運用ガイド
VLAN使用時にレイヤ2通信ができない場合は,次に示す障害解析方法に従って原因の切り分けを行ってください。
- <この項の構成>
- (1) VLAN状態の確認
- (2) ポート状態の確認
- (3) FDB状態の確認
(1) VLAN状態の確認
show vlanコマンドまたはshow vlan detailコマンドを実行して,VLANの状態を確認してください。以下に,VLAN機能ごとの確認内容を示します。
(a) 全VLAN機能での共通確認
- ポートがVLANに所属しているか
- Untaggedポート,Taggedポートの設定は合っているか。また,デフォルトVLAN(VLAN ID 1)で期待したポートが所属していない場合は,以下の設定を確認してください。
- Line名称またはリンクアグリゲーション名称に対してIPアドレスを設定したポートでないか。
- Tag-VLAN連携機能を設定したポートでないか。
- VLAN ID 1以外のポートVLANでUntaggedポートに指定していないか。
- コンフィグレーションコマンドvlan-drop-unknownで指定したポートでないか。
- コンフィグレーションコマンドvlan-tunneling-enableを指定していないか。
(b) プロトコルVLANの場合の確認
プロトコルVLANを使用している場合は,show vlanコマンドを実行して,プロトコルが正しく設定されていることを確認してください。
# show vlan : VLAN ID:100 Type:Protocol based Status:Up Protocol VLAN Information Name:ipv4 EtherType:0800,0806 LLC: Snap-EtherType: Learning:On Uplink-VLAN: Uplink-Block: Tag-Translation: :(c) MAC VLANの場合の確認【AX7800S】
- MAC VLANを使用している場合は,show vlan mac-vlanコマンドを実行して,VLANで通信を許可するMACアドレスが正しく設定されていることを確認してください。括弧内は,MACアドレスの登録元機能を表しています。
- [登録元機能]
- static:コンフィグレーションにより設定されたMACアドレスです。
- dot1x:IEEE802.1X機能により設定されたMACアドレスです。
# show vlan mac-vlan : VLAN ID:100 MAC Counts:4 00:12:E2:00:00:01 (static) 00:12:E2:00:00:02 (static) 00:12:E2:00:00:03 (static) 00:12:E2:00:00:04 (dot1x)- show vlan mac-vlan detailコマンドを実行して,レイヤ2認証機能とコンフィグレーションで同じMACアドレスを異なるVLANに設定していないことを確認してください。*(アスタリスク)が表示されているMACアドレスは,コンフィグレーションで同じMACアドレスが設定され,無効になっていることを示します。
# show vlan mac-vlan detail : VLAN ID:500 MAC Counts:4 00:12:E2:00:aa:01 (static) 00:12:E2:00:aa:02 (static) 00:12:E2:00:aa:03 (static) 00:12:E2:00:aa:04 (dot1x) VLAN ID:600 MAC Counts:1 * 00:12:E2:00:aa:01 (dot1x)(d) アップリンクVLANの場合の確認
アップリンクVLAN機能を適用している場合は,show vlan detailコマンドを実行して,端末接続ポート間の転送抑止機能が適用されていないか確認してください。
# show vlan detail : VLAN ID:10 Type:Port based Status:Down Learning:On Uplink-VLAN:Loose Uplink-Block: Tag-Translation: : Port Information 0/0 Down - Tagged Uplink 0/1 Down - Untagged
- Looseが表示されている場合,端末接続ポート間でブロードキャスト,フラッディングの転送を抑止します。
- Strictが表示されている場合,端末接続ポート間ですべてのフレーム転送を抑止します。
(e) アップリンクブロックの場合の確認
アップリンクブロック機能を適用している場合は,show vlan detailコマンドを実行して,ブロックポートに設定したポートでないか確認してください。アップリンクブロックでは,ブロックポート間ですべてのフレーム転送を抑止します。
# show vlan detail : VLAN ID:20 Type: Port based Status:Down Learning:On Uplink-VLAN: Uplink-Block:On Tag-Translation: : Port Information 0/1 Down - Untagged Block 0/2 Down - Tagged Block(f) プライベートVLANの場合の確認
- プライベートVLAN機能を適用している場合,show vlan private-vlanコマンドを実行して,Primary VLANとSecondary VLANの対応関係の設定を確認してください。
