解説書 Vol.1

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11.6.3 フィルタリングの運用について

フィルタリングでは,フロー検出条件モードおよびフロー検出条件オプションで運用方法を選択できます。

<この項の構成>
(1) フロー検出条件モード
(2) フロー検出条件オプション

(1) フロー検出条件モード

フロー検出条件モードでは,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はQoS制御も同じ運用方法となります。

表11-9 フロー検出条件モードで選択できる運用方法

項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件モードの指定方法
1 きめ細かいフロー検出条件を指定する MAC,IPヘッダなどを検出条件としてパケット検出が可能。 フロー検出条件モードの指定なし
2 パケット中継性能を劣化させない <Portlist>指定では,L2スイッチ中継を対象とし,<Interface Name>指定では,IPv4,IPv6中継パケットを対象としたパケット検出が可能。 フロー検出条件モード1 (retrieval_mode_1)を指定

次の表にフロー検出条件モードと対応可能PSU,BSUの関係を示します。

表11-10 フロー検出条件モードと対応可能PSU,BSUの関係

フロー検出条件モード AX7800Sで対応可能なPSU AX5400Sで対応可能なBSU
指定なし PSU-1
PSU-12
PSU-12B
PSU-2
PSU-22
PSU-33
PSU-43
PSU-53
BSU-C1
BSU-C2
BSU-S1
BSU-S2
フロー検出条件モード1 PSU-12
PSU-12B
PSU-22
PSU-33
PSU-43
PSU-53
BSU-C1
BSU-C2
BSU-S1
BSU-S2

(a) フロー検出条件モード1

パケット中継性能を劣化させることなく,フィルタリング機能を使用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード1を指定します。

フロー検出条件モード1を有効とするには,指定PSUに「表11-10 フロー検出条件モードと対応可能PSU,BSUの関係」で示す対応可能PSUを実装してください。フロー検出条件モード1をサポートしていないPSUに対してフロー検出条件モード1を設定した場合,フローフィルタ機能,フローQoS機能は動作しません。

フロー検出条件モード1指定時,設定した入出力インタフェースごと(<Portlist>指定,または<Interface Name>指定)に指定可能なフロー検出条件を「表11-11 フロー検出条件モード1時のフロー検出条件」に示します。

なお,QoS制御もフロー検出条件モード1で動作します。フロー検出条件モード1指定時,QoS制御で指定可能なフロー検出条件は,「解説書 Vol.2 1.3.1 フロー検出機能の運用について」を参照してください。

表11-11 フロー検出条件モード1時のフロー検出条件

ヘッダ種別 設定項目 <Portlist>指定 <Interface Name>指定
MAC 送信元MACアドレス
宛先MACアドレス
イーサネットタイプ
ユニキャストフラッディングフレーム識別子
Tag-VLAN VLAN ID
ユーザ優先度
IP IPユーザデータ長
上位プロトコル
送信元IPアドレス
宛先IPアドレス
DSCP
プレシデンス
フラグメント識別子
TCP 送信元ポート番号
宛先ポート番号
ACKフラグ
SYNフラグ
UDP 送信元ポート番号
宛先ポート番号
ICMP ICMPタイプ
ICMPコード
IGMP IGMPタイプ

(凡例) ○:指定可 −:指定不可

注※ 出力側だけ指定可能です。


次にフロー検出条件モード1を使用した場合の<Portlist>指定,<Interface Name>指定ごとの検出可能なパケットを示します。

表11-12 検出可能パケット種別一覧

フロー指定方法 パケット種別
<Portlist>指定 レイヤ2スイッチ中継パケット
<Interface Name>指定 IPv4,IPv6中継パケット

注※ 
宛先MACアドレスがレイヤ2マルチキャストアドレス,かつ宛先IPアドレスがマルチキャストIPアドレスのパケットは,本装置でレイヤ2スイッチ中継およびIPv4,IPv6中継の両方を実施します(次に示す図の(1),(2))。したがって,コンフィグレーションコマンドflow filterで,(1)のレイヤ2スイッチ中継パケットをフロー検出する場合は,<Portlist>指定で宛先MACアドレス検出条件にレイヤ2マルチキャストアドレスを指定して,(2)のIPv4中継パケットをフィルタリングする場合は<Interface Name>指定で,宛先IPv4アドレス検出条件にマルチキャストIPアドレスを指定してください。

図11-25 マルチキャストパケット中継例

[図データ]

(2) フロー検出条件オプション

フロー検出条件オプションでは,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はQoS制御も同じ運用方法となります。

表11-13 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法

項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件オプションの指定方法
1 中継パケットでフロー検出する 中継パケットでだけフロー検出可能 フロー検出条件オプションの指定なし
2 中継パケットおよび本装置宛パケットでフロー検出したい 中継パケットおよび本装置宛パケットでフロー検出可能 フロー検出条件オプション1 (retrieval_option_1)を指定

注※
フロー検出条件オプション1指定時にフロー検出対象に加わる本装置宛パケットは,次に示すパケットです。したがって,フロー検出条件オプション1を指定しない場合,次に示す本装置宛パケットはフロー検出対象外です。
  • 宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるパケット
  • 宛先MACアドレスがマルチキャストMACアドレスまたは自MACアドレスである非IPパケット

次の表にフロー検出条件オプションと対応可能PSU,BSUの関係を示します。

表11-14 フロー検出条件オプションと対応可能PSU,BSUの関係

フロー検出条件オプション AX7800Sで対応可能なPSU AX5400Sで対応可能なBSU
指定なし PSU-1
PSU-12
PSU-12B
PSU-2
PSU-22
PSU-33
PSU-43
PSU-53
BSU-C1
BSU-C2
BSU-S1
BSU-S2
フロー検出条件オプション1 PSU-12
PSU-12B
PSU-22
PSU-33
PSU-43
PSU-53
BSU-C1
BSU-C2
BSU-S1
BSU-S2

(a) フロー検出条件オプション1

本装置宛パケット(「表11-13 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法」の注参照)でもフロー検出機能を運用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件オプション1を指定します。フロー検出条件オプション1を使用する場合は,対象PSU,対象BSUに「表11-14 フロー検出条件オプションと対応可能PSU,BSUの関係」で示す対応可能PSU,BSUを実装してください。なお,QoS制御もフロー検出条件オプション1で動作します。また,フロー検出条件オプション1の指定は,フロー検出条件モードと同時に設定できます。

EAPOL,LACP,BPDU,CDP,OADP,LLDP,GSRPのパケットをフロー検出するコンフィグレーションflow filterの設定は,次のインタフェースまたは物理ポートに指定してください。
  • Tag-VLAN連携回線のuntaggedの論理インタフェース
  • VLAN回線のuntaggedポートが属するVLANインタフェース

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