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8.7.2 WAN回線

WAN回線の回線テストまたはBERT(bit err rate test)では,指定するテスト種別により,テスト用に送出するフレームまたはデータの折り返し位置が異なります。テスト種別によるフレームの折り返し位置を次の図に示します。

図8-12 WAN回線での回線テストのテスト種別によるフレームの折り返し位置

[図データ]

また,回線種別により,実行可能なテスト種別が異なります(回線種別と実行可能なテスト種別は,「運用コマンドレファレンス Vol.1 test interfaces(WAN)」を参照してください)。

次にテスト種別ごとのテスト方法を説明します。

<この項の構成>
(1) モジュール内部ループバックテスト
(2) ループコネクタループバックテスト
(3) モデム手動ループバックテスト
(4) ローカルモデムループバックテスト(LLB)
(5) リモートモデムループバックテスト(RLB)
(6) リモートラインループバックテスト
(7) ネットワークラインループバックテスト
(8) ネットワークペイロードループバックテスト
(9) リモートペイロードループバックテスト
(10) リモートラインインバンドループバックテスト

(1) モジュール内部ループバックテスト

本テストは全回線種別で実行可能です。

本テストでは,テスト用フレームは本装置のNIFボード内で折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 internal[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

コマンド実行結果として,「図8-13 WAN回線でのtest interfaces,no test interfacesコマンド実行結果例」に示す画面を表示しますので,次のことを確認してください。

(2) ループコネクタループバックテスト

本テストは全回線種別で実行可能です。

本テストでは,テスト用フレームは本装置のNIFボードに接続したループコネクタ内で折り返します。

回線種別ごとにテストする対象のLINE番号のケーブルを抜いて各回線種別ごとのループコネクタを接続しテストを実施します。ループコネクタ未接続,またはその回線に対応するループコネクタを接続しない場合,正しくテストが実施できませんので注意してください。テスト例として,NIF番号1のLINE番号0のケーブルを抜いて各回線種別ごとのループコネクタを接続しテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 connector[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

なお,テスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

注:
NIFボードOC-3c(8ポート),OC-12c(4ポート),OC-48cは構成定義情報lineのclock=independent設定のときだけテスト実行可能で,clock=externalに設定した場合,回線障害になる可能性があります。

(3) モデム手動ループバックテスト

本テストはserial回線(V.24/V.35/X.21)で,かつモデムを接続している場合にだけ実行可能です。また,モデムは折り返しモードが設定可能であることが必要です。

本テストでは,テスト用フレームは折り返しモードに設定したモデムで折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 manual[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。

上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

(4) ローカルモデムループバックテスト(LLB)

本テストはserial回線(V.24)で,かつモデムを接続している場合にだけ実行可能です(V.35,X.21では使用できません)。また,モデムはローカルモデムループバックテストに対応している必要があります。

本テストでは,テスト用フレームはローカル(自局側)モデムで折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 local[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。

上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

(5) リモートモデムループバックテスト(RLB)

本テストはserial回線(V.24)で,かつモデムを接続している場合にだけ実行可能です(V.35,X.21では使用できません)。また,モデムはリモートモデムループバックテストに対応している必要があります。

本テストでは,テスト用フレームはリモート(相手局側)モデムで折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 remote[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。

上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

(6) リモートラインループバックテスト

本テストは本装置と相手装置の当該Line上で異常が発生した場合,フレーム単位のテスト用データにより障害発生部位切り分けや,障害部品交換後の動作確認時に使用します。テスト用データは,相手装置にて物理層フレームごとに折り返されます。T1回線およびT3非多重回線だけ実行可能です。また,相手装置はリモートラインループバックテストに対応している必要があります。ただし,T3非多重回線の場合,リモートループバックテスト要求には,ループバック種別の指定がありません。このため,リモートループバックテスト実行時のループバック種別は,接続装置の設定によりラインループバックかペイロードループバックのどちらかとなります。本装置のリモートラインループバックテストは,接続装置のループバック種別設定によらずテストが実行可能です。なお,本装置でのループバック種別の指定は「構成定義コマンドレファレンス Vol.1 line(Line情報)(-remote_loopback)」を参照してください。

注※
フレームフォーマットがESFの場合だけ実行可能です。
ただし,次の場合は,テスト実行できませんのでリモートラインインバンドループバックテストを実行してください。
  • フレームフォーマット=SF
  • フレームフォーマット=ESFかつデータリンク=AT&T
なお,T3多重回線内のT1回線では未サポートです。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 remote-line[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。
上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

(7) ネットワークラインループバックテスト

本テストは受信したデータの折り返し設定だけ行います。T1回線,E1回線,T3非多重,E3非多重,E3多重回線,T3多重回線,OC-3c(8ポート),OC-12c(4ポート),およびOC-48cだけ実行可能です。

相手装置から受信したデータは,物理層フレームごとに折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 local network-line[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
本テストは,受信データの折り返し設定だけを行うため,テスト結果表示はありません。このため,テスト間隔,テストパターン番号,テストデータ長は,指定不可となります。

(8) ネットワークペイロードループバックテスト

本テストは受信したデータの折り返し設定だけ行います。T1回線およびE1回線だけ実行可能です。

注※ T3多重回線内のT1回線では未サポートです。

相手装置から受信したデータは,物理層フレーム内のデータ部分だけ折り返します。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 network-payload[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
本テストは,受信データの折り返し設定だけを行うため,テスト結果表示はありません。このため,テスト間隔,テストパターン番号,テストデータ長は,指定不可となります。

(9) リモートペイロードループバックテスト

本テストは本装置と相手装置の当該Line上で異常が発生した場合,フレーム単位のテスト用データにより障害発生部位切り分けや,障害部品交換後の動作確認時に使用します。テスト用データは,相手装置にて物理層フレーム内のデータ部分だけ折り返されます。T1回線だけ実行可能です。また,相手装置はリモートペイロードループバックテストに対応している必要があります。

注※ T3多重回線内のT1回線では未サポートです。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 remote-payload[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。
上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

(10) リモートラインインバンドループバックテスト

本テストは本装置と相手装置の当該Line上で異常が発生した場合,フレーム単位のテスト用データにより障害発生部位切り分けや,障害部品交換後の動作確認時に使用します。テスト用データは,相手装置にて物理層フレームごとに折り返されます。T1回線だけ実行可能です。また,相手装置はリモートラインインバンドループバックテストに対応している必要があります。

テスト例として,NIF番号1のLINE番号0にテストを行ったケースを示します。

運用端末からtest interfaces,no test interfacesの順でコマンドを実行します。

 
> test interfaces nif 1 line 0 remote-line-inband[Enter]
 
(約1分間待つ)
 
> no test interfaces nif 1 line 0[Enter]
 

注1:
テスト実行結果の画面で”Test Count”が0の場合は,show interfacesコマンドで回線状態を確認してください。
上記以外のテスト実行結果の確認は「(1) モジュール内部ループバックテスト」のテスト実行結果と同様に行ってください。

注2:
フレームフォーマットがSF,かつリモートラインループバックテストを実行する場合,本テストを実行してください。

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