運用ガイド
通信障害の原因がWAN回線にあると考えられる場合は以下に従い確認してください。
- <この項の構成>
- (1) 状態確認
- (2) 統計情報の確認
- (3) フレームリレーのPVC(DLCI)接続の確認
(1) 状態確認
(a) NIFの状態確認
show interfacesコマンドによりNIF状態を確認してください。次の表にNIF状態に対する対応を示します。
表7-8 NIF状態の確認/対応
項番 NIF状態 原因 対応 1 active 当該NIFは正常に動作中です。 「表7-9 Line状態の確認/対応」によりLineの状態を確認してください。 2 mismatch 実装しているNIFでは,当該NIF配下に構成定義されているLineを使用することはできません(実装されているNIFとLineの構成定義情報が不一致です)。 実装しているNIFが間違っていないか,またはLineの構成定義情報が間違っていないか確認してください。 3 unused 当該NIF配下にLineの構成定義情報が設定されていません。 使用するLineの構成定義情報を設定してください。 4 closed closeコマンドにより当該NIFの運用が停止されています。 使用するNIFボードが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該NIFを運用状態にしてください。 5 fault 当該NIFが障害となっています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 6 initialize 当該NIFが障害検出後の再起動中です。 同上 7 locked 構成定義により当該NIFの運用が停止されています。 使用するNIFボードが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該NIFを運用状態にしてください。 (b) Lineの状態確認
show interfacesコマンドによりLine状態を確認してください。次の表にLine状態に対する対応を示します。
表7-9 Line状態の確認/対応
項番 Line状態 原因 対応 1 active up 当該Lineは正常に動作中です。 当該LineのLine種別がSublineを待つ回線※1の場合は,「表7-10 Subline状態の確認/対応」によりSublineの状態を確認してください。
当該LineのLine種別がTimeslotを持つ回線※2の場合は,「表7-11 Timeslot状態の確認/対応」によりTimeslotの状態を確認してください。
当該LineのLine種別がTimeslotを持たない回線の場合は,「表7-12 PPP状態の確認/対応」〜「表7-14 DLCI状態の確認/対応」により当該Lineのリンクレイヤプロトコルの状態を確認してください。2 active down 当該Lineに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 3 mismatch 実装しているLineでは,当該Line配下に構成定義されているLineを使用することはできません(実装されているLineとLineの構成定義情報が不一致です)。 実装しているLineが正しいか,またはLineの構成定義情報が正しいか確認してください。 4 unused 当該Line配下にLineの構成定義情報が設定されていません。 使用するLineの構成定義情報を設定してください。 5 closed closeコマンドにより当該Lineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該Lineを運用状態にしてください。 6 test test interfacesコマンドまたはbertコマンドにより,当該timeslotを含むLineは回線テスト中です。 通信を再開する場合は,no test interfaces コマンドまたはno bertコマンドにより回線テストを停止してください。 7 looped by remote 当該Lineと網を経由して接続するピアルータによるremote loopbackテスト中です。 通信を再開する場合は,ピアルータのremote loopbackテストを停止してください。 8 fault 当該Lineの回線部分のハードウェアが障害となっています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 9 initialize 当該Lineが障害検出後の再起動中,または未起動。※3 同上 10 locked 構成定義により当該Lineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが接続されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Lineを運用状態にしてください。 11 auto locked APS回線のペアの回線で回線テストを実行しているため自動で運用停止しています。 APS回線のペアの回線で実行している回線テストを終了することで運用を開始します。
- 注※1
- BRI(leased line), PRI(leased line),T1(leased line),E1(leased line),6.3M interface(leased line)を指します。
- 注※2
- CE3(leased line),CT3(leased line)を指します。
- 注※3
