解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) OAMセル送受信制御
- (2) Loopbackセルによる疎通確認
- (3) LoopbackセルによるVC状態監視機能
- (4) インタフェースのUP/DOWN契機
本装置は,ATMネットワークに対してはエンドシステムであるので,エンド−エンドフローをサポートします。セグメントフローは送信しないで,受信時は廃棄します。OAMセルに対する動作を次の表に示します。
OAMセル種別 受信時の動作 送信条件 F4(VP) AIS F4-RDI送信 なし(本装置はエンドシステムのため) RDI(FERF) 廃棄
- F4-AIS受信時
- Line障害発生検出時
Loopback要求 Loopback応答送信 なし Loopback応答 廃棄 Loopback要求受信時 F5(VC) AIS F5-RDI送信 なし(本装置はエンドシステムのため) RDI(FERF) 廃棄 F5-AIS受信時 Loopback要求 Loopback応答送信
- 運用コマンドによるLoopback要求送信およびLoopback応答受信監視
- 構成定義コマンドによるVC状態監視"有効"指定
Loopback応答 廃棄 Loopback要求受信時 その他 廃棄 なし F4 OAMセル送信および受信のため,VPごとに1本ずつサービスカテゴリUBRのVCが必要な場合があります。通信用に設定できるVC数は「6.3.1 接続制御 (3) 定義できる最大VC数」を参照してください。
サービスカテゴリGFR2を使用する場合,Loopbackセルのほかに本装置独自の制御フレームを送信することがあります。
本装置は,ping atmコマンド入力に対し,Loopback Requestセルを送信後にLoopback Replyセルの受信を監視し,結果を運用端末の画面に表示します。この機能によってATMレイヤでの疎通確認ができるため,障害発生時の障害要因の切り分けに役立ちます。
本装置は,エンド・エンドF5フローのOAM Loopback要求セルを送信し,そのLoopback応答セルを受信監視して,該当するVC状態を監視(Connectivity Verification)します。この機能をサポートするATMインタフェースは25M ATM,OC-3c/STM-1 ATM 1ポート版です。サービスカテゴリはGFRまたはGFR2で使用してください。ATMインタフェースを接続するATM網の条件と本装置の設定条件を次の表に示します。
ATM網の条件 本装置の設定条件 サービスカテゴリ
パターンtraffic情報の
パラメータVCサービスのVC帯域保証型
(例:日本電信電話株式会社メガデータネッツの速度保証タイプ)gfr2s pcr=mcr VPサービスの固定帯域保証型
(例:ATMメガリンクサービス)gfr_clp_priority − gfr2s mcr≧priority4_pcr gfr2m (凡例) −:該当しない
サービスカテゴリがGFR2の場合は,同一VC内でOAMセルの送信帯域を確保するために,最優先度キューのセル送信速度は,VCのミニマムセルレートから5%または16kbit/sを減らした値以下にする必要があります。
VCのピークセルレートが266kbit/s以下の場合,最優先度キュー内ピークセルレートをVCのピークセルレート以下に設定すれば,動作時に16kbit/s程度を自動的に確保します。
最優先度キュー内ピークセルレートをミニマムセルレート以下に設定すれば,動作時に必要な帯域を自動的に確保します。
VC状態監視仕様を次の表に示します。
項目 仕様 備考 VC状態監視対象VC数 装置当たり64 VC − リトライ回数 VC障害回復中連続確認回数1〜10回。デフォルト3回。 − VC障害発生中連続確認回数1〜10回。デフォルト5回。 要求送信間隔 ポーリング間隔1〜600s。デフォルトno (VC状態監視しない)。10sを推奨。 − VC障害回復/発生中確認間隔指定値は1〜10s。デフォルト1s。 要求送信開始契機
- 装置起動時
- 該当RP/NIF/Line/VC/インタフェースへfreeコマンド投入時
- 構成定義情報で該当インタフェース追加/disable指定削除時
- Line/VP障害回復時
−
- 該当NIF/Line/VC/インタフェースへfreeコマンド投入時
- 構成定義情報で該当インタフェース削除/disable指定追加時
- Line/VP障害発生時
構成定義情報で該当するインタフェース変更時に一時的に送信停止〜開始する。 (凡例) −:該当しない
VC障害発生および回復時の動作を次の図に示します。
図6-14 VC障害発生および回復時の動作
VC状態監視機能とインタフェースバックアップ機能を組み合わせると,VC障害発生時にバックアップ先インタフェースへ経路を切り替えることができます。ATMレベルで障害を検出して該当するインタフェースを切り替えるので,RIPなどルーティングの経路切り替えと比較して切り替え時間を短縮できます。インタフェースバックアップ機能については,「8. 回線バックアップ」を参照してください。
VC状態監視機能とSNMPのPVC Trap機能を組み合わせると,VC障害発生をSNMPマネージャへ通知できます。PVC Trap機能については「解説書 Vol.2 6. SNMPを使用したネットワーク管理」を参照してください。
(4) インタフェースのUP/DOWN契機
インタフェースのUP/DOWN契機を次の表に示します。インタフェースを複数VCで構成する場合,インタフェースのUP/DOWN契機に注意してください。
表6-13 インタフェースのUP/DOWN契機
インタフェース状態 変更契機 UP※1
- 装置起動
- 主回線の障害回復検出(自局側ケーブル抜けなどの物理的障害回復検出,F4-AIS/RDIによるVP障害回復検出,VC状態監視機能によるVC障害回復検出)
- 主回線へのfreeコマンド投入(RP,NIF,Line,VC,インタフェース)
- 主回線へのno test interfacesコマンド(終了指定)投入
- 主回線のオンラインdisable定義削除(RP,NIF,Line,VC)
- 主回線のオンライン構成定義追加(IP)・主回線のオンライン構成定義変更(Line,ATM,Traffic,VP,VC,VC-Group,IP)
DOWN※2
- 主回線の障害発生検出(自局側ケーブル抜けなどの物理的障害発生検出,F4-AIS/RDIによるVP障害発生検出,VC状態監視機能によるVC障害発生検出)
- 主回線へのcloseコマンド投入(RP,NIF,Line,VC,インタフェース)
- 主回線へのtest interfacesコマンド(開始指定)投入
- 主回線のオンラインdisable定義(RP,NIF,Line,VC)
- 主回線のオンライン構成定義変更/削除(Line,ATM,Traffic,VP,VC,VC-Group,IP)
注※1 インタフェースを複数VCで構成する場合,VP障害回復検出によるインタフェースアップ契機は,インタフェース内のVPのうち一つ以上でVP障害回復を検出したときになります。VC障害回復検出によるインタフェースアップ契機は,インタフェース内のVCのうち一つ以上でVC障害回復を検出したときです。
注※2 インタフェースを複数VCで構成する場合,インタフェースDOWN契機は,インタフェース内のVCすべてがUPしていない状態(障害状態,close状態など)になった場合です。障害状態には,VP障害によるVC障害とVC障害そのものを含みます。
VC状態監視の対象VCとしてパラレルPVCを使用できます。インタフェースバックアップ機能との組み合わせ,パラレルPVC使用時の注意事項は,「8. 回線バックアップ」を参照してください。
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