解説書 Vol.1
- <この節の構成>
- (1) 制御パケットのフラッディング
- (2) マルチキャストルータポートの設定
- (3) IGMPバージョン3ホストとの接続
- (4) MLDバージョン2ホストとの接続
- (5) 運用コマンド実行によるMACアドレスの再学習
(1) 制御パケットのフラッディング
IGMP snooping/MLD snoopingが抑止対象とするマルチキャストトラフィックはデータトラフィックであり,ルーティングプロトコルなどの制御パケットはVLAN内の全ルータや全ホストが受信できるようにVLAN内にfloodingする必要があります。このため,本装置では,次の表に示すアドレス範囲に含まれる宛先IPアドレスを持つパケットは,VLAN内の全ポートに中継します。次の表に示すアドレス範囲外の宛先IPアドレスを持つパケットは,マルチキャストMACアドレスの学習結果に従って中継します。
(a) AX7800Sの場合(PSU-1,PSU-2使用時)
表9-7 制御パケットのフラッディング
プロトコル アドレス範囲 IGMP snooping 224.0.0.0〜224.0.0.255 MLD snooping ff0x:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx::1※
( xxxx:0000〜ffff)注※ MLD snoopingを使用する際,宛先IPアドレスが上表のアドレス範囲外であるルーティングプロトコルの制御パケットは学習されない可能性があるため,マルチキャストルータポートを設定し,制御パケットがルータに転送されるようにしてください。
(b) AX7800Sの場合(PSU-12,PSU-12B,PSU-22,PSU-33,PSU-43,PSU-53使用時)
表9-8 制御パケットのフラッディング
プロトコル アドレス範囲 IGMP snooping 224.0.0.0〜224.0.0.255 MLD snooping ff02::/16
- 注意
- PSU-1,PSU-2とPSU-12,PSU-12B,PSU-22,PSU-33,PSU-43あるいはPSU-53が混在する構成では,「表9-5 MLDv1メッセージごとの動作」および「表9-6 MLDv2メッセージごとの動作」に示す動作や,MLDv2 Reportの学習などが正常に行われなくなります。そのため,PSUを複数搭載する場合は,装置内のすべてのPSUを同じ種類にしてください。PSU-1,PSU-2とPSU-12,PSU-12B,PSU-22,PSU-33,PSU-43あるいはPSU-53が混在する構成でIGMP snooping/MLD snoopingを使用中に,PSU-1,PSU-2を入れ替えて,PSU-12,PSU-12B,PSU-22,PSU-33,PSU-43あるいはPSU-53だけの構成に変更した場合は,restart snoopingコマンドを実行してください。
(c) AX5400Sの場合
表9-9 制御パケットのフラッディング
プロトコル アドレス範囲 IGMP snooping 224.0.0.0〜224.0.0.255 MLD snooping ff02::/16
(2) マルチキャストルータポートの設定
(a) 冗長構成時
スパニングツリーによって冗長構成を採り,スパニングツリーによってトポロジー変更でルータとの接続が変わる可能性がある場合は,ルータと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。
(b) レイヤ2スイッチ間の接続時
複数のレイヤ2スイッチだけで構成されるVLANで,マルチキャストトラフィックの送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続するポートをマルチキャストルータポートに設定しておく必要があります。
冗長構成を採る場合は,送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。
(3) IGMPバージョン3ホストとの接続
本装置にIGMPv3ホストを接続する場合,次に示すどちらかの対応が必要です。
- 該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用して,IGMPバージョンを3に設定してください。
- IGMPv3ルータを接続して該当するルータが常に代表クエリアになるようにIPアドレスを設定してください。また,マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのIGMPv3 Reportを受信したときに,本装置が学習しているエントリを削除したい場合は,本装置にもIGMPクエリアを設定してください。この場合も,IGMPv3ルータが代表クエリアになるように設定します。なお,該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用しないでください。
また,IGMPv3ホストからのIGMPv3メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。
(4) MLDバージョン2ホストとの接続
本装置にMLDv2ホストを接続する場合,次に示すどちらかの対応が必要です。
- 該当するVLANにIPv6マルチキャストを使用して,MLDバージョンを2に設定してください。
- MLDv2ルータを接続して該当するルータが常に代表クエリアになるようにIPアドレスを設定してください。また,マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのMLDv2 Reportを受信したときに,本装置が学習しているエントリを削除したい場合は,本装置にもMLDクエリアを設定してください。この場合も,MLDv2ルータが代表クエリアになるように設定します。なお,該当するVLANにIPv6マルチキャストを使用しないでください。
また,MLDv2ホストからのMLDv2メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。
(5) 運用コマンド実行によるMACアドレスの再学習
IGMP/MLD snoopingの運用コマンドのほかに,下記のコマンドを実行した場合,それまでに学習したマルチキャストMACアドレスをクリアし,再学習を行います。運用コマンド実行後は,一時的にマルチキャスト通信が中断します。
- copy backup-configコマンド
- restart vlanコマンド
Copyright (c)2005, 2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.