解説書 Vol.1
IPv6マルチキャストはサーバ(送信者)から各グループ(受信者)にデータを配信する1(送信者):N(受信者)の片方向通信に適します。IPv6 PIM-SMの適応ネットワーク構成,注意事項を次に示します。
- <この項の構成>
- (1) IPv6 PIM-SM
- (2) IPv6 PIM-SSM
(1) IPv6 PIM-SM
IPv6 PIM-SMはツリー型ネットワーク構成および冗長経路が存在するネットワーク構成にも適応します。ただし,ランデブーポイントの配置には十分注意してください。IPv6 PIM-SMのモード切り替えによるIPv6マルチキャスト送信パス変化処理の負荷を軽減するため,ランデブーポイントは送信者の直近に置くことをお勧めします。
IPv6 PIM-SM適応ネットワーク構成を次の図に示します。
図17-17 IPv6 PIM-SM適応ネットワーク構成
(a) 不適応な構成
次に示す構成でIPv6 PIM-SMは使用しないでください。
- 送信者とランデブーポイントの間に受信者が存在する構成
次に示す構成でサーバからグループ1のIPv6マルチキャスト通信を行う場合,ランデブーポイント経由の中継が効率よく行えません。
- 送信者と同一回線上に複数のIPv6 PIM-SMルータが動作する構成
次に示す構成でサーバがIPv6マルチキャストデータを送信した場合,DRでないIPv6 PIM-SMルータに不要な負荷がかかり,本装置の他機能に大きく影響を与えることがあります。本装置AとBとで回線を分けてご使用ください。
- IPv6マルチキャストグループ(受信者)と同一回線上に複数のIPv6 PIM-SMルータを動作させ,ランデブーポイントに接続しないIPv6 PIM-SMルータが存在する構成
次に示す構成でグループ1宛てのIPv6マルチキャスト通信をした場合,送信者とグループ1間で最短パスが確立しない場合があります。
本装置Aおよび本装置Bはそれぞれ本装置Bおよび本装置Aを通らないでランデブーポイントと接続するようにしてください。
- 受信者不在の構成
次に示す構成でサーバがIPv6マルチキャストデータを大量に送信した場合,本装置にはデータ廃棄処理で負荷がかかるため,本装置の他機能に大きく影響を与えることがあります。このため,IPv6マルチキャスト利用時は受信者を一つは設置して利用してください。
(b) 注意が必要な構成
- 次の図に示す構成のように本装置Cが本装置Aと本装置BにVRRPを設定した仮想インタフェースをゲートウェイとするスタティックルートを設定した環境では,PIMプロトコルが上流ルータを検出できず,マルチキャスト通信ができません(PIM-SSMも同じです)。
この構成でマルチキャスト通信する場合は,本装置CにランデブーポイントアドレスとBSRアドレスとマルチキャストデータ送信元アドレスへのゲートウェイアドレスを本装置Aまたは本装置Bの実アドレスとするスタティックルートを設定する必要があります。
(2) IPv6 PIM-SSM
IPv6 PIM-SMネットワーク構成と同じです。
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成でIPv6 PIM-SSMを使用する場合注意が必要です。
- IPv6マルチキャストグループ(受信者)と同一回線上に複数のIPv6 PIM-SSMルータが動作する構成。
次に示す構成でMLDv1でPIM-SSMを動作させる場合は,同一回線上のすべてのルータの構成定義でpim sparse ssmおよびmulticast ssm-joinを設定してください。
(b) 端末側に複数のアドレスを設定した時の注意事項
SSM通信時,データ送信を行う端末に複数のIPv6アドレスを付与して運用する場合,送信されるデータの送信元アドレスが本装置に設定したssm-joinの送信元アドレス情報と一致するようにしてください。特に,RAなどのアドレス自動設定機能を使用した場合は,端末側が自動設定されたアドレスを使用して通信を行う場合があります。
Copyright (c)2005 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.