解説書 Vol.1
PIM-SSMはPIM-SMの拡張機能です。PIM-SMとPIM-SSMは同時動作できます。PIM-SSMが使用するマルチキャストアドレスはIANAで割り当てられています。本装置では,構成定義でPIM-SSMが動作するマルチキャストアドレス(グループアドレス)のアドレス範囲を指定できます。指定したアドレス以外ではPIM-SMが動作します。
PIM-SMはマルチキャストエントリ作成にマルチキャスト中継パケットが必要なのに対し,PIM-SSMはマルチキャストルーティング情報(PIM-Join)の交換でマルチキャストルーティングエントリを作成し,該当エントリでマルチキャストパケットを中継します。また,PIM-SSMではランデブーポイントおよびブートストラップルータは必要ありません。したがって,マルチキャストパケットを中継するときのパケットのカプセル化およびカプセル化の解除がなくなり,効率の良いマルチキャスト中継が実現できます。また,本装置ではMLDでPIM-SSMを動作できるようにする手段を提供します。
- <この項の構成>
- (1) IPv6 PIM-SSMメッセージサポート仕様
- (2) IPv6 PIM-SSMを動作させる前提条件
- (3) IPv6 PIM-SSM動作
- (4) 近隣検出
- (5) Forwarderの決定
- (6) DRの決定および動作
- (7) 冗長経路時の注意事項
(1) IPv6 PIM-SSMメッセージサポート仕様
PIM-SMメッセージと同じです。
(2) IPv6 PIM-SSMを動作させる前提条件
本装置では構成定義で次の設定が必要です。
- 各装置の設定
PIM-SSMが動作するグループアドレスの範囲を設定します。
- MLDが動作するホストが直結している装置
MLD受信でPIM-SSMが動作するグループアドレス,送信元アドレスを設定します。
(3) IPv6 PIM-SSM動作
マルチキャストパケット配信サーバ(送信元アドレス:S1)がグループ1(グループアドレス:G1)にマルチキャストパケットを配信する場合の動作を次に示します。
- ホストからマルチキャストグループに参加するためのMLD Report(G1)を受信します。
- MLD Reportを受信した装置はReportで通知されたグループアドレス(G1)と構成定義で定義したグループアドレスを比較します。グループアドレスが一致した場合,構成定義で定義した送信元アドレス(S1)の方向(ユニキャストのルーティング情報で決定)にPIM-Joinを送信します。この場合,PIM-Joinには,送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)の情報が入ります。PIM-Joinを受信した各装置は送信元アドレス(S1)の方向にホップバイホップでPIM-Joinを送信します。PIM-Joinを受信した装置は送信元アドレス(S1)とグループアドレス(G1)のマルチキャストルーティング情報を学習します。
- マルチキャストパケット配信サーバ(S1)がグループ1(G1)宛てにマルチキャストパケットを送信します。マルチキャストパケットを受信した装置は学習したマルチキャストルーティング情報に従いパケットを中継します。
IPv6 PIM-SSMの動作概要を次の図に示します。
図17-16 IPv6 PIM-SSMの動作概要
(4) 近隣検出
PIM-SM(「17.4.2 近隣検出」)と同じです。
(5) Forwarderの決定
PIM-SM(「17.4.3 Forwarderの決定」)と同じです。
(6) DRの決定および動作
PIM-SM(「17.4.4 DRの決定および動作」)と同じです。
(7) 冗長経路時の注意事項
PIM-SM(「17.4.5 冗長経路時の注意事項」)と同じです。
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