コンフィグレーションガイド Vol.2
- <この項の構成>
- (1) 概要
- (2) プライマリ仮想ルータ
- (3) フォロー仮想ルータ
- (4) MAC Learningフレーム
- (5) 注意事項
(1) 概要
本装置では独自の付加機能として,仮想ルータをグループ化できます。そのグループ単位で,マスタ/バックアップの切り替えができます。グループは,プライマリ仮想ルータとフォロー仮想ルータから構成されます。
グループ化することで,最大4095の仮想ルータを使用できます。
グループ切替機能の構成と切り替えの概要を次の図に示します。
図23-13 グループ切替機能の構成と切り替えの概要
- マスタ/バックアップ装置のそれぞれの監視機能によって,障害を検出
- マスタ装置では,障害を検出したグループの全仮想ルータがバックアップへ遷移
- バックアップ装置では,障害を検出したグループの全仮想ルータがマスタへ遷移
(2) プライマリ仮想ルータ
ADVERTISEMENTパケットの送受信やトラッキング機能が動作し,マスタ/バックアップを切り替える仮想ルータを,プライマリ仮想ルータと呼びます。プライマリ仮想ルータの状態が,グループに属するすべての仮想ルータの状態を決定します。
(3) フォロー仮想ルータ
プライマリ仮想ルータの状態に従い自身の状態を決定する仮想ルータを,フォロー仮想ルータと呼びます。フォロー仮想ルータは,ADVERTISEMENTパケットの送受信やトラッキング機能による障害検出・状態遷移は行わず,プライマリ仮想ルータの状態に従います。プライマリ仮想ルータが動作していない場合は,イニシャル状態となります。また,自分自身を含むフォロー仮想ルータの状態に従うことはできません。フォロー仮想ルータはプライマリ仮想ルータの状態に従うため,アドレス所有者にはなれません。
フォロー仮想ルータのプライマリ仮想ルータと異なる機能について次の表に示します。
表23-6 フォロー仮想ルータの機能
プライマリ仮想ルータと異なる機能 動作 マスタ/バックアップの切り替え ADVERTISEMENTパケット送受信,トラッキング機能による障害検出・状態遷移は行わず,プライマリ仮想ルータの状態に従います。 コンフィグレーション設定 マスタの選出方法のために利用する次のコンフィグレーションコマンドは,無効です。
vrrp authentication
vrrp preempt
vrrp preempt delay
vrrp timers non-preempt-swap
vrrp priority
vrrp track運用ログ 状態遷移に伴う運用ログは出力しません。
グループを構成するプライマリ仮想ルータが設定されていない場合,フォロー仮想ルータが無効である旨のログを出力し注意を促します。また,プライマリ仮想ルータが設定された場合に回復メッセージを出力します。MIB情報の取得 未サポートです。プライマリ仮想ルータだけ取得できます。 SNMP通知の送信 未サポートです。プライマリ仮想ルータだけ送信します。
(4) MAC Learningフレーム
マスタ状態の仮想ルータは,下流のLANスイッチに仮想MACアドレスを学習させる必要があります。
- プライマリ仮想ルータ
プライマリ仮想ルータはADVERTISEMENTパケットを送信します。下流のLANスイッチは,それを受信することで仮想MACアドレスを学習します。
- フォロー仮想ルータ
フォロー仮想ルータはADVERTISEMENTパケットを送信しません。その代わりに,定期的に送信元MACアドレスを仮想MACアドレスとしたMAC Learningフレームを送信します。下流のLANスイッチは,このMAC Learningフレームを受信することで,仮想MACアドレスを学習します。
(5) 注意事項
- グループ化する仮想ルータは,同じ仮想ルータIDに設定することを推奨します。異なる仮想ルータIDでグループ化した場合,同じ仮想ルータIDでグループ化した場合に比べて,通信の再開に時間が掛かることがあります。
- 仮想ルータを構成する装置間では,仮想ルータのコンフィグレーションは同一にしてください。例えば,ある仮想ルータが,一方の装置でプライマリ仮想ルータ,他方の装置でフォロー仮想ルータとした場合,正しく動作しません。
- プライマリ仮想ルータは,グループに属するフォロー仮想ルータのすべての障害を検出できるように設定してください。プライマリ仮想ルータのトラッキング機能で障害を検出できないフォロー仮想ルータは,障害発生時に状態遷移ができないで通信できなくなります。
例えば,プライマリ仮想ルータとフォロー仮想ルータでADVERTISEMENTパケットの通信経路が異なる場合や監視を必要とするVLANが異なる場合,プライマリ仮想ルータはそれらすべてを監視する必要があります。
- グループ切替機能を利用している場合,トラッキング機能で障害を検出し仮想ルータの優先度が0になってもIPインタフェースはダウンしません。
- MAC Learningフレームは,1フォロー仮想ルータ当たり2分周期で送信されます。下流のLANスイッチでは,MACアドレステーブルのエージング時間を2分以下に設定した場合,エージングとMACアドレス学習を繰り返します。エージング時間は4分以上に設定することを推奨します。
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