解説書 Vol.2
フロー検出機能では,フロー検出条件モード,フロー検出条件オプション,およびフロー検出エントリ分配で運用方法を選択できます。
- <この項の構成>
- (1) フロー検出条件モード
- (2) フロー検出条件オプション
- (3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】
(1) フロー検出条件モード
フロー検出条件モードでは,次の表に示す三つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はフィルタリング機能も同じ運用方法となります。
表1-4 フロー検出条件モードで選択できる運用方法
項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件モードの指定方法 1 きめ細かいフロー検出条件を指定する MAC,IPヘッダなどを検出条件としてパケット検出が可能。 フロー検出条件モードの指定なし 2 パケット中継性能を劣化させない IPヘッダ,レイヤ4ヘッダを検出条件としてパケット検出が可能。 フロー検出条件モード1 (retrieval_mode_1)を指定 3 パケット中継性能を劣化させない,かつ指定可能なフローエントリ数を増やす※【OP-F64K】 項番2より検出条件,動作指定を狭めることによって,フローエントリ数を拡張。 フロー検出条件モード2 (retrieval_mode_2)を指定 注※ 指定可能なエントリ数に関しての詳細は,AX7800Rの場合「解説書 Vol.1 3.2.1(12) フィルタリング・QoS」,AX7700Rの場合「解説書 Vol.1 3.2.2(11) フィルタリング・QoS」を参照してください。
次の表にフロー検出条件モードと対応可能PRUの関係を示します。
表1-5 フロー検出条件モードと対応可能PRUの関係
フロー検出条件モード AX7800Rで対応可能なPRU AX7700Rで対応可能なPRUおよび
PRU内蔵型高密度ポートNIF指定なし PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2BRE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2フロー検出条件モード1 PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2BRE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2フロー検出条件モード2 PRU-C2※1
PRU-D2※1
PRU-D2B※1PRU-D2※2 注※1 BCU-2またはBCU-3と組み合わせる必要があります。
注※2 BCU-2と組み合わせる必要があります。
(a) フロー検出条件モード1
パケット中継性能を劣化させることなく,フロー検出機能を運用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード1を指定します。
フロー検出条件モード1指定時,指定可能なフロー検出条件と動作指定を「表1-6 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv4)」,「表1-7 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv6)」に示します。
なお,フィルタリング機能もフロー検出条件モード1で動作します。フロー検出条件モード1指定時,フィルタリング機能で指定可能なフロー検出条件と動作指定は,「解説書 Vol.1 7.6.3 フィルタリングの運用について」,「解説書 Vol.1 13.6.3 フィルタリングの運用について」を参照してください。
(b) フロー検出条件モード2【OP-F64K】
指定可能なフィルタリング・QoSのエントリ数を増やしたい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード2を指定します。
フロー検出条件モード2を使用する場合は,BCU-2またはBCU-3を実装し,対象PRUに「表1-5 フロー検出条件モードと対応可能PRUの関係」で示すPRUを実装してください。フロー検出条件モード2をサポートしていないPRUに対してフロー検出条件モード2を設定した場合,フローフィルタ機能,フローQoS機能のコンフィグレーションは編集・表示できますが,該当PRUでのフローフィルタ機能,フローQoS機能は動作しません。
フロー検出条件モード2指定時,指定可能なフロー検出条件と動作指定を「表1-6 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv4)」,「表1-7 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv6)」に示します。
