解説書 Vol.2
本装置と他機器をIPルーティングで接続する場合について説明します。
- <この項の構成>
- (1) ポイント−ポイント型回線のインタフェースアドレス
- (2) ポイント−ポイント回線上でRIP-1を使用する場合の設定
- (3) ポイント−ポイント回線上でOSPFを使用する場合の設定
- (4) OSPFを使用するときの注意事項
- (5) BGP-4を使用するときの注意事項【OP-BGP】
- (6) RFC1583に準拠していない装置とOSPFで接続するときの注意事項
本装置はポイント−ポイント型回線の経路情報(直結経路)を二つのホスト経路として扱います。したがって,本装置だけで構成されたネットワークでは,ポイント−ポイント型の回線にインタフェースアドレスを割り当てることができます。他機種間では使用しないでください。
ポイント−ポイント型の回線に割り当てられるインタフェースアドレスを次に示します。詳細は「解説書 Vol.1 8.2 ネットワーク設計の考え方」を参照してください。
- 複数のポイント−ポイント型回線に同一のネットワークまたはサブネットワークのIPアドレス
- ポイント−ポイント型回線の両端に異なるネットワークまたはサブネットワークのIPアドレス
- 注意
- 本装置ではポイント−ポイント型回線の経路情報を二つのホスト経路として扱いますが,Cisco社製ルータでは一つのネットワーク経路として扱います。したがって,ルーティングプロトコルで広告される経路情報に差異が生じるので注意してください。
(2) ポイント−ポイント回線上でRIP-1を使用する場合の設定
本装置ではポイント−ポイント回線上にRIPパケットを送信する場合,宛先アドレスをユニキャストアドレス(相手装置のインタフェースアドレス)で送信します。また,ポイント−ポイント回線上からRIPパケットを受信する場合,宛先アドレスがユニキャスト・アドレス(自装置のインタフェースアドレス),または制限付きブロードキャストアドレス(すべて1のアドレス)のパケットを受け入れます。
Cisco社製ルータでは「ip broadcast-address」の設定によって,RIPパケットの宛先アドレスが異なります。本装置とCisco社製ルータを接続する場合は,「ip broadcast-address」を設定しないでください。
(3) ポイント−ポイント回線上でOSPFを使用する場合の設定
本装置ではポイント−ポイント回線上でOSPFを動作させた場合,HelloIntervalのデフォルト値は10秒,Routerdeadintervalのデフォルト値は40秒となっています。
本装置と他装置をポイント−ポイント回線で接続する場合には,接続する他装置の使用を確認の上,両ルータ間でHelloInterval値およびRouterdeadinterval値を合わせてください。
- HelloIntervalのデフォルト値
本装置のHelloIntervalのデフォルト値は10秒です。本装置と接続されるルータに設定されたHelloIntervalを確認して,両ルータ間でHelloInterval値を合わせてください。
- priorityのデフォルト値
本装置のpriorityのデフォルト値は1です。ただし,NBMA(コンフィグレーションコマンドinterface(ospf backbone/ospf areaモード)のnonbroadcastサブコマンドを指定したインタフェース)では0です。本装置を指定ルータの選択対象とさせたくない場合は,priority値を0に設定してください。
(5) BGP-4を使用するときの注意事項【OP-BGP】
- NextHop解決
本装置では同一AS内のBGPスピーカへ経路を広告するとき,NEXT_HOP属性にそのBGPスピーカとのピアリングに使用している自側のピアリングアドレスを設定します。また,本装置が受信する経路情報のNEXT_HOP属性はIGP経路を基に解決しています。したがって,NEXT_HOP属性に相手側のピアリングアドレスが設定されている必要はなく,IGPによってNEXT_HOP属性に対応するアドレス宛ての経路が学習されていれば,Next_Hop解決は正常に行われます。
なお,コンフィグレーションコマンドbgpのresolve-nexthopサブコマンドにallを指定すると,Next-Hop解決に使用する経路情報をIGP経路およびBGP経路に拡張できます。
このNext_Hop解決処理は,すべてのピアタイプ(外部ピア,メンバーAS間ピア,内部ピア)に適用されます。Next_Hop解決を次の図に示します。
(6) RFC1583に準拠していない装置とOSPFで接続するときの注意事項
本装置と本装置以外の装置とで,同じ宛先のAS外経路またはエリア間経路を,RFC1583に準拠していない装置に広告するネットワーク構成にしないでください。
これは,OSPFのAS外経路情報とエリア間経路情報の経路情報識別子(LSID)フィールドの値は,RFC1247の規格とRFC1583以降の規格で異なるためです。
RFC1247では,宛先アドレスを経路情報識別子として使用します。一方,RFC1583以降(本装置が該当)では,宛先アドレス以外の値を経路情報識別子として使用する場合があります(仕様は装置によって異なる)。このため,同一宛先の経路情報でも本装置とそのほかの装置が異なる経路情報識別子を使用することがあります。本装置同士では,同一宛先の経路情報の経路情報識別子は必ず同じ値になります。
RFC1583に準拠していない装置では,同じ宛先の経路情報を異なる経路情報識別子で学習した場合,最短経路を選択しないか,または経路を学習しません。なお,RFC1583以降の規格に準拠している装置では,正しく経路を選択します。
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