解説書 Vol.2
本装置が固定帯域保証型のVPサービスに接続する場合について,日本電信電話株式会社(日本電信電話株式会社)のATM専用サービスであるATMメガリンクサービスを例として示します。本装置が接続できるサービス品目を次の表に示します。
表10-12 接続できるサービス品目(ATMメガリンクサービス)
端末回線の種類 物理インタフェース サービス品目 備考 1芯式(PDS方式) 光 155.52Mbit/s
ITU-T G.9570.5Mbit/s
1〜44Mbit/s(1Mbit/s単位)ONUに接続 メタル 25.6Mbit/s
TTC JT-I432.50.5Mbit/s
1Mbit/s〜24Mbit/s(1Mbit/s単位)ONUに接続 2芯式(SS方式) 光 155.52Mbit/s
ITU-T G.9570.5Mbit/s
1〜135Mbit/s(1Mbit/s単位)DSUに接続
- <この項の構成>
- (1) ケーブルおよびコネクタの設定
- (2) 構成定義条件
- (3) サービスカテゴリの設定
- (4) VP単位に帯域を確保する場合
- (5) フローごとに固定の帯域を割り当てる場合
- (6) フローのトラフィック特性に応じた優先制御を行う場合
- (7) 優先度によるフロー分けを使ったエクストラクラス利用
回線のタイプがOC-3c/STM-1 ATMの場合,マルチモード光ファイバで接続します。ONU,DSU側コネクタは単芯SCです。また,回線のタイプが25Mbit/s ATMの場合,UTPケーブルで接続します。ONU,DSU側コネクタはRJ-45です。
回線のタイプがOC-3c/STM-1 ATMの場合の,接続時の構成定義条件を次の表に示します。
表10-13 接続時の構成定義条件
構成定義コマンド パラメータ 設定値 備考 line clock external
(デフォルト値)2芯式(SS方式)で接続の場合だけ,1芯式(PDS方式)で接続の場合はdon't care frame_format sdh_idle
(デフォルト値)− (凡例) −:該当しない
接続上の条件となる項目についてはデフォルト値の状態であれば特に設定する必要はありません。また,回線のタイプが25Mbit/s ATMの場合は接続上の条件となる構成定義パラメータはありません。
本装置は同一のVP内の各VCについて指定されたサービスカテゴリおよびプライオリティに従って出力優先制御を行います。このため,同一のVP内で使用するVC数に応じた設定をすれば,効率の良い通信が実現できます。次に基本的な考え方および設定例を示します。
- VPサービスを介して通信するトラフィックを分けないで1VCに通す場合,サービスカテゴリはCBRが適しています。同一VP内のVC数が1本の場合,出力優先制御は関係ありません。
- VP内に複数のVCを設定し,トラフィックの特徴に応じたサービスカテゴリおよびプライオリティを設定する場合,最も優先度の高いフローに対しCBRを,優先度の低いフローには,ABRやUBRなどのレート制御を行うサービスカテゴリを設定します。こうすれば,空き帯域を有効利用できます。
なお,サービスカテゴリGFR/GFR2を設定することもできます。ただし,トラフィックパラメータの設定範囲には,サービスカテゴリパターンに応じた制約があるので注意が必要です。サービスカテゴリGFR/GFR2設定時の制約条件を次の表に示します。
表10-14 サービスカテゴリGFR/GFR2設定時の制約条件
GFR(サービスカテゴリ
パターン=gfr_clp_priority)GFR2(サービスカテゴリ
パターン=gfr2s)GFR2(サービスカテゴリ
パターン=gfr2m)mcr pcr mcr pcr priority4_pcr mcr pcr priority4_pcr 250kbit/s〜 〜135Mbit/s 250kbit/s〜500kbit/s 〜500kbit/s 250kbit/s〜500kbit/s 3Mbit/s〜 〜135Mbit/s 2.5Mbit/s〜 250kbit/s〜135Mbit/s 501kbit/s〜135Mbit/s 500kbit/s〜135Mbit/s
拠点A,B間をATM専用サービスを利用して接続します。ATM専用サービスはVPサービスなので,拠点A,B間のトラフィックに対し50Mbit/sを用意する場合,50Mbit/sのVPを1本契約します。この場合,本装置はVPのピークセルレートを50Mbit/sに設定すると,指定帯域についてVPシェーピングします。また,ATM専用サービスは固定の帯域を保証しますので,本装置のサービスカテゴリはCBRが適しています。本装置の設定項目を次の図に示します。
