解説書 Vol.1
一般的にフレームリレーインタフェースを持つルータでは1個のネクストホップアドレスに対して,一つのPVC(DLCI)を割り当てます。この場合のネクストホップアドレスとは,本装置が受信したパケットを次に送信する相手装置のネットワークレイヤのアドレスです。
本装置では,この相手装置との間に複数のPVC(DLCI)を割り当てて通信できます。この複数のPVCをパラレルPVCと呼びます。パラレルPVCはフォワーディング上は一つのPVCと同等に扱われます。パラレルPVCの適用はネットワーク構成やインタフェースの形態に制限されません。「図5-30 フルメッシュ構成−物理回線単位インタフェース ネットワーク例」〜「図5-34 ネットワーク構成と論理インタフェースの組み合わせ混在の構成例」の各PVCをすべてパラレルPVCに置き換えて適用することもできます。パラレルPVCの主な目的は,同一相手装置との間で行う帯域制御です。帯域制御は1PVCでも行えますが,パラレルPVCではフレームリレー網の持つPVC単位の帯域制御機能(CIRによる帯域保証など)を利用すれば,より精度の高い帯域制御を行うことができます。特に,フレームリレー網の中継ネットワークがATMで構築されているような場合,フレームリレー網のより高精度な帯域制御機能が期待できます。
- <この項の構成>
- (1) パラレルPVCを適用したネットワーク構成例
- (2) PVC障害時のバックアップ
パラレルPVCで,同一相手装置との間で設定できるPVC数は最大4本です。なお,index値は0〜7の8種類が指定できます。したがって,一つのPVCに複数のindex値(フロー)を対応させることができます。
パラレルPVCを適用したネットワーク構成例を次の図に示します。
図5-35 パラレルPVCを適用したネットワーク構成例
転送するパケットのフローとDLCIの対応づけは構成定義で行います。具体的には,filter-listコマンドによってフローとindex値を対応づけ,dlci-groupコマンドでindex値とDLCIを対応づけるという形の設定です。なお,パラレルPVCにする各DLCIはgroupコマンドでグループ化します。
パラレルPVCで障害などで一部のPVCが使用できない状態になった場合,該当するPVC上のトラフィックを同一パラレルPVC内の他PVCでバックアップできます。これは,構成定義で,あらかじめindex値(フロー)ごとにバックアップPVC一つを指定しておくことによって実現します。PVC障害時のバックアップの様子を次の図に示します。
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