# show vlan private-vlan Primary VLAN counts:1 VLAN ID:200 isolated(1) :201 community(3):202-204- Secondary VLAN内で通信障害となっている場合は,show vlanコマンドを実行して,Secondary VLANタイプがcommunityであることを確認してください。isolatedである場合は,VLAN内の通信を抑止します。
# show vlan : VLAN ID:202 Type: Port based Status:Up Learning:On Uplink-VLAN: Uplink-Block: Tag-Translation: BPDU Forwarding: EAPOL Forwarding: Private-VLAN:Secondary(community)
(2) ポート状態の確認
- show vlan detailコマンドを実行して,ポートがUp状態であることを確認してください。Down状態の場合は「8.4 ネットワークインタフェースの通信障害」を参照してください。
- ポートがForwarding状態であることを確認してください。Blocking状態である場合は,括弧内の要因によりBlocking状態となっています。要因となっている機能の運用状態を確認してください。
- [要因]
- VLAN:VLANがdisable指定です。
- LA:リンクアグリゲーションにより転送停止中です。
- STP:スパニングツリーにより転送停止中です。
- GSRP:GSRPにより転送停止中です。
- dot1x:IEEE802.1X機能によって転送停止中です。
# show vlan detail : VLAN ID:100 Type:Protocol based Status:Up : Port Information 0/1 Up Forwarding Untagged 0/2 Up Forwarding Tagged
- ポートがPSU Mismatch状態である場合,MAC VLANのUntaggedポートをMAC VLAN未サポートのPSUに設定しています。当該ポートからすべてのMAC VLANを解除してください。
MAC VLANをサポートするPSUについては,「解説書 Vol.1 7.4 MAC VLAN【AX7800S】」を参照してください。実装されているPSUを確認するには,show systemコマンドを実行してください。
# show vlan detail : VLAN ID:100 Type:Mac based Status:Up : Port Information 0/1 Up PSU Mismatch Untagged 0/2 Up Forwarding Tagged VLAN ID:200 Type:Port based Status:Up : Port Information 0/1 Up PSU Mismatch Untagged
(3) FDB状態の確認
(a) MACアドレス学習の状態の確認
- show fdbコマンドを実行して,通信障害となっている宛先MACアドレスの情報を確認してください。
# show fdb MAC address VLAN Aging-Time Type Port-list 00:12:E2:2c:65:0c 10 299 Dynamic 0/1 00:12:E2:2c:65:0b 1 299 Dynamic 0/2- Type表示によって以下の対処を行ってください。
- 【Type表示がDynamicの場合】
- MACアドレス学習の情報が更新されていない可能性があります。clear fdbコマンドで古い情報をクリアしてください。宛先の装置からフレームを送信することでも情報を更新できます。
- 【Type表示がStaticの場合】
- コンフィグレーションコマンドfdb static-entryで設定している転送先ポートを確認してください。
- 【Type表示がSnoopの場合】
- 「8.5.3 IGMP snoopingによるマルチキャスト中継ができない」および「8.5.4 MLD snoopingによるマルチキャスト中継ができない」を参照してください。
- 【Type表示がDot1xの場合】
- 「8.12.1 IEEE 802.1X使用時の通信障害」を参照してください。
- 【Type表示がInvalidの場合】
- 削除処理中のエントリです。削除後はフラッディングします。宛先の装置からフレーム送信があれば新たに学習を行います。
- 該当するMACアドレスが表示されない場合はフラッディングされます。表示されないにも関わらず通信ができない場合は,フローフィルタ情報およびフローQoS情報によりunicast_floodを指定していないか確認してください。
(b) MACアドレス学習数制限機能の状態の確認
- MACアドレス学習数制限(コンフィグレーションコマンドfdb limit-learning)を設定していて,かつ制限値になったときの動作を廃棄設定にしている場合は,show fdb learning-counterコマンドを実行して,学習数が制限値に達していないか確認してください。
# show fdb learning-counter : Port Count Limit Type 0/0 0 - - 0/1 100 100 Discard :- 学習数が制限値をこえている場合は,ネットワークに接続する端末を減らすか,または制限値を見直してください。不要なアドレスはclear fdbコマンドによりクリアするか,またはエージング時間(デフォルト:300秒)までお待ちください。
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