- serial回線で,かつインタフェースバックアップを定義している場合,現在使用していないインタフェースは起動しません(バックアップ先回線がISDNで,かつ自動切戻しの場合を除く)。このとき本状態となります。
(c) Subline(論理Line)の状態確認
show interfacesコマンドによりSubline状態を確認してください。次の表にSubline状態に対する対応を示します。
表7-10 Subline状態の確認/対応
項番 Line状態 原因 対応 1 active up 当該Sublineは正常に動作中です。 当該SublineのLine種別がTimeslotを持つ回線※の場合は,「表7-11 Timeslot状態の確認/対応」によりTimeslotの状態を確認してください。 2 active down 当該Sublineに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Sublineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 3 mismatch 実装しているLine/Sublineでは,当該Subline配下に構成定義されているSublineを使用することはできません。 実装しているLine/Sublineが正しいか,またはSublineの構成定義情報が正しいか確認してください。 4 unused 当該Subline配下にSublineの構成定義情報が設定されていません。 使用するSubLineの構成定義情報を設定してください。 5 closed closeコマンドにより当該Sublineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,freeコマンドにより当該Line,Sublineを運用状態にしてください。 6 test test interfaces コマンドまたはbertコマンドにより,当該timeslotを含むSublineは回線テスト中です。 通信を再開する場合は,no test interfacesコマンドまたは no bertコマンドにより回線テストを停止してください。 7 initialize 当該Sublineが障害検出後の再起動中です。 同上 8 locked 構成定義により当該Sublineの運用が停止されています。 使用するLineにケーブルが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Line,Sublineを運用状態にしてください。
- 注※
- E1(CE3 leased line),T1(CT3 leased line)を指します。
(d) Timeslotの状態確認
show interfacesコマンドによりTimeslot状態を確認してください。次の表にTimeslot状態に対する対応を示します。
表7-11 Timeslot状態の確認/対応
項番 timeslot状態 原因 対応 1 active up 当該Timeslotは正常に動作中です。 「表7-12 PPP状態の確認/対応」〜「表7-14 DLCI状態の確認/対応」により当該Timeslotのリンクレイヤプロトコルの状態を確認してください。 2 active down 当該Timeslotに回線障害が発生しています。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 3 unused 当該Timeslot配下にTimeslotの構成定義情報が設定されていません。 使用するLine,Subline,Timeslotの構成定義情報を設定してください。 4 closed closeコマンドにより当該Timeslotの運用が停止されています。 freeコマンドにより当該Timeslotを運用状態にしてください。 5 test test interfaces コマンドまたはbertコマンドにより,当該Timeslotを含むLineは回線テスト中です。 通信を再開する場合はno test interfaces コマンドまたはno bertコマンドにより回線テストを停止してください。 6 initialize 当該Timeslotが障害検出後の再起動中,または未起動。※ 同上 7 locked 構成定義により当該Timeslotの運用が停止されています。 使用するLineケーブルが実装されていることを確認の上,構成定義情報を設定して当該Line,Subline,Timeslotを運用状態にしてください。
- 注※
- BRI(leased line),PRI(leased line),6.3M interface(leased line)にてインタフェースバックアップを定義している場合,現在使用していないインタフェースは起動しません(バックアップ先回線がISDNで,かつ自動切戻しの場合を除く)。このとき本状態となります。
(e) リンクレイヤプロトコルの状態確認
該当するLineまたはTimeslotのリンクレイヤプロトコル状態を以下のとおり確認します。
- リンクレイヤプロトコルがPPPの場合
show interfacesコマンドによりPPPのLCPの状態,NCP(IPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCP)の状態を確認してください。次の表にLCPの状態,NCPの状態に対する対応を示します。
表7-12 PPP状態の確認/対応
