解説書 Vol.1
OSPF(Open Shortest Path First)は,ルータ間の接続の状態から構成されるトポロジと,Dijkstraアルゴリズムによる最短経路計算に基づくルーティングプロトコルです。
- <この項の構成>
- (1) OSPFの特長
- (2) OSPFの機能
(1) OSPFの特長
OSPFは,通常一つのAS内で経路を決定するときに使用します。OSPFでは,AS内のすべての接続状態から構成するトポロジのデータベースが各ルータにあり,このデータベースに基づいて最短経路を計算します。このため,OSPFはRIPと比較して,次に示す特長があります。
- 経路情報トラフィックの削減
OSPFでは,ルータ間の接続状態が変化したときだけ,接続状態の情報を他ルータに通知します。このため,OSPFはRIPのように定期的にすべての経路情報を通知するルーティングプロトコルと比較して,ルーティングプロトコルが占有するトラフィックが小さくなります。なお,OSPFでは30分周期で,自ルータの接続状態の情報だけを他ルータに通知します。
- ルーティングループの抑止
OSPFを使用しているすべてのルータは,同じデータから成るデータベースを保持しています。各ルータは,共通のデータに基づいて経路を選択します。したがって,RIPのようなルーティングループ(中継経路の循環)は発生しません。
- コストに基づく経路選択
OSPFでは,宛先に到達できる経路が複数存在する場合,宛先までの経路上のコストの合計が最も小さい経路を選択します。これによって,RIPと異なり経路へのコストを柔軟に設定できるため,中継段数に関係なく望ましい経路を選択できます。
- 大規模なネットワークの運用
OSPFでは,コストが65536以上の経路を到達不能とみなします。このため,メトリックが16以上の経路を到達不能とみなすRIPと比較して,より大規模で経由ルータ数の多い経路が存在するネットワークの運用に適しています。
- 可変長サブネット
OSPFは,経路情報にサブネットマスクを含むため,RIP-1とは異なり,サブネット分割してあるネットワークを宛先として取り扱えます。
- 使用プロトコルの選択についての注意事項
- RIP-2でも,RIP-1とは異なり,サブネットマスクの情報を含めることによって,サブネット分割したネットワークを宛先として扱えます。単にサブネットを扱うことが目的で,すべてのルータがRIP-2を使用可能なら,RIP-2をお勧めします。
(2) OSPFの機能
OSPFの機能を次の表に示します。
機能 OSPF ポイント−ポイント型インタフェースのアドレス広告 相手側アドレスを指定コストで広告※ AS外経路のフォワーディングアドレス ○ NSSA ○ 認証 ○ 非ブロードキャスト(NBMA)ネットワーク ○ イコールコストマルチパス ○ 仮想リンク ○ マルチバックボーン ○ (凡例) ○:取り扱う
注※ 構成定義コマンドのoptionsコマンドのgen-prefix-routeパラメータを指定した場合,マスク長が32ではないポイント−ポイント型インタフェースについてはネットワーク経路を指定コストで広告します。このとき相手側アドレスは広告しません。
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