解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) オーバーロード使用率測定期間設定
- (2) 独自手順オーバーロードでのパケット順序逆転
- (3) オーバーロード時の注意点
- (4) オーバーロードの対象の専用線
オーバーロード使用率測定期間ごとにオーバーロード追加/削除の要否を判定するため,輻輳トラフィックの発生と測定期間の開始が同期しません。したがって,オーバーロード使用率測定期間を長く設定すると,輻輳トラフィック発生とオーバーロード回線の追加を行うまでの時差が大きくなるので注意が必要です。オーバーロード測定期間についての注意を次の図に示します。
独自手順オーバーロードでは,通信相手側でパケットの到着順序が逆転することがあります。このため,順序逆転に対応できない上位プロトコルまたはアプリケーションの通信にオーバーロード機能を使用できません。
また,オーバーロードを行うインタフェース間の速度や遅延時間が異なる場合,上位プロトコルやアプリケーションのトラフィック特性(ウィンドウサイズなど)によっては,低速インタフェースの影響によってオーバーロードの効果が出ない場合や逆にスループットが低下する場合があります。このため,独自手順オーバーロードは異速度回線を束ねたオーバーローディングを実現できますが,原則として速度や遅延時間の異なるインタフェースを使用したオーバーロードは行わないでください。また,どうしても速度や遅延時間の異なるインタフェースを使用したオーバーロードが必要な場合は,アプリケーションまで含めたシステム全体の検証を十分行うとともに,実測による評価が必要です。
速度インタフェース混在時のスループット低下を次の図に示します。
専用線を主回線としたオーバーロードに物理ポートバックアップを定義しない(「Resource BOD」設定を有効にしない)場合,次の点に注意してください。
- 物理ポートバックアップを定義しない場合,専用線が輻輳した場合のオーバーロード用だけにISDN回線を使用します。専用線に障害が発生してもISDN回線でのバックアップは行いません。
- 専用線をISDNでオーバーロードしているときに専用線で障害が発生した場合は,オーバーロードポートを切断します。該当する通信相手との接続ができなくなります。
- ISDN回線で使用できるインタフェースがあっても,専用線が通信できる状態になるまでISDN回線は使用しません。該当する通信相手からの着信も拒否します。
オーバーロードの設定を行う場合,次の点に注意してください。
- BoDで接続する場合,回線使用率を監視しチャネルの追加,削除を行う設定は片側の装置だけに設定することを推奨します。
両側の装置で回線使用率の監視を行うと,監視時間の同期が取れていないため,片方の装置がチャネルの追加を行った直後にもう片方の装置よりチャネルの削除がされることがあります。
- PPPでは品質監視パケットを周期的に送信するため,データトラフィックが無い場合でも,回線使用率が1%以上になることがあります。そのためBoD構成定義内のパラメータ「overload_link_add_threshold」の値を1%と設定した場合,チャネルの追加,無通信による切断を繰り返すことがありますので,Bod構成定義内のパラメータ「overload_link_add_threshold」「overload_link_drop_threshold」の設定を行う場合は上記を考慮した値を設定することを推奨します。
オーバーロードの制御対象となる専用線は海外規格またはPOSではない専用線,レイヤ2にPPPを適用します。バックアップ,オーバーロードの制御対象外の専用線を次の表に示します。
表5-42 バックアップ,オーバーロードの制御対象外の専用線
種別 規格 高速デジタル T1 ANSI T1.403 E1 ITU-T G703 T3 ITU-T G703 OC-3c/STM-1 ITU-T G.957/G.958
Bellcore
GR-253-COREOC-12c/STM-4 ITU-T G.957/G.958
Bellcore
GR-253-COREOC-48c/STM-16 ITU-T G.957/G.958
Bellcore
GR-253-CORE
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