項番 PPPの各状態 原因 対応 1 LCPの状態がupである 相手局との間でLCPは確立しています。 項番3,4によりNCP(IPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCP)の状態を確認してください。 2 LCPの状態がdownである 相手局との間でLCPが確立していません。 show loggingコマンドにより表示される当該LineまたはTimeslotのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 3 IPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCPの状態がupである 相手局との間でIPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCPは確立しています。 show loggingコマンドにより表示されるのログ情報を確認してください。また,ログ情報が採取されていない場合は,「(2) 統計情報の確認」により統計情報を確認してください。 4 IPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCPの状態がdownである 相手局との間で IPCP/IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCPが確立していません。なお,使用するネットワークレイヤプロトコルのNCPだけ確立していればよく,それ以外のNCP状態はupとなる必要はありません。例えば,ネットワークレイヤプロトコルにIPだけ使用し,IPv6CP,IPX,Bridge/MPLSCPを使用しない場合は,IPCPだけupとなっていればよく,IPv6CP/IPXCP/BridgeNCP/MPLSCPはupとなる必要はありません。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 - リンクレイヤプロトコルがフレームリレーの場合
- PVC状態確認手順の確認
show interfacesコマンドによりPVC状態確認手順の状態を確認してください。次の表にPVC状態確認手順の状態に対する対応を示します。
表7-13 PVC状態確認手順状態の確認/対応
項番 PVC状態確認手順の状態 原因 対応 1 up PVC状態確認手順は確立しています。 「表7-14 DLCI状態の確認/対応」により,DLCIの状態を確認してください。 2 down PVC状態確認手順が確立していません。 show loggingコマンドにより表示される当該Lineまたはtimeslotのログ情報より,「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」の該当ログ情報を参照し,記載されている[対応]にしたがって対応してください。 - DLCI状態の確認
show frame-relayコマンドによりDLCI状態を確認してください。次の表にDLCI状態に対する対応を示します。
表7-14 DLCI状態の確認/対応
項番 DLCI状態 原因 対応 1 active 次のことが考えられます。
- 相手装置上で,カプセル化フォーマットの設定が誤っている可能性があります。この場合,show interfacesコマンドのlineまたはtimeslot指定で表示する統計情報"In unknown protos"をカウントアップします。
- 本装置のフレームリレー構成定義情報のmax_packet_sizeが,相手装置が送信するパケット長未満となっている可能性があります。この場合,show frame-relayコマンドで表示する統計情報"In over maximum length frames"をカウントアップします。
- 相手装置が,本装置へ接続しているDLCIを正常に認識していないか,相手装置のDLCIの設定が誤っている可能性があります。
それぞれの原因に対して,次にように対応してください。
- 相手装置のカプセル化フォーマットの設定を「IETF(RFC1940またはRFC2427)」に設定してください。
- 本装置のフレームリレー構成定義情報のmax_packet_size≧相手装置が送信するパケット長,となるよう設定してください。
- 相手装置の設定が誤っていないか確認してください。本装置を対向で接続している場合は,ping frame-relayによりPVC(DLCI)の接続を確認してください。
2 inactive 相手装置,またはフレームリレー網での障害検出がフレームリレー網から本装置へ通知されています。
- 相手装置のPVC状態確認手順の状態がdownとなっている可能性があります。
- フレームリレー網と相手装置間の回線で障害が発生している可能性があります。
- フレームリレー網内で障害が発生している可能性があります。
それぞれの原因に対して,次にように対応してください。
- 相手装置の設定が誤っていないか確認してください。
- 相手装置のフレームリレー網への接続状態に異常がないか確認してください。運用による装置の電源断,または回線の閉塞を行っている場合もあります。
- フレームリレー網事業者に網の状態に異常はないか確認してください。
3 invalid 当該DLCIがフレームリレー網に認識されていません。 フレームリレー網と契約している接続条件に誤りがないか,また当該DLCIが使用可能となるようフレームリレー網側での設定が完了しているかフレームリレー網事業者に確認してください。 (f) 通信相手の状態確認
show peerコマンドにより該当する通信相手の状態を確認してください。次の表に通信相手の状態に対する対応を示します。
表7-15 通信相手状態の確認
