解説書 Vol.1

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


6.3.1 接続制御

ATMでの通信は,ATMネットワークを介して接続する相手装置(ルータ,ATMインタフェースを持つLANスイッチ,ATMインタフェースを持つ端末など)との間にコネクション(通信路)を設定します。PVCの通信方式はこのコネクションを固定で持ちます。このため,コネクションを決定するVPIおよびVCIをあらかじめ構成定義情報に定義しておきます。このコネクションをVCと呼びます。VCの接続形態はポイント−ポイントコネクションで,ポイント−マルチコネクションはサポートしていません。

<この項の構成>
(1) VC構成定義時の注意事項
(2) 割り当てられるVPI,VCIの範囲
(3) 定義できる最大VC数
(4) パラレルPVC

(1) VC構成定義時の注意事項

VC構成定義時には次に示す点に注意してください。

(2) 割り当てられるVPI,VCIの範囲

本装置では回線ごとに割り当てられるVPI/VCIの範囲を決め,その範囲内でVPI,VCIを割り当てます。割り当てられるVPI/VCIの範囲を次の表に示します。

表6-1 VPI/VCIの範囲

VPI範囲 通信用VCI範囲
0〜15 32〜2047
0〜31 32〜1023
0〜63 32〜511
0〜127 32〜255

なお,VCI値0〜31は規格,勧告でプレアサインまたはリザーブの値です。割り当てた場合,将来SVCやILMIサポート時に変更が必要になりますので,一般的に通信用には割り当てません。

(3) 定義できる最大VC数

(a) 25M ATMまたはOC-3c/STM-1 1ポートATMでサービスカテゴリCBR,VBR,ABR,UBRを使用する場合

本装置は,同一のVP内にVBRのサービスカテゴリのVCとそのほかのサービスカテゴリのVCと混在して使用するかどうかによって定義できる最大VP数および最大VC数が異なります。定義できる最大VP数を次に示します。

VC数はそれぞれの優先キューに対して割り当てられる数に上限があります。優先キューについては「6.3.2 トラフィック制御(3) サービスカテゴリと優先キューの対応」,「6.3.2 トラフィック制御(5) 出力優先制御」を参照してください。

VP数ごとの定義できる最大VC数を次の表に示します。

表6-2 VP数ごとの定義できる最大VC数

VP数/
物理回線
同一VP内にVBR混在使用なし 同一VP内にVBR混在使用あり
VBRを使用しないVP
のVC数/1VP
VBRだけを使用するVP
のVC数/1VP
VC数/1VP
優先キューごとの最大VC数 合計 VBRの最大VC数 合計 優先キューごとの最大VC数 VBRの最大VC数 合計
1 1024 2048 1 1 8 127 151
2 512 1024 1 1 8 15 39
3〜4 256 512 1 1 8 15 39
5〜8 128 256 1 1 8 15 39
9〜16 64 128 1 1 8 7 31
17〜32 32 64 1 1 8 3 27
33〜64 16 32 1 1
65〜128 8 16 1 1

(凡例) −:該当しない

注※ VCI番号0から31は,規格/勧告によってプレアサインまたはリザーブの値のため,通信用に使用できるVCI番号は32から2047です。このため,1VPに設定できる最大VC数は2016になります。


F4 OAMセル送信および受信のため,VPごとに1本ずつサービスカテゴリUBRのVCが必要です。したがって,F4 OAMセル送信および受信を行う場合には,構成定義で選択したサービスカテゴリパターンで,UBRの最も優先度の低いキューについては通信用に設定できるVC数が,「 表6-2 VP数ごとの定義できる最大VC数」の「優先キューごとの最大VC数」の値から1を引いた値となります。ただし,VBRだけを使用するVPの場合には通信用に設定できるVC数は「表6-2 VP数ごとの定義できる最大VC数」に示すとおりです。

(b) 25M ATMまたはOC-3c/STM-1 1ポート版ATMでサービスカテゴリGFR,GFR2を使用する場合

サービスカテゴリGFR,GFR2を使用する回線について,定義できる最大VC数は最大128本です。VC数は優先キューのそれぞれに対して割り当てられる数の上限があります。VP数ごとの定義できる最大VC数を次の表に示します。

表6-3 VP数ごとの定義できる最大VC数

VP数/物理回線 VC数/1VP
1 128
2〜8 16
9〜16 8
17〜32 4

注※ 25M ATMではサポートしていません。


サービスカテゴリGFRを使用する場合は,F4 OAMセル送信および受信を行う場合にも,使用できるVC数が1本減ることはありません。

サービスカテゴリGFR2を使用する場合は,F4 OAMセル送信および受信を行う場合,「 表6-3 VP数ごとの定義できる最大VC数」の「VC数/1VP」の値から1を引いた値となります。

(4) パラレルPVC

一般的にATMインタフェースを持つルータでは1個のネクストホップ・アドレスに対し,1VCを割り当てます。この場合のネクストホップ・アドレスとは,本装置が受信したパケットを次に送信する相手のネットワークレイヤのアドレスです。つまり,ATMネットワークを介して接続する相手装置との間のコネクションは1VCです。

本装置では,この相手装置との間のコネクションとして,最大8本のVCを割り当ててグループ化できます。これをパラレルPVCと呼びます。

パラレルPVCはルーティング上では1VCと同等に扱われます。したがって,グループを構成する各VCがルーティングによる経路選択の対象となることはありません。このため,装置へ同時通信でき,送信パケット条件によって異なるVCにトラフィックを分散できます。また,グループ内の2本のVC間で,パケットの宛先IPアドレスおよび送信元IPアドレスのHash値によるロードバランスを指定することもできます。ロードバランスの詳細については「6.3.2 トラフィック制御(7) ロードバランス」を参照してください。パラレルPVC機能はvc-groupコマンドで設定します。次に適用例を説明します。

(a) パラレルPVC収容条件

パラレルPVCの収容条件を次に示します。

(b) パラレルPVC機能を設定するときの注意事項

パラレルPVC機能を設定するときは次に示す内容に注意してください。

(c) アプリケーションの種別によってVCを分ける例

アプリケーションのトラフィック特性に合わせて,各VCにトラフィックタイプおよび帯域を設定します。アプリケーションの種別によってVCを分ける例を次の図に示します。

図6-2 アプリケーションの種別によってVCを分ける例

[図データ]

(d) 各拠点の通信ごとにVCを分ける例

パケットの宛先アドレスまたは送信元アドレスによって各拠点の通信ごとにVCを分ける例を次の図に示します。センタと拠点間の通信で,各拠点に一定の帯域を保証して,残りの帯域を共用して帯域を有効利用します。

図6-3 各拠点の通信ごとにVCを分ける例

[図データ]

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

Copyright (c)2005 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.