解説書 Vol.1
スパニングツリーを構築するために使用するブリッジやポートの役割,およびそれらの役割を決定するために用いる識別子について以下に示します。
- <この項の構成>
- (1) ルートブリッジ・指定ブリッジ
- (2) ルートポート・指定ポート
- (3) ブリッジ識別子・ポート識別子
- (4) パスコスト・ルートパスコスト
(1) ルートブリッジ・指定ブリッジ
- ルートブリッジ
ツリーを構築しているスイッチ内の論理的な中心となるスイッチでツリー内に一つだけルートブリッジはあります。
- 指定ブリッジ
ルートブリッジの方向から特定のリンクへ向かうトラフィックの転送を担当するスイッチは,そのリンクの指定ブリッジと呼びます。
(2) ルートポート・指定ポート
ツリー内の指定ブリッジは,以下の3種類のポートを持ちます。ルートブリッジはすべてのポートが指定ポートとなります。
- ルートポート
指定ブリッジからルートブリッジに向かう接続性を提供するポートで,「通信可」状態のポートです。
- 指定ポート
ルートブリッジ,または指定ブリッジから各リンクへ向かう方向のポートで「通信可」状態のポートです。
- 非指定ポート
ルートポート・指定ポート以外のポートで,「通信不可」状態のポートです。
冗長構成時にルートポート上に障害が発生した場合にはルートポートになる可能性のあるポートや,故障時や管理上の制御によって「転送不可」状態になっているポートを含みます。
(3) ブリッジ識別子・ポート識別子
- ブリッジ識別子
ネットワーク内の個々のスイッチに一意な識別子です。ブリッジ識別子はブリッジ優先度(16bit)とブリッジMACアドレス(48bit)で構成されます。ブリッジ優先度の下位12bitは拡張システムIDです。拡張システムIDには,シングルスパニングツリー,マルチプルスパニングツリーの場合は0が設定され,PVST+の場合はVLAN IDが設定されます。ブリッジ識別子を次の図に示します。
- ポート識別子
スイッチ内の各ポートを一意に識別するために割り当てる識別子です。ポート識別子はポート優先度(4bit)とポート番号(12bit)によって構成されます。ポート識別子を次の図に示します。
(4) パスコスト・ルートパスコスト
- パスコスト
スイッチ上の各ポートのデータレートに対応するコスト値を示します。イーサネット回線の速度が速いほどコスト値は低くすることを推奨しています。パスコストはコンフィグレーションにより設定することが可能です。
リンクアグリゲーショングループのパスコストは集約しているポート本数に関わらず,ポート1本分のパスコスト値となります。リンクアグリゲーショングループを優先して使用したい場合は,パスコスト値を低くしてください。
- ルートパスコスト
ルートパスコストはルートブリッジに至るすべてのポートのパスコストが累積された値です。スパニングツリーでは最もコストの低いパスで接続する構成でツリーを構築します。
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