運用ガイド

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7.4.2 WAN回線の接続ができない

通信障害の原因がWAN回線にあると考えられる場合は以下に従い確認してください。

<この項の構成>
(1) 状態確認
(2) 統計情報の確認
(3) フレームリレーのPVC(DLCI)接続の確認

(1) 状態確認

(a) NIFの状態確認

show interfacesコマンドによりNIF状態を確認してください。次の表にNIF状態に対する対応を示します。

表7-8 NIF状態の確認/対応

項番 NIF状態 原因 対応
1 active 当該NIFは正常に動作中です。 表7-9 Line状態の確認/対応」によりLineの状態を確認してください。
2 mismatch 実装しているNIFでは,当該NIF配下に構成定義されているLineを使用することはできません(実装されているNIFとLineの構成定義情報が不一致です)。 実装しているNIFが間違っていないか,またはLineの構成定義情報が間違っていないか確認してください。
3 unused 当該NIF配下にLineの構成定義情報が設定されていません。 使用するLineの構成定義情報を設定してください。
4 closed closeコマンドにより当該NIFの運用が停止されています。 使用するNIFボードが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該NIFを運用状態にしてください。
5 fault 当該NIFが障害となっています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。
6 initialize 当該NIFが障害検出後の再起動中です。 同上
7 locked 構成定義により当該NIFの運用が停止されています。 使用するNIFボードが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該NIFを運用状態にしてください。

(b) Lineの状態確認

show interfacesコマンドによりLine状態を確認してください。次の表にLine状態に対する対応を示します。

表7-9 Line状態の確認/対応

項番 Line状態 原因 対応
1 active up 当該Lineは正常に動作中です。 当該LineのLine種別がSublineを待つ回線※1の場合は,「表7-10 Subline状態の確認/対応」によりSublineの状態を確認してください。
当該LineのLine種別がTimeslotを持つ回線※2の場合は,「表7-11 Timeslot状態の確認/対応」によりTimeslotの状態を確認してください。
当該LineのLine種別がTimeslotを持たない回線の場合は,「表7-12 PPP状態の確認/対応」〜「表7-14 DLCI状態の確認/対応」により当該Lineのリンクレイヤプロトコルの状態を確認してください。
2 active down 当該Lineに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。
3 mismatch 実装しているLineでは,当該Line配下に構成定義されているLineを使用することはできません(実装されているLineとLineの構成定義情報が不一致です)。 実装しているLineが正しいか,またはLineの構成定義情報が正しいか確認してください。
4 unused 当該Line配下にLineの構成定義情報が設定されていません。 使用するLineの構成定義情報を設定してください。
5 closed closeコマンドにより当該Lineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該Lineを運用状態にしてください。
6 test test interfacesコマンドまたはbertコマンドにより,当該timeslotを含むLineは回線テスト中です。 通信を再開する場合は,no test interfaces コマンドまたはno bertコマンドにより回線テストを停止してください。
7 looped by remote 当該Lineと網を経由して接続するピアルータによるremote loopbackテスト中です。 通信を再開する場合は,ピアルータのremote loopbackテストを停止してください。
8 fault 当該Lineの回線部分のハードウェアが障害となっています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。
9 initialize 当該Lineが障害検出後の再起動中,または未起動。※3 同上
10 locked 構成定義により当該Lineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが接続されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Lineを運用状態にしてください。
11 auto locked APS回線のペアの回線で回線テストを実行しているため自動で運用停止しています。 APS回線のペアの回線で実行している回線テストを終了することで運用を開始します。

注※1
BRI(leased line), PRI(leased line),T1(leased line),E1(leased line),6.3M interface(leased line)を指します。

注※2
CE3(leased line),CT3(leased line)を指します。

注※3
serial回線で,かつインタフェースバックアップを定義している場合,現在使用していないインタフェースは起動しません(バックアップ先回線がISDNで,かつ自動切戻しの場合を除く)。このとき本状態となります。

(c) Subline(論理Line)の状態確認

show interfacesコマンドによりSubline状態を確認してください。次の表にSubline状態に対する対応を示します。

表7-10 Subline状態の確認/対応

項番 Line状態 原因 対応
1 active up 当該Sublineは正常に動作中です。 当該SublineのLine種別がTimeslotを持つ回線の場合は,「表7-11 Timeslot状態の確認/対応」によりTimeslotの状態を確認してください。
2 active down 当該Sublineに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Sublineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。
3 mismatch 実装しているLine/Sublineでは,当該Subline配下に構成定義されているSublineを使用することはできません。 実装しているLine/Sublineが正しいか,またはSublineの構成定義情報が正しいか確認してください。
4 unused 当該Subline配下にSublineの構成定義情報が設定されていません。 使用するSubLineの構成定義情報を設定してください。
5 closed closeコマンドにより当該Sublineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該Line,Sublineを運用状態にしてください。
6 test test interfaces コマンドまたはbertコマンドにより,当該timeslotを含むSublineは回線テスト中です。 通信を再開する場合は,no test interfacesコマンドまたは no bertコマンドにより回線テストを停止してください。
7 initialize 当該Sublineが障害検出後の再起動中です。 同上
8 locked 構成定義により当該Sublineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Line,Sublineを運用状態にしてください。