なお,フィルタリング機能もフロー検出条件モード2で動作します。フロー検出条件モード2指定時,フィルタリング機能で指定可能なフロー検出条件と動作指定は,「解説書 Vol.1 7.6.3 フィルタリングの運用について」,「解説書 Vol.1 13.6.3 フィルタリングの運用について」を参照してください。
(c) フロー検出条件モードごとでの指定可能なフロー検出条件と動作指定
コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件モード1,またはフロー検出条件モード2を指定した場合,指定できないフロー検出条件,動作指定があります。
フロー検出条件モードごとの指定可能なフロー検出条件,動作指定を次の表に示します。
- [IPv4中継パケットの場合]
表1-6 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv4)
設定項目 フロー検出条件モードの指定内容 指定無し モード1 モード2 検出条件 MACヘッダ 送信元MACアドレス ○ ○※1 ○※1 宛先MACアドレス ○ ○※1 ○※1 イーサネットタイプ ○ ○※1 ○※1 Tag-VLANヘッダ ユーザ優先度 ○ ○ ○ Shimヘッダ※3
【OP-MPLS】ラベル番号 ○ ○ ○ EXP ○ ○ ○ IPヘッダ IPユーザデータ長 ○ ○※2 − 上位プロトコル ○ ○※2 ○※2 送信元IPアドレス ○ ○※2 ○※2 宛先IPアドレス ○ ○※2 ○※2 DSCP ○ ○ ○ プレシデンス ○ ○ ○ フラグメント識別子 ○ ○※2 ○※2 TCPヘッダ 送信元ポート番号 ○ ○※2 ○※2 宛先ポート番号 ○ ○※2 ○※2 ACKフラグ ○ ○※2 ○※2 SYNフラグ ○ ○※2 ○※2 UDPヘッダ 送信元ポート番号 ○ ○※2 ○※2 宛先ポート番号 ○ ○※2 ○※2 ICMPヘッダ ICMPタイプ ○ ○※2 ○※2 ICMPコード ○ ○※2 ○※2 IGMPヘッダ IGMPタイプ ○ ○※2 ○※2 動作指定 優先度指定 ○ ○ ○ キューイング優先度 ○ ○ ○ 最大帯域監視 ○ ○ ○ 最低帯域監視 ○ ○ ○※4 UPC-RED ○ ○ − 契約帯域違反時キューイング優先度書き換え ○ ○ ○※4 契約帯域違反時DSCP書き換え ○ ○ ○※4 契約帯域違反時ユーザ優先度書き換え ○ ○ ○※4 契約帯域違反時EXP書き換え【OP-MPLS】 ○ ○ − DSCP書き換え ○ ○ ○ DSCPマップ ○ ○ ○ ユーザ優先度書き換え ○ ○ ○ アグリゲートキュー番号指定 ○ ○ ○ EXP書き換え【OP-MPLS】 ○ ○ − (凡例) ○:指定可 −:指定不可
注※1 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定可です。
注※2 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定不可です。
注※3 Tag-VLAN連携機能を使用する場合,指定不可です。
注※4 オプションライセンスOP-MPLSを使用する場合,指定不可です。
- [IPv6中継パケットの場合]
表1-7 指定可能なフロー検出条件,動作指定(IPv6)
パラメータ フロー検出条件モードの指定内容 指定無し モード1 モード2 検出条件 MACヘッダ 送信元MACアドレス ○ ○※1 ○※1 宛先MACアドレス ○ ○※1 ○※1 イーサネットタイプ ○ ○※1 ○※1 Tag-VLANヘッダ ユーザ優先度 ○ ○ ○ Shimヘッダ※4
【OP-MPLS】ラベル番号 ○※1 ○※1 ○※1 EXP ○※1 ○※1 ○※1 IPヘッダ IPユーザデータ長 ○ ○※2 − 上位プロトコル ○ ○※2 ○※2 送信元IPv6アドレス ○ ○※2 ○※2,※3 宛先IPv6アドレス ○ ○※2 ○※2 DSCP ○ ○ ○ プレシデンス ○ ○ ○ TCPヘッダ 送信元ポート番号 ○ ○※2 ○※2 宛先ポート番号 ○ ○※2 ○※2 ACKフラグ ○ ○※2 ○※2 SYNフラグ ○ ○※2 ○※2 UDPヘッダ 送信元ポート番号 ○ ○※2 ○※2 宛先ポート番号 ○ ○※2 ○※2 ICMPv6ヘッダ ICMPv6タイプ ○ ○※2 ○※2 ICMPv6コード ○ ○※2 ○※2 動作指定 優先度指定 ○ ○ ○ キューイング優先度 ○ ○ ○ 最大帯域監視 ○ ○ ○ 最低帯域監視 ○ ○ ○※5 UPC-RED ○ ○ − 契約帯域違反時キューイング優先度書き換え ○ ○ ○※5 契約帯域違反時DSCP書き換え ○ ○ ○※5 契約帯域違反時ユーザ優先度書き換え ○ ○ ○※5 DSCP書き換え ○ ○ ○ DSCPマップ ○ ○ ○ ユーザ優先度書き換え ○ ○ ○ アグリゲートキュー番号指定 ○ ○ ○ (凡例) ○:指定可 −:指定不可
注※1 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定可です。
注※2 MPLS(L2-VPN)機能を使用する場合,指定不可です。
