コンフィグレーションガイド Vol.2

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23.1.7 VRRPのサポート規格

本装置では複数のVRRPの規格をサポートしているため,既存システムで採用されている規格に合わせて,柔軟に仮想ルータを設定できます。VRRPの規格を仮想ルータに適用するには,VRRP動作モードを設定してください。

サポートしているVRRPの規格とVRRP動作モード設定のコマンドの対応を次の表に示します。

表23-4 VRRPの規格とVRRP動作モード設定のコマンドの対応

規格 VRRP動作モード設定のコマンド
IPv4 RFC3768 IPv4仮想ルータのデフォルト動作
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 vrrp ietf-unified-spec-02-mode
IPv6 draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02 IPv6仮想ルータのデフォルト動作
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07 vrrp ietf-ipv6-spec-07-mode
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 vrrp ietf-unified-spec-02-mode

ADVERTISEMENTパケットのフォーマットやフィールドの意味は規格ごとに異なります。そのため,仮想ルータを構成する装置間で異なった設定をすると,ADVERTISEMENTパケットを不正パケットと判断して破棄してしまい,お互いがマスタ状態になることがあります。したがって,コンフィグレーションの設定時は,仮想ルータを構成する装置間でVRRP動作モードを一致させてください。

<この項の構成>
(1) IPv4仮想ルータのデフォルト動作概要
(2) IPv6仮想ルータのデフォルト動作概要
(3) vrrp ietf-ipv6-spec-07-modeの動作概要
(4) vrrp ietf-unified-spec-02-modeの動作概要
(5) 障害検出時間について

(1) IPv4仮想ルータのデフォルト動作概要

VRRPパケットVer.2(RFC3768で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行い,ADVERTISEMENTパケットの認証機能が利用できます。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

(2) IPv6仮想ルータのデフォルト動作概要

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行い,ADVERTISEMENTパケットの認証機能が利用できます。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

(3) vrrp ietf-ipv6-spec-07-modeの動作概要

IPv6仮想ルータでサポートしているVRRP動作モードです。

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行います。

本装置に設定されたADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

ADVERTISEMENTパケットの認証機能は利用できません。

(4) vrrp ietf-unified-spec-02-modeの動作概要

IPv4/IPv6仮想ルータでサポートしているVRRP動作モードです。

VRRPパケットVer.3(draft-ietf-vrrp-unified-spec-02で規定されているパケットフォーマット)を使用してADVERTISEMENTを行います。

マスタ装置からのADVERTISEMENTパケットの受信によって得られるマスタ装置のADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,障害検出時間を決定します。

ADVERTISEMENTパケットの認証機能は利用できません。

(5) 障害検出時間について

本装置では,仮想ルータがdraft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07またはdraft-ietf-vrrp-unified-spec-02に従って動作している場合,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔をミリ秒単位で指定すると,すばやく障害を検出して,仮想ルータを切り替えられます。

すばやくVRRPを切り替えるためには,障害検出時間を短くする必要があります。障害検出時間は,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔を基に,次の式で算出されます。

 
障害検出時間 = ADVERTISEMENTパケット送信間隔 × 3 + Skew_Time
 

なお,Skew_Timeの算出方法はVRRPの規格ごとに異なります。VRRPの規格とSkew_Timeの算出方法を次の表に示します。

表23-5 VRRPの規格とSkew_Time算出方法

VRRPの規格 ADVERTISEMENTパケット送信間隔の指定単位 Skew_Time
RFC3768 (256 - Priority※1) / 256
(単位:秒)
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-02
draft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07 1/100秒 ((256 - priority※1) * Advertisement_Interval※2) / 256
(単位:Advertisement_Interval※2と同じ)
draft-ietf-vrrp-unified-spec-02 1/100秒 ((256 - priority※1) * Master_Adver_Interval※3) /256
(単位:Master_Adver_Interval※3と同じ)

注※1 仮想ルータの優先度

注※2 自装置に設定されたADVERTISEMENTパケット送信間隔

注※3 マスタ装置のADVERTISEMENTパケット送信間隔


本装置では,仮想ルータがdraft-ietf-vrrp-ipv6-spec-07またはdraft-ietf-vrrp-unified-spec-02で動作している場合,ADVERTISEMENTパケットの送信間隔に250ミリ秒を指定すると,障害検出時間を1秒以内に設定できます。

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