コンフィグレーションガイド Vol.3

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34.1.2 VRF

ネットワーク・パーティションを実現する機能の一つとしてVRFがあります。VRFとは,装置内に論理的に分離された複数のルーティングテーブルを保持し,各ルーティングテーブルに従いパケットを転送する機能です。この異なるルーティング空間のことをVRFインスタンスと呼びます。そのため,VRFインスタンスが異なれば同じIPアドレスを重複して使用できます。また,ルーティングプロトコルはVRFインスタンスごとに独立して動作します。

VLANは,VRFインスタンスまたはグローバルネットワークのどちらかに所属します。グローバルネットワークとは,VRF設定されていない状態のネットワークを指します。グローバルネットワークは,VRF設定されていないインスタンスであり,ほかのVRFインスタンスとは分離されています。

各機能のVRFのサポート状況を次の表に示します。

表34-3 VRFサポート状況

項目 サポート
状況
備考
VLAN機能 ポートVLAN なし
プロトコルVLAN
MAC VLAN
Tag変換
VLANトンネリング
レイヤ2プロトコル スパニングツリー VRFと装置単位で排他
Ring Protocol VRFとの同時動作については,次を参照してください。
IGMP snooping/MLD snooping なし
ポリシーベーススイッチング なし
フィルタ フィルタ なし
uRPF
QoS なし
レイヤ2認証 IEEE 802.1X VRFと装置単位で排他
Web認証 VRFと装置単位で排他
MAC認証 VRFと装置単位で排他
認証VLAN VRFと装置単位で排他
DHCP snooping なし
高信頼化機能 GSRP なし
VRRP
障害検出機能 IEEE802.3ah/UDLD なし
ストームコントロール
L2ループ検知
CFM
リモートネットワーク管理 SNMP VRF上でのSNMPのコンフィグレーションについては,次を参照してください。
MIB 一部のMIBはグローバルネットワークだけが対象です。詳細は次を参照してください。
SNMP通知 一部のSNMP通知はグローバルネットワークだけが対象です。詳細は次を参照してください。
syslog出力 VRFへのsyslog出力のコンフィグレーションについては,次を参照してください。
E-Mail出力 グローバルネットワークだけが対象
sFlow統計 VRFも統計対象に含みます。ただし,VRF設定したインタフェースで収集する情報では,ルータ型拡張データ形式およびゲートウェイ型拡張データ形式は無効となります。
コレクタはグローバルネットワークに設置してください。
隣接装置情報管理 LLDP Organizationally-defined TLV extensionsはグローバルネットワークだけが対応します。詳細は次を参照してください。
OADP VRFのVLANでは,OADP中にAddress情報は含まれません。詳細は次を参照してください。
ポートミラーリング なし
レイヤ3中継 IPv4ユニキャスト中継 本章のほかに次を参照してください。
IPv4ユニキャストVRF間中継 詳細は次を参照してください。
IPv4マルチキャスト中継 詳細は次を参照してください。
IPv4マルチキャストVRF間中継
IPv6ユニキャスト中継 本章のほかに次を参照してください。
IPv6ユニキャストVRF間中継 詳細は次を参照してください。
IPv6マルチキャスト中継 IPv6マルチキャストをVRFで動作させた場合,グローバルネットワークを含む全VRFでIPv6 PIM-SSMの系切替時の通信無停止対応機能が動作しません。
VRFでのIPv6マルチキャスト中継については,次を参照してください。
IPv6マルチキャストVRF間中継
NULLインタフェース グローバルネットワークとVRFで一つのNULLインタフェースを共用します。
ポリシーベースルーティング VRF間ルーティングもできます。
VRF間ポリシーベースルーティングのコンフィグレーションについては,次を参照してください。
RA なし
DHCP/BOOTPリレーエージェント VRF上でのリレーエージェントのコンフィグレーションについては,次を参照してください。
DHCPサーバ機能 グローバルネットワークだけが対象
IPv6 DHCPリレー グローバルネットワークだけが対象
IPv6 DHCPサーバ機能 グローバルネットワークだけが対象
IPv4スタティックルーティング VRF間ルーティングもできます。
コンフィグレーションについては,次を参照してください。
IPv6スタティックルーティング VRF間ルーティングもできます。
コンフィグレーションについては,次を参照してください。
IPv4ユニキャストルーティングプロトコル RIP コンフィグレーションについては,次を参照してください。
OSPF
BGP4 詳細は次を参照してください。
経路フィルタリング なし
IPv6ユニキャストルーティングプロトコル RIPng コンフィグレーションについては,次を参照してください。
OSPFv3
BGP4+ 詳細は次を参照してください。
経路フィルタリング なし
IPv4マルチキャストルーティングプロトコル IGMP 詳細は次を参照してください。
PIM-SM
PIM-SSM
PIM-DM グローバルネットワークだけが対象
IPv6マルチキャストルーティングプロトコル MLD 詳細は次を参照してください。
PIM-SM
PIM-SSM
運用・保守 ping なし
traceroute
telnet
ftp
tftp
telnetによるログイン 詳細は次を参照してください。
ftpによるログイン
SSH 詳細は次を参照してください。
DNSリゾルバ グローバルネットワークだけが対象
NTP コンフィグレーションについては,次を参照してください。

(凡例)○:サポート △:一部サポート −:未サポート


本装置では,VRFインスタンスでIPv6を使用するかどうか,およびRing ProtocolやGSRPをVRFと同時動作させるかどうかを,動作モードとして設定します。本装置でサポートするVRFの動作モード,動作対象となる通信プロトコル,値の範囲および説明を次の表に示します。

表34-4 VRFの動作モード,値の範囲および説明

VRF動作モード VRF動作対象プロトコル VRFの値の範囲 説明
設定なし なし 設定不可
  • VRFは動作しません
axrp-enable IPv4 2〜64
  • IPv4だけがVRFインスタンスで動作します
  • Ring Protocolが動作します
l2protocol-disable IPv4 2〜250
  • IPv4だけがVRFインスタンスで動作します
  • レイヤ2プロトコルが動作しません
axrp-enable-ipv4-ipv6 IPv4
IPv6
2〜64
  • IPv4とIPv6のどちらもVRFインスタンスで動作します
  • Ring Protocolが動作します
gsrp-enable-ipv4-ipv6 IPv4
IPv6
2〜125
  • IPv4とIPv6のどちらもVRFインスタンスで動作します
  • GSRPが動作します
l2protocol-disable-ipv4-ipv6 IPv4
IPv6
2〜250
  • IPv4とIPv6のどちらもVRFインスタンスで動作します
  • レイヤ2プロトコルが動作しません

なお,VRFを使用するためには,オプションライセンスOP-NPARが必要です。MSU-1A,MSU-1A1,およびCSU-1Aでは未サポートです。

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