注※3 上位64ビットまで指定可能です。したがって,送信元IPv6アドレスを指定するときは,プレフィックス長を用いて指定し,プレフィックス長を0〜64の範囲で設定してください。own-addressを指定する場合も同様です。
注※4 Tag-VLAN連携機能を使用する場合,指定不可です。
注※5 オプションライセンスOP-MPLSを使用する場合,指定不可です。
(2) フロー検出条件オプション
フロー検出条件オプションでは,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。なお,選択した運用方法はフィルタリング機能も同じ運用方法となります。
表1-8 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法
項番 運用方法 フロー動作 フロー検出条件オプションの指定方法 1 中継パケットでフロー検出する 中継パケットでだけフロー検出可能 フロー検出条件オプションの指定なし 2 中継パケットおよび本装置宛パケット※でフロー検出したい 中継パケットおよび本装置宛パケット※でフロー検出可能 フロー検出条件オプション1 (retrieval_option_1)を指定
- 注※
- フロー検出条件オプション1指定時にフロー検出対象に加わる本装置宛パケットは以下に該当するパケットです。したがって,フロー検出条件オプション1を指定しない場合,以下に該当する本装置宛パケットはフロー検出対象外です。
- 宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるパケット
- 宛先MACアドレスがマルチキャストMACアドレスまたは自MACアドレスである非IPパケット
- 送信元IPアドレスまたは宛先IPアドレスがリンクローカルアドレスであるパケット
次の表にフロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係を示します。
表1-9 フロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係
フロー検出条件オプション AX7800Rで対応可能なPRU AX7700Rで対応可能なPRUおよびPRU内蔵型高密度ポートNIF 指定なし PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2BRE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2フロー検出条件オプション1 PRU-B2
PRU-B2B
PRU-C2
PRU-D2
PRU-D2BRE1-10G4RX
PRU-D2
PRU-E2(a) フロー検出条件オプション1
本装置宛パケット(「表1-8 フロー検出条件オプションで選択できる運用方法」の注参照)でもフロー検出機能を運用したい場合には,コンフィグレーションコマンドflowで,フロー検出条件オプション1を指定します。フロー検出条件オプション1を使用する場合は,対象PRUに「表1-9 フロー検出条件オプションと対応可能PRUの関係」で示す対応可能PRUを実装してください。なお,フィルタリング機能もフロー検出条件オプション1で動作します。また,フロー検出条件オプション1の指定は,フロー検出条件モードと同時に設定することができます。
- 注
- Tag-VLAN連携回線においてLACP,CDP,OADP,LLDPのパケットをフロー検出する場合は,untaggedのインタフェースにコンフィグレーションflow qosを設定してください。
(3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】
フロー検出エントリ分配では,次の表に示す二つの運用方法を選択できます。
表1-10 フロー検出エントリ分配で選択できる運用方法
項番 運用方法 フロー検出エントリ分配の指定方法 1 フィルタリングとQoSのエントリ数を均等に使用したい フロー検出エントリ分配の指定なし 2 QoSよりもフィルタリングのエントリを多く使用したい※ フロー検出エントリ分配(retrieval_entry_partition filter)を指定 注※ 指定可能なエントリ数に関しての詳細は,AX7800Rの場合「解説書 Vol.1 3.2.1(12) フィルタリング・QoS」,AX7700Rの場合「解説書 Vol.1 3.2.2(11) フィルタリング・QoS」を参照してください。
なお,選択した運用方法はフィルタリング機能も同じ運用方法となります。フロー検出エントリ分配については,「解説書 Vol.1 7.6.3(3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】」または「解説書 Vol.1 13.6.3(3) フロー検出エントリ分配【OP-F64K】」を参照してください。
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