解説書 Vol.1

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8.6 スパニングツリー使用時の注意事項

<この節の構成>
(1) マルチプルスパニングツリー使用時の注意事項
(2) BCU二重化構成でBPDUガード機能を使用する場合について
(3) ループガード機能を設定するポートについて
(4) VLANトンネリングについて
(5) プライベートVLANについて
(6) BCUの過負荷について

(1) マルチプルスパニングツリー使用時の注意事項

(a) MSTリージョンについて

(b) トポロジーの収束に時間が掛かる場合について

CISTのルートブリッジまたはMSTインスタンスのルートブリッジで,次の表に示すイベントが発生すると,トポロジーが落ち着くまでに時間が掛かる場合があります。その間,通信が途絶えたり,FDBのクリアが発生したりします。

イベント 内容 イベントの発生したルートブリッジ種別 影響トポロジー
コンフィグレーション変更 リージョン名(1),リビジョン番号(2),またはインスタンス番号(3)とVLANの対応(4)をコンフィグレーションで変更し,リージョンを分割または同じにする場合
(1) spanning-tree mstのnameサブコマンド
(2)spanning-tree mstのrevisionサブコマンド
(3)spanning-tree mstのinstanceサブコマンド
(4)spanning-tree mst instanceのinstance-vlanサブコマンド
CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス0 (IST)でのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス
ブリッジ優先度をspanning-tree mst instanceのbridge-priorityサブコマンドのコンフィグレーションで下げた(現状より大きな値を設定した)場合 CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス
現在の装置のMACアドレスより値が小さくなるようにコンフィグレーションコマンドlocal-mac-addressで設定した場合 CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス
二重化BCUの系切替 BCUの系切替後に,装置のMACアドレスの値が小さくなった場合【AX7800S】 CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス
その他 本装置が停止した場合 CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス0 (IST)でのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス
本装置と接続している対向装置で,ループ構成となっている本装置の全回線がダウンした場合(本装置が当該ループ構成上ルートブリッジではなくなった場合) CISTのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス0 (IST)でのルートブリッジ CIST
MSTインスタンス1以降でのルートブリッジ 当該MSTインスタンス

注※ 実施時の回避策
コンフィグレーションコマンドlocal-mac-addressを設定し,運用系と待機系のMACアドレスを同じ値に設定してください。

(c) ループガード機能ついて

マルチプルスパニングツリーでループガード機能を使用することはできません。

(2) BCU二重化構成でBPDUガード機能を使用する場合について

BPDUガード機能によってポートがダウンした場合,BCU障害などでBCU切り替えが発生すると,新運用系で当該ポートがダウンしたままになります。この状態でコマンドによってスパニングツリーの状態を出力すると,BPDUガードでポートがダウンしたのではなく,最初からポートがダウンしていたように出力されます。その場合,freeコマンドによって当該Lineを運用状態にしてください。

(3) ループガード機能を設定するポートについて

ループガード機能を設定したあと,次に示すイベントが発生すると,ループガードが動作してポートをブロックします。その後,BPDUを受信するまで,ループガードは解除されません。

なお,ループガード機能は,指定ポートだけでなく対向装置にも設定してください。指定ポートだけに設定すると,上記のイベントが発生しても,指定ポートはBPDUを受信しないことがあります。このような場合,ループガードの解除に時間が掛かります。ループガードを解除するには,対向装置のポートでBPDU受信タイムアウトを検出したあとのBPDUの送信を待つ必要があるためです。

また,両ポートにループガードを設定した場合でも,指定ポートでBPDUを一度も受信せずに,ループガードの解除に時間が掛かることがあります。具体的には,対向ポートが指定ポートとなるようにブリッジやポートの優先度,パスコストを変更した場合です。対向ポートでBPDUタイムアウトを検出し,ループガードが動作します。このポートが指定ポートになった場合,BPDUを受信しないことがあり,ループガードの解除に時間が掛かることがあります。

運用中にループガード機能を設定した場合,その時点では,ループガードは動作しません。運用中に設定したループガードは,BPDUの受信タイムアウトが発生した時に動作します。

本装置と対向装置のポート間にBPDUを中継しない装置が存在し,かつポートの両端にループガード機能を設定した状態でポートがリンクアップした場合,両端のポートはループガードが動作したままになります。復旧するには,ポート間に存在する装置のBPDU中継機能を有効にし,再度ポートをリンクアップさせる必要があります。

(4) VLANトンネリングについて

VLANトンネリング設定時,Untaggedポート(VLANトンネリングのアクセス回線側)はスパニングツリーの対象外になります。Taggedポート(バックボーン回線側)だけがスパニングツリーを使用できます。

(5) プライベートVLANについて

プライベートVLANでスパニングツリーを使用する場合,次に示す注意事項があります。

(6) BCUの過負荷について

BCUが過負荷な状態となった場合,本装置が送受信するBPDUの廃棄が発生し,タイムアウトのメッセージ出力,トポロジー変更,一時的な通信断となることがあります。

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