通信性能・機能を柔軟に再構成可能な通信技術の開発
〜 国際会議・展示会SC18(米テキサス州ダラス)に出展 〜

2018年11月06日
アラクサラネットワークス株式会社
慶應義塾大学

アラクサラネットワークス株式会社(本社: 神奈川県川崎市 代表取締役社長 南川育穂 以下アラクサラ)は、通信サービスの需要に合わせ、通信ノード内のハードウェアリソースを任意に組合せる(再構成する)ことにより、通信性能や機能を柔軟に変更できる通信技術を開発しました。通信ノードの処理の柔軟性を保ちつつ、通信処理性能を400Gbpsに拡張可能とする見通しです。この技術により、通信サービスが多様化する中、将来の需要変動にかかる設備導入コスト削減が見込まれます。本成果は、2018年11月11日から16日まで米国テキサス州ダラスで開催される国際会議・展示会「SC18」に、慶應義塾大学理工学部情報工学科の山中直明教授と共同で出展します。

日本の通信トラヒックは、インターネットサービスの普及、モバイルサービスの普及などにより、継続的に増加しています。その一方で、通信サービスの多様化もますます進展しています。たとえば、企業向けの低遅延・低パケットロス率を実現する高品質イーサネット伝送サービスや、メールやWebを中心に発展してきたベストエフォート型インターネット接続サービスなど、特性の異なる様々なサービスが幅広いユーザに利用されています。今後も、移動系アクセスの5G化やIoTの進展に伴い、通信サービスの大容量化と多様化がさらに進むと予想されます。この「大容量化」と「多様化」の両者に対応するため、アラクサラは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)委託研究 「光トランスポートNW における用途・性能に適応した通信処理合成技術の研究開発」(*1)の支援のもと、通信サービスの需要に合わせ、通信性能や機能を柔軟に変更できるノードアーキテクチャを開発しました。SC18では、本成果を応用して、多様な方式への対応と、慶應義塾大学の提案する自動運転プラットフォームなどへの応用の実証実験を行います。

日米間を100Gbpsで接続した再構成可能通信ノードの実証実験

従来、100Gbps超級のインターフェースを持つ通信ノードは、専用ハードウェアでパケット処理を高速化しており、固定的なパケット処理しか行えませんでした。開発した新技術は、専用ハードウェアと、FPGA(*2)やNP/CPU(*3)などのプログラム可能なデバイスとを連携動作させることで、通信ノードの高速性を保ちつつ、性能と機能とを柔軟に変更する(ハードウェアを再構成する)技術です。

通信性能・機能を柔軟に再構成可能な通信ノード

新技術では、通信パケットの基本的で固定的な処理(パケットの宛先検索処理やパケットを中継する処理)は専用ハードウェア(ASIC(*4))で高速に実現します。専用ハードウェア同士は、プログラム可能なFPGAを介して相互接続されており、通信サービスの機能に応じて、FPGAのプログラムを変更して、専用ハードウェアに対する入出力信号を加工することで、高速、かつ、柔軟なパケット処理を実現します。更に複雑なプロトコルやアプリケーションの処理は、NP/CPU上でソフトウェアにて実現されます。

また、通信サービスに必要な性能に応じて、FPGAのプログラムを変更して、必要なハードウェアだけを動的に相互に組合せることで、ノード内のハードウェアを様々な用途に自由に割り当てることができる「リソースプール」として用いることができます。例えば、NP/CPUのリソースをエッジサーバの一部として利用したり、さらには不要な専用ハードウェアの電源をOFFすることで省電力化することができます。慶應義塾大学が、このリソースプールを制御し、エッジサーバとして利用するプログラムの開発を行っています。

この新技術により、100Gbps超級のインターフェース上で、多様なサービスに応じて通信機能の再構成を実現し、高速性と柔軟性のトレードオフの関係を解決します。通信サービスの大容量化と多様化に同時に実用的・経済的に対応できるため、将来のネットワークの変化にプログラム変更のみで対応することが可能になり、ネットワークの通信設備投資や維持管理コストの低減が見込めます。

SC18では、試作した再構成可能通信ノードに、以下の実証実験を行います。通信ノードを再構成することで、マルチプロトコルを1つの物理ネットワークで構築し、そのネットワーク上のトラヒックを効率的に可視化します。さらに、通信ノード内のNP/CPUのリソースプールを、エッジサーバとして使用し、自動運転に応用する例を示します。