図10-2 本装置の設定項目(VP単位に帯域を確保する場合)
拠点A,B間をATM専用サービスを利用して接続します。拠点A,B間のトラフィック全体に対し50Mbit/sの帯域を用意し,三つの業務部門にそれぞれ20Mbit/s,20Mbit/s,10Mbit/sの固定の帯域を割り当てる例について示します。
この場合,50Mbit/sの契約帯域を20Mbit/s,20Mbit/s,10Mbit/sの3本のVPに分けて設定します。本装置はVPのピークセルレートをそれぞれ20Mbit/s,20Mbit/s,10Mbit/sに設定すると,指定された帯域でVPシェーピングします。さらにATM専用サービスの回線内速度設定サービスを利用すると,ATMネットワーク内でもVPごとの帯域が保証されます。本装置の設定項目を「図10-3 本装置の設定項目(フローごとに固定の帯域を割り当てる場合)」に示します。また,各VCの設定内容例を「表10-15 各VCの設定内容(フローごとに固定の帯域を割り当てる場合)」に示します。
なお,同一対地間のトラフィックをフローごとに異なるVCを使用して通信するためにパラレルPVCを設定する必要があります。しかし,この機能は本装置独自の機能なので,ATMネットワークを介して接続する相手装置が本装置である場合だけに使用してください。
図10-3 本装置の設定項目(フローごとに固定の帯域を割り当てる場合)
表10-15 各VCの設定内容(フローごとに固定の帯域を割り当てる場合)
VPI/VCI 帯域 サービスカテゴリ 用途 0/32 20Mbit/s CBR 研究開発部門 1/32 20Mbit/s CBR 営業部門 2/32 10Mbit/s CBR 総務部門
拠点A,B間を,ATM専用サービスを利用して接続します。拠点A,B間のトラフィックに対し30Mbit/sの帯域を用意します。CBR,UBRのVCを設定し,フローをトラフィック特性に応じたVC割り当て,出力優先制御を行います。
また,UBRの動的なレート制御によって空き帯域を有効利用します。本装置の設定項目を「図10-4 本装置の設定項目(フローのトラフィック特性に応じた優先制御を行う場合)」に示します。また,各VCの設定内容を「表10-16 各VCの設定内容(フローのトラフィック特性に応じた優先制御を行う場合)」に示します。
図10-4 本装置の設定項目(フローのトラフィック特性に応じた優先制御を行う場合)
表10-16 各VCの設定内容(フローのトラフィック特性に応じた優先制御を行う場合)
VPI/VCI 帯域 サービスカテゴリ
および出力優先度用途 0/32 ピークセルレート 10Mbit/s CBR
最高位優先度映像系AP 0/33 ピークセルレート 20Mbit/s CBR
第2位優先度基幹業務AP 0/34 ピークセルレート 30Mbit/s UBR メール
エクストラクラスは日本電信電話株式会社(日本電信電話株式会社)のATMメガリンクサービスのサービスクラス名称です。契約帯域をメインパス,サブパスの2本のVPに分割して使用し,故障時にメインパス帯域を保証することを特徴としています。このようなサービス形態をとることによってデュアルクラス(通常クラス)より割安な通信料金となっています。
次に本装置に接続した場合のエクストラクラスの利用例を示します。
- 拠点A,B間をATM専用サービスを利用し,サービスクラスはエクストラクラスとします。
- 拠点A,B間のトラフィックに対しメインパス15Mbit/s,サブパス15Mbit/sとします。
- 優先度の高いフローをメインパスに,優先度の低いフローをサブパスに流すよう設定すれば,ATMサービスの故障時にもメインパス側の帯域は保証されます。
本装置の設定項目を「図10-5 本装置の設定項目(優先度によるフロー分けを使ったエクストラクラス利用)」に示します。また,各VCの設定内容を「表10-17 各VCの設定内容(優先度によるフロー分けを使ったエクストラクラス利用)」に示します。
図10-5 本装置の設定項目(優先度によるフロー分けを使ったエクストラクラス利用)
表10-17 各VCの設定内容(優先度によるフロー分けを使ったエクストラクラス利用)
VPI/VCI 帯域 サービスカテゴリ 用途 0/32 ピークセルレート 15Mbit/s CBR メインパス
優先度の高いフローを割り当て1/32 ピークセルレート 15Mbit/s CBR サブパス
優先度の低いフローを割り当て
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