項番 確認項目 原因 対応 1 通信相手状態がclosed 当該通信相手がcloseコマンドにより閉塞されているため,接続できません。 当該通信相手をfreeコマンドにより閉塞解除してください。 2 通信相手状態がdisabled 当該通信相手が構成定義によりdisable設定になっているため,接続できません。 当該通信相手をenable設定になるように構成定義変更してください。 3 通信相手状態がrestricted 当該通信相手への発信が規制中になっているため,接続できません。 当該通信相手をenable設定になるように構成定義変更してください。 4 Phone Numberが不正 当該通信相手の電話番号/サブアドレスが実際と異なるため,接続できません。 当該通信相手の電話番号/サブアドレスを正しい設定に変更してください。 5 IDが不正 認証IDが実際と異なるため,接続できません。 当該通信相手の認証IDを正しい設定に変更してください。 (g) ISDN POOLの状態確認
show isdn-poolコマンドにより該当する通信相手が使用しているISDN POOLの状態を確認してください。次の表にISDN POOLの状態に対する対応を示します。
表7-16 ISDN POOLの確認
項番 確認項目 原因 対応 1 channel use rate 本項目により空きチャネルがない場合,通信に使うチャネルを割り当てることができません。 ISDN POOL内で使用可能なチャネル数と通信相手数との関連を見直してください。 2 Lost calls(originate) 本項目がカウントアップされる場合,空きチャネルがないため発信できない現象が発生しています。 同上 3 Lost calls(answer) 本項目がカウントアップされる場合,空きチャネルがないため着信できない現象が発生しています。 同上
(2) 統計情報の確認
show interfacesコマンドにより,当該LineまたはTimeslotの以下の統計情報(フレーム受信・送信失敗)を確認してください。フレーム受信・送信失敗が発生している場合は,回線テストを実行しNIFボード/ケーブル/モデムが故障していないか確認してください※。
また,シリアル回線を使用している場合は,show interfacesコマンドにより未サポートの回線速度になっていないか確認してください。なお,NWVX-4,NWVX-8,NWBMX2-4ではサポートする回線速度に違いがありますので,ご注意ください。それぞれのNIFでサポートする回線速度については,「構成定義コマンドレファレンス Vol.1 4. ライン情報 line_speed」を参照してください。
- 注※
- 回線テストの方法は以下を参照してください。
- [フレーム受信失敗に関する統計情報]
- In fcs errors
- In overrun errors
- In aborted frames
- In not octed aligned frames
- In short frames
- In overflow frames
- In error discarded frames
- [フレーム送信に関する統計情報]
- Out underrun errors
- Send complete supervising timeout
- out error discarded frames
NIFボード/ケーブル/モデムの故障ではない場合は,回線業者に対して回線の状態が正常か問い合わせてください。
(3) フレームリレーのPVC(DLCI)接続の確認
リンクレイヤプロトコルがフレームリレーで,本装置を対向接続している場合,ping frame-relayコマンドによりPVC(DLCI)の接続を確認してください。
「図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)」は相手装置との間でPVC接続が確立している場合の実行例,「図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)」はPVC接続が確立していない場合の実行例です。
図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)
> ping frame-relay nif 1 line 0 dlci 31 Data Received InARP-seq=0 Data Received InARP-seq=1 Data Received InARP-seq=2 Data Received InARP-seq=3 Data Received InARP-seq=4 >図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)
> ping frame-relay nif 1 line 0 dlci 31 Timeout InARP-seq=0 Timeout InARP-seq=1 Timeout InARP-seq=2 Timeout InARP-seq=3 Timeout InARP-seq=4 >実行結果が「図7-7 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立していない場合)」のようになった場合は,相手装置が本装置へ接続しているDLCIを正常に認識していないか,相手装置のDLCIの設定が誤っている可能性があります。相手装置でのDLCIの状態,および設定を確認してください。実行結果が「図7-6 ping frame-relayコマンドの実行例(PVCが確立している場合)」のようになった場合は,PVC(DLCI)の接続は正常ですので,ネットワークレイヤ(IPなど)の確認を行ってください。
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