  • マルチプロトコル処理
    アラクサラが、広域イーサネットプロトコル(*5)、インターネットプロトコル(IP)、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)などを例に、通信サービスに応じて再構成可能通信ノード内の通信処理モジュール・サービスモジュール・スイッチモジュールを再構成することにより、同一のインターフェースで、JGN(*6)が提供する日米間100Gbpsを利用したワイヤースピード(*7)のマルチプロトコルを動的に切り替えて通信が行えることを示します。
  • ネットワーク可視化
    アラクサラが、再構成可能通信ノード内の通信処理モジュール内の統計カウンタのハードウェアリソースプールを柔軟に再構成することで、ネットワークのトラヒックを効率的に収集し、AX-Sensor(*8)、AX-Collector(*9)で可視化することにより、100Gbpsワイヤースピードでリアルタイムに、どの国からどの国へ通信が行われているかを見える化する例を示します。
  • 自動運転
    慶應義塾大学が、日米間でクラウドサーバネットワーク − エッジサーバネットワークを構築し、テキサス大学ダラス校(UTDallas)のオーケストレータ、及び、アラクサラの再構成可能通信ノード内のリソースプールを含んだ複数のサーバ群を協調動作させることで、自動運転エージェントそのものが、運転対象の自動車の位置をトレースしてネットワーク上を移動する、ネットワークアシスト型の自動運転プラットフォームのコンセプトを示します。
*1:
NICT委託研究 「光トランスポートNW における用途・性能に適応した通信処理合成技術の研究開発」 アラクサラ、日本電信電話株式会社、慶應義塾大学の共同研究。委託研究期間平成28年度〜平成31年度。
*2:
FPGA
Field-Programmable Gate Arrayの略。製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路。現場でプログラム可能なゲートアレイであることから、このように呼ばれている。
*3:
NP/CPU
Network Processing Unitの略。パケット処理に特化したプロセッサ。ネットワーク機器に利用することで、CPUよりも高速処理を可能にする。/Central Processing Unitの略。コンピュータにおける中心的な処理装置(プロセッサ)。
*4:
ASIC
Application Specific Integrated Circuitの略。特定用途向け集積回路。電子部品の種別の1つで、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路の総称。高速で定型的な処理に適している。
*5:
広域イーサネットプロトコル
地理的に離れたLAN間などをイーサネットインターフェースで接続するプロトコル。EoE(Ethernet over Ethernet)プロトコルなどがある。
*6:
JGN
NICTが提供する、ICT開発の基盤となる超高速研究開発ネットワーク。
*7:
ワイヤースピード
デジタル情報通信において、伝送路の理論上の最大データ転送速度のこと。普通はbps(ビット毎秒)の単位で表される。
*8:
AX-Sensor
ルータやスイッチのパケットミラー(*10)から必要に応じて各種ネットワークトラヒック情報を収集する外付けのアプライアンス。
*9:
AX-Collector
AX-Sensorからのネットワークトラヒック情報、及びルータ、スイッチなどのネットワーク機器のMIB情報(*11)を収集するソフトウェア。
*10:
パケットミラー
ルータ、スイッチを通過するパケットをコピーして、本来の転送先とは別のポートに出力する機能。
*11:
MIB情報
Management Information Baseの略。SNMP(Simple Network Management Protocol)を使ってネットワーク機器を監視・管理する際に用られる、監視対象のネットワーク機器が自らの設定や状態についてまとめたデータ集。

本取り組みについて

本取り組みについては、NICT委託研究 「光トランスポートNW における用途・性能に適応した通信処理合成技術の研究開発」のサポートを受けて行われています。また、日米間の100Gbps回線接続については、NICTのJGNならびに国内外の研究教育ネットワークのサポートを受けて行われ、トラヒックのリアルタイム可視化については、NICTのNIRVANA改を利用しています。実験に協力いただいた、テキサス大学ダラス校、及び、株式会社東陽テクニカに感謝致します。

SC18について

Supercomputing Conference(スーパーコンピューティング・カンファレンス、スーパーコンピューティング会議、SC)は、1988年よりIEEE Computer SocietyとACMによって、アメリカ合衆国で毎年開催されているスーパーコンピューティングの国際会議です。正式名称はInternational Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysisですが、開催年の下2桁を使用して、2018年会議は「SC18」のように略称しています。

名称 SC18
主催 IEEE Computer Society, ACM
Webサイト
展示会 2018年11月12日月曜日 〜 11月15日木曜日
場所 米国 テキサス州ダラス
会場 Kay Bailey Hutchison Convention Center
ブース番号 # 327 (国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)ブース内)
# 3716 (テキサス大学ダラス校ブース内)

アラクサラネットワークス株式会社について

アラクサラネットワークス株式会社は、「快適で安心して使えるネットワークを世界の人々に提供し、豊かな情報通信社会の実現に貢献」を企業理念としています。情報ライフラインを支える概念としてギャランティード・ネットワークを提唱し、ネットワーク構築に必要な基幹系ルータおよびスイッチの開発から設計、製造、販売、保守のサービスを提供しています。

会社名 アラクサラネットワークス株式会社
設立日 2004年10月1日
代表者 代表取締役社長 南川育穂
資本金 55億円
所在地 神奈川県川崎市幸区鹿島田一丁目1番2号 新川崎三井ビル西棟
従業員数 約210名 (2018年3月末現在)
URL

慶應義塾大学について

慶應義塾大学は10学部14研究科(大学院)を擁する総合大学です。理工学部は1939年に藤原工業大学として開校し、1944年に慶應義塾大学工学部となりました(1981 年に現在の理工学部に改組)。理工学部は11学科を擁し、各学科が協力・啓発し合い、より高次の成果を発現することで新たな科学技術の創造(創発)をめざしています。

商標名称等に関する表示

イーサネットは、富士ゼロックス(株)の登録商標です。
その他本文に記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。

製品に関するお問い合わせ先

アラクサラネットワークス株式会社 (営業)

報道機関お問合わせ先

アラクサラネットワークス株式会社 広報担当 【担当: 新井】
  • 〒212-0058 神奈川県川崎市幸区鹿島田一丁目1番2号 新川崎三井ビル西棟
  • 電話:044-549-1706(ダイヤルイン)
  • http://www.alaxala.com/jp/contact/
慶應義塾広報室 【担当: 村上】
慶應義塾大学理工学部情報工学科 教授 山中 直明(やまなか なおあき)
  • E-mail: yamanaka@keio.jp
慶應義塾大学大学院理工学研究科 特任教授 岡本 聡(おかもと さとる)
  • E-mail: okamoto@ieee.org

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