができます。
回線種別に対するポート帯域制御の帯域範囲と設定単位を次の表に示します。
表6-21 ポート帯域制御の仕様
回線速度
(オートネゴシエーション結果も含む)設定範囲 刻み値 1000Mbit/s 1M〜1000Mbit/s 1Mbit/s 64k〜1000000kbit/s 1Kbit/s 100Mbit/s※ 1M〜100Mbit/s 1Mbit/s 64k〜100000kbit/s 1Kbit/s 10Mbit/s※ 1M〜10Mbit/s 1Mbit/s 64k〜10000kbit/s 1Kbit/s 注※ 全二重モードの場合だけポート帯域制御が動作します。
また,ポート帯域制御の対象となるフレームの範囲は,ユーザ帯域制御と同じです。
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