解説書 Vol.1

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14.10.5 ALG

IPv4端末とIPv6端末の特定アプリケーション通信の変換を行うALG(Application Level Gateway)には,次に示す種類があります。

<この項の構成>
(1) ICMP-ALGおよびICMPv6-ALG
(2) FTP-ALG
(3) DNS-ALG

(1) ICMP-ALGおよびICMPv6-ALG

ICMPエラーパケットとICMPv6エラーパケットは,そのペイロードにエラーの原因となったパケットデータを保持しています。ICMPエラーの場合はIPv4パケット,ICMPv6エラーの場合はIPv6パケットです。ICMP-ALGおよびICMPv6-ALGでは,そのエラーの原因となったパケットのIPv6−IPv4変換を行います。また,ICMPとICMPv6とではTypeとCodeの割り当てが変更されているため,この変換も併せて行います。

IPv6→IPv4変換時のICMPとICMPv6のType,Code変換対応表を「表14-21 ICMPとICMPv6のType,Code変換対応表(IPv6→IPv4変換時)」に,IPv4→IPv6変換時のICMPとICMPv6のType,Code変換対応表を「表14-22 ICMPとICMPv6の Type,Code変換対応表(IPv4→IPv6変換時)」に示します。

表14-21 ICMPとICMPv6のType,Code変換対応表(IPv6→IPv4変換時)

IPv6(変換前) IPv4(変換後)
type 種別 code 詳細種別 type 種別 code 詳細種別
1 宛先到達不能 0 宛先の経路なし 3 宛先到達不能 1 ホスト到達不能
1 宛先ホストとの通信が管理レベルで禁止 10 宛先ホストとの通信が管理レベルで禁止
2 スコ−プ越境 1 ホスト到達不能
3 アドレス到達不能
4 ポ−ト到達不能 3 ポ−ト到達不能
2 パケット過大 0 4 要フラグメント
3 時間超過 0 ホップリミット超過 11 時間超過 0 TTL超過
1 フラグメント化タイマ−時間超過 1 フラグメント化タイマ−時間超過
4 パラメ−タ問題 0 IPv6ヘッダ異常 12 パラメ−タ異常 0
1 次ヘッダ認識不能 3 宛先到達不能 2 プロトコル到達不能
2 オプション異常 12 パラメ−タ異常 0
128 エコ−要求 0 8 エコ−要求 0
129 エコ−応答 0 0 エコ−応答 0
130 マルチキャストリスナ−クエリ− 0 パケット廃棄
131 マルチキャストリスナ−レポ−ト 0 パケット廃棄
132 マルチキャストリスナ−終了 0 パケット廃棄
上記以外 パケット廃棄

(凡例) −:該当しない


表14-22 ICMPとICMPv6の Type,Code変換対応表(IPv4→IPv6変換時)

IPv4(変換前) IPv6(変換後)
type 種別 code 詳細種別 type 種別 code 詳細種別
0 エコー応答 0 129 エコー応答 0
3 宛先到達不能 2 プロトコル到達不能 4 パラメータ問題 1 次ヘッダ認識不能
3 ポート到達不能 1 宛先到達不能 4 ポート到達不能
4 要フラグメント 2 パケット過大 0
9,10 宛先ホストとの通信が管理レベルで禁止 1 宛先到達不能 1 宛先ホストとの通信が管理レベルで禁止
0 ネットワーク到達不能 0 宛先の経路なし
1 ホスト到達不能
5 ソース経路失敗
6 宛先ネットワーク不明
7 宛先ホスト不明
8 ネットワーク孤立
11 このタイプとサービスでは宛先ネットワーク到達不能
12 このタイプとサービスでは宛先ホスト到達不能
8 エコー要求 0 128 エコー要求 0
11 時間超過 0 TTL消滅 3 時間超過 0 ホップリミット超過
1 フラグメント化タイマー時間超過 1 フラグメント化タイマー時間超過
12 パラメータ異常 0 4 パラメータ問題 0 IPv6ヘッダ異常
15/16 情報要求/応答 0 パケット廃棄
13/14 タイムスタンプ要求/応答 0 パケット廃棄
17/18 マスク要求/応答 0 パケット廃棄
9 ルータ広告 0 パケット廃棄
10 ルータ勧誘 0 パケット廃棄
5 リダイレクト 0 パケット廃棄
4 送信元抑制 0 パケット廃棄
上記以外 パケット廃棄

(凡例) −:該当しない


(2) FTP-ALG

FTPでの制御用通信は平文でFTP制御コマンドやレスポンスの通信を行います。制御コマンドやレスポンスの中にはネットワークアドレスが入る場合があり,FTP-ALGではそのネットワークアドレスの変換を行います。また,それに伴ってペイロード長が変化した場合,以降の通信のTCP SEQ番号とTCP ACK番号の補正を行います。

IPv6→IPv4変換時のFTP制御コマンド変換の対応を「表14-23 FTP制御コマンド変換の対応(IPv6→IPv4変換時)」に,IPv4→IPv6変換時のFTP制御コマンド変換の対応を「表14-24 FTP制御コマンド変換の対応(IPv4→IPv6変換時)」に示します。

表14-23 FTP制御コマンド変換の対応(IPv6→IPv4変換時)

IPv6(変換前) IPv4(変換後)
EPRT PORT
LPRT PORT
EPSV PASV
LPSV PASV

表14-24 FTP制御コマンド変換の対応(IPv4→IPv6変換時)

IPv4(変換前) IPv6(変換後)
PORT EPRT
PASV EPSV

(3) DNS-ALG

DNSクエリーには要求しているアドレスの種別を示すクエリータイプがあり,DNS-ALGではそのクエリータイプの変換を行います。またIPv4内のDNSサーバから受けたDNSレスポンス中のアドレスは,IPv4アドレスになっているので,DNS-ALGはNAT-PTプレフィックスを付与したIPv6アドレスに変換します。DNS-ALGがサポートするクエリータイプを次の表に示します。

表14-25 DNS-ALGがサポートするクエリータイプ

IPv6 IPv4
AAAA A

DNS-ALGはDNSリレー機能に実装しているので,DNS-ALGの使用時は構成定義でDNSリレー機能の設定を行ってください。DNS-ALGでのDNSクエリー/レスポンス変換シーケンスを次の図に示します。

図14-30 DNS-ALGでのDNSクエリー/レスポンス変換シーケンス

[図データ]

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