注※
E1(CE3 leased line),T1(CT3 leased line)を指します。

(d) Timeslotの状態確認

show interfacesコマンドによりTimeslot状態を確認してください。次の表にTimeslot状態に対する対応を示します。

表7-11 Timeslot状態の確認/対応

項番 timeslot状態 原因 対応
1 active up 当該Timeslotは正常に動作中です。 表7-12 PPP状態の確認/対応」〜「表7-14 DLCI状態の確認/対応」により当該Timeslotのリンクレイヤプロトコルの状態を確認してください。
2 active down 当該Timeslotに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。
3 unused 当該Timeslot配下にTimeslotの構成定義情報が設定されていません。 使用するLine,Subline,Timeslotの構成定義情報を設定してください。
4 closed closeコマンドにより当該Timeslotの運用が停止されています。 freeコマンドにより当該Timeslotを運用状態にしてください。
5 test test interfaces コマンドまたはbertコマンドにより,当該Timeslotを含むLineは回線テスト中です。 通信を再開する場合はno test interfaces コマンドまたはno bertコマンドにより回線テストを停止してください。
6 initialize 当該Timeslotが障害検出後の再起動中,または未起動。 同上
7 locked 構成定義により当該Timeslotの運用が停止されています。 使用するLineケーブルが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Line,Subline,Timeslotを運用状態にしてください。

注※
BRI(leased line),PRI(leased line),6.3M interface(leased line)にてインタフェースバックアップを定義している場合,現在使用していないインタフェースは起動しません(バックアップ先回線がISDNで,かつ自動切戻しの場合を除く)。このとき本状態となります。

(e) リンクレイヤプロトコルの状態確認

該当するLineまたはTimeslotのリンクレイヤプロトコル状態を以下のとおり確認します。

(f) 通信相手の状態確認

show peerコマンドにより該当する通信相手の状態を確認してください。次の表に通信相手の状態に対する対応を示します。

表7-15 通信相手状態の確認

項番 確認項目 原因 対応
1 通信相手状態がclosed 当該通信相手がcloseコマンドにより閉塞されているため,接続できません。 当該通信相手をfreeコマンドにより閉塞解除してください。
2 通信相手状態がdisabled 当該通信相手が構成定義によりdisable設定になっているため,接続できません。 当該通信相手をenable設定になるように構成定義変更してください。
3 通信相手状態がrestricted 当該通信相手への発信が規制中になっているため,接続できません。 当該通信相手をenable設定になるように構成定義変更してください。
4 Phone Numberが不正 当該通信相手の電話番号/サブアドレスが実際と異なるため,接続できません。 当該通信相手の電話番号/サブアドレスを正しい設定に変更してください。
5 IDが不正 認証IDが実際と異なるため,接続できません。 当該通信相手の認証IDを正しい設定に変更してください。

(g) ISDN POOLの状態確認

show isdn-poolコマンドにより該当する通信相手が使用しているISDN POOLの状態を確認してください。次の表にISDN POOLの状態に対する対応を示します。

表7-16 ISDN POOLの確認

項番 確認項目 原因 対応
1 channel use rate 本項目により空きチャネルがない場合,通信に使うチャネルを割り当てることができません。 ISDN POOL内で使用可能なチャネル数と通信相手数との関連を見直してください。
2 Lost calls(originate) 本項目がカウントアップされる場合,空きチャネルがないため発信できない現象が発生しています。 同上
3 Lost calls(answer) 本項目がカウントアップされる場合,空きチャネルがないため着信できない現象が発生しています。 同上

(2) 統計情報の確認

show interfacesコマンドにより,当該LineまたはTimeslotの以下の統計情報(フレーム受信・送信失敗)を確認してください。フレーム受信・送信失敗が発生している場合は,回線テストを実行しNIFボード/ケーブル/モデムが故障していないか確認してください

また,シリアル回線を使用している場合は,show interfacesコマンドにより未サポートの回線速度になっていないか確認してください。なお,NWVX-4,NWVX-8,NWBMX2-4ではサポートする回線速度に違いがありますので,ご注意ください。それぞれのNIFでサポートする回線速度については,「構成定義コマンドレファレンス Vol.1 4. ライン情報 line_speed」を参照してください。

注※
回線テストの方法は以下を参照してください。

[フレーム受信失敗に関する統計情報]
In fcs errors
In overrun errors
In aborted frames
In not octed aligned frames
In short frames
In overflow frames
In error discarded frames

[フレーム送信に関する統計情報]
Out underrun errors
Send complete supervising timeout
out error discarded frames

NIFボード/ケーブル/モデムの故障ではない場合は,回線業者に対して回線の状態が正常か問い合わせてください。

(3) フレームリレーのPVC(DLCI)接続の確認

リンクレイヤプロトコルがフレームリレーで,本装置を対向接続している場合,ping frame-relayコマンドによりPVC(DLCI)の接続を確認してください。

図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)」は相手装置との間でPVC接続が確立している場合の実行例,「図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)」はPVC接続が確立していない場合の実行例です。

図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)

> ping frame-relay nif 1 line 0 dlci 31
Data Received InARP-seq=0
Data Received InARP-seq=1
Data Received InARP-seq=2
Data Received InARP-seq=3
Data Received InARP-seq=4
>
 

図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)

> ping frame-relay nif 1 line 0 dlci 31
Timeout InARP-seq=0
Timeout InARP-seq=1
Timeout InARP-seq=2
Timeout InARP-seq=3
Timeout InARP-seq=4
> 
 

実行結果が「図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)」のようになった場合は,相手装置が本装置へ接続しているDLCIを正常に認識していないか,相手装置のDLCIの設定が誤っている可能性があります。相手装置でのDLCIの状態,および設定を確認してください。実行結果が「図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)」のようになった場合は,PVC(DLCI)の接続は正常ですので,ネットワークレイヤ(IPなど)の確認を行ってください。

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