解説書 Vol.1
マルチキャストはサーバ(送信者)から各グループ(受信者)にデータを配信する1(送信者):N(受信者)の片方向通信に適します。PIM-DMおよびPIM-SMの適応ネットワーク構成,注意事項を次に示します。なお,DVMRP適応ネットワーク構成は,PIM-DM適応ネットワーク構成と同じです。
- <この項の構成>
- (1) PIM-DM
- (2) PIM-SM
- (3) PIM-SSM
(1) PIM-DM
PIM-DM適応ネットワーク構成を次の図に示します。
図13-33 PIM-DM適応ネットワーク構成
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- ホストがマルチキャストグループから離脱したあと,マルチキャストグループが存在しないネットワークにも周期的(約3分)にマルチキャストデータパケットが送信されます。
- 冗長構成が存在する場合,冗長経路にマルチキャストデータパケットが周期的(約3分)に流れます。
(b) 不適応な構成
次に示す構成でPIM-DMは使用しないでください。
- PIM-DMは複数の冗長経路が存在するネットワーク構成では周期的にすべての経路でマルチキャスト通信を行います。ネットワーク全体に負荷が発生するので,PIM-DMではなくPIM-SMを使用してください。
(2) PIM-SM
PIM-SMはツリー型ネットワーク構成および冗長経路が存在するネットワーク構成にも適応します。ただし,ランデブーポイントの配置には十分注意してください。PIM-SM適応ネットワーク構成を次の図に示します。
図13-34 PIM-SM適応ネットワーク構成
(a) 不適応な構成
次に示す構成でPIM-SMは使用しないでください。
- 送信者とランデブーポイントの間に受信者が存在する構成
次に示す構成でサーバからグループ1のマルチキャスト通信を行う場合,ランデブーポイント経由の中継が効率よく行えません。
- 送信者と同一回線上に複数のPIM-SMルータが動作する構成
次に示す構成でサーバがマルチキャストデータを送信した場合,DRでないPIM-SMルータに不要な負荷がかかり,本装置の他機能に大きく影響を与えることがあります。回線を分けるかPIM-DMを使用してください。
- マルチキャストグループ(受信者)と同一回線上に複数のPIM-SMルータを動作させ,ランデブーポイントに接続しないPIM-SMルータが存在する構成
次に示す構成でグループ1宛てのマルチキャスト通信をした場合,送信者とグループ1間で最短パスが確立しない場合があります。PIM-SMルータ1およびPIM-SMルータ2はランデブーポイントと接続してください。
(b) 注意が必要な構成
- 次の図に示す構成のように本装置Cが本装置Aと本装置BにVRRPを設定した仮想インタフェースをゲートウェイとするスタティックルートを設定した環境では,PIMプロトコルが上流ルータを検出できず,マルチキャスト通信ができません(PIM-SSMも同じです)。
この構成でマルチキャスト通信する場合は,本装置CにランデブーポイントアドレスとBSRアドレスとマルチキャストデータ送信元アドレスへのゲートウェイアドレスを本装置Aまたは本装置Bの実アドレスとするスタティックルートを設定する必要があります。
(3) PIM-SSM
PIM-SM適応ネットワーク構成と同じです。
(a) 注意が必要な構成
次に示す構成は注意が必要です。
- マルチキャストグループ(受信者)と同一回線上に複数のPIM-SSMルータが動作する構成
次に示す構成でIGMPv2でPIM-SSMを動作させる場合は,同一回線上の全ルータの構成定義でpim sparse ssmおよびmulticast ssm-joinを設定してください。
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