解説書 Vol.2
本装置と,インバースマックス ターミナルアダプタ日本電信電話株式会社 INSメイトV−1500(以降,TA)を接続し,バルク伝送接続を行う場合は,次に示す点に注意してください。なお,TAの設定方法,仕様などについてはTAの取扱説明書を参照してください。
- <この項の構成>
- (1) 本装置の構成定義情報
- (2) TAの設定内容
本装置とTAの接続時に注意する必要がある本装置の構成定義情報を次の表に示します。
表10-7 本装置の構成定義情報
構成定義情報※1 設定内容 コマンド名 設定項目/オプション名 ISDN一次群回線
(23B+D)ISDN基本群回線とISDN一次群回線のDチャネル共用
(24B/D)基本群回線側 一次群回線側 line 物理インタフェース priisdn briisdn priisdn bri_topology
(インタフェース形態)− p-p − phone_number
(自電話番号)本回線の電話番号 本回線の電話番号 − interface_id
(インタフェースID)− − 1※2 isdn-pool※3 channels(チャネル数) ※4 ※4 isdn-PPP※5 phone_number1
(相手電話番号)※6相手電話番号 相手電話番号 channel_type
(チャネル種別)hO(HOチャネル) hO(HOチャネル)またはhl(Hlチャネル) (凡例) −:設定しない
注※1 この表の構成定義情報の詳細は,マニュアル「構成定義コマンドレファレンス Vol.1 4. ライン情報〜
構成定義コマンドレファレンス Vol.1 11. バックアップ情報」のline,isdn-ppp,isdn-poolコマンドを参照してください。
注※2 TAの「インタフェースID(TE側)」の設定(「表10-8 TAの基本設定内容」参照)と同じにする必要があります。
注※3 「ISDN基本群回線とISDN一次群回線のDチャネル共用」の場合,line-groupコマンドでこれら二つのlineをグループ化しますが,このline-groupに対して設定してください。line-groupについては,マニュアル「構成定義コマンドレファレンス Vol.1」を参照してください。
注※4 通信相手との通信速度分のBチャネルの個数を設定します。
H0チャネル(384kbit/s)の場合,Bチャネル(64kbit/s)×6であるため「6」を設定します。
Hlチャネル(1536kbit/s)の場合,Bチャネル(64kbit/s)×24であるため「24」を設定します。HOチャネルで複数対地に接続する場合,これらのチャネル数の合計を設定します。
例えば,HOチャネルで2対地接続する場合,6チャネル×2=12であるため「12」を設定します。
注※5 isdn-poolに対して設定します。
注※6 phone_number2,phone_number3は設定します。
(a) 基本設定
本装置とTAの接続時に必要なTAの基本設定内容を次の表に示します。なお,表中の各設定項目の説明については,TAの取扱説明書を参照してください。
設定項目 設定内容 TAのデフォルト値 項目名 コマンド名 ISDN一次群
回線(23B+D)ISDN基本群回線とISDN一次群
回線のDチャネル共用(24B/D)回線設定 PRI 23B+D 24B/D 23B+D 受付ダイヤル
(モードA/B)※1ADDI 相手電話番号 相手電話番号 − 呼番号長(網側) CRSN 2※2 ※3 2 呼番号長(TE側) CRSU 2※2 ※3 2 インタフェースID(網側) IFDN − 本回線の契約時に指定したインタフェースIDを設定 1 インタフェースID(TE側) IFDU − 1※4 1 任意チャネル着信
サービスSAV On※5 On※5 Off (凡例) −:設定しない
注※1 モードA/Bについては「表10-9 使用条件によって異なる設定」も参照してください。
注※2 呼番号長は2固定です。
注※3 「呼番号長(網側)」は,この回線契約時に指定した呼番号長(1または2)を設定します。「呼番号長(TE側)」は,本装置のline構成定義情報の「call_reference_length」で設定された値(1または2)を設定します。本装置で「call_reference_length」が設定されていない場合は2の設定となります。ただし,通常は「呼番号(網側)」と「呼番号(TE側)」は同じ設定をしてください。つまり,回線契約時に指定した呼番長と,本装置の「call_reference_length」の設定値は同じにする必要があります。
障害切り分けなどのために,TAを介さないで本装置を網に直接接続する場合,網の「呼番号長」の契約を変更,または本装置「call_reference_length」の構成定義情報を変更しないでそのまま直接接続できるためです。
注※4 本装置のline構成定義情報の「interface_id(インタフェースID)」の設定(「表10-7 本装置の構成定義情報」参照)と同じにする必要があります。
注※5 回線契約時,「任意チャネル着信サービス」を申し込む必要があります。
(b) 使用条件による設定
使用条件によって異なるTAの設定を次の表に示します。なお,表中の各設定項目の説明については,TAの取扱説明書を参照してください。
設定項目 設定範囲 TAのデフォルト値 項目名 コマンド名 バルク伝送方式モードA/モードB BMOD ModeA/ModeB ModeA 呼接続時間短縮 CMOD Single/Dual Single 着信タイミング SLOW Fast/Slow Fast 識別着信 DISC Off/On Off
- バルク伝送方式モードA/モードBの注意事項
「ModeB」の場合は,1本余分にBチャネルを接続するため,その分通信料金も課金されるので注意が必要です。
- 呼接続時間短縮の注意事項
- 「Dual」の場合は,着信側にも約半分の通信料金が課金されるので注意が必要です。なお,「isdn-ppp」の構成定義情報の「channel_type」を「h1」(1536kbit/s)で使用する場合,TA-TA間で計24個のBチャネルを接続します。しかし,接続する距離が遠距離,または使用回線業者のISDN回線の仕様によって,全チャネル接続完了までに時間がかかり,着信側の本装置でPPPリンク切断を検出する場合があります。
発信側のTAは全24個のBチャネルが接続完了後,端末(本装置)宛てに通信できることを通知するのに対し,着信側のTAは1Bチャネルが接続完了後,端末(本装置)宛てに通信できることを通知します。このため,発信/着信側の本装置でPPPのリンク設定を開始するまでの時間に差が出ます。
PPPリンク切断を検出したときに着信側の本装置で表示するログ情報を次に示します。
・イベント発生部位:PPP
・メッセージ認識子:17010006
・メッセージテキスト:
The PPP connection has been terminated via peer's request.
Make the peer router open the connection if you need it.(PPPリンク切断)
このような場合は,この設定項目を「Dual」に設定してください。着信側にも課金されるので注意が必要です。
着信側に課金できない場合,「着信タイミング」を「Slow」に変更してください。「Slow」の場合,着信側のTAも全24個のBチャネルが接続完了後,端末(本装置)宛てに通信できることを通知するため,発信/着信側の本装置でPPPのリンク設定を開始するまでの時間に差が出ません。
なお,「Slow」で使用する場合,「着信タイミングの注意事項」の内容を確認してから使用してください。「Slow」に設定すると,TA-ISDN網間で全Bチャネルを接続後,着信側端末に対して着信を通知するため,着信側端末が接続を許可しない相手(電話番号)からの着信などを拒否した場合は,ISDNがいったん接続したあとに切断することになり,課金が発生します。この場合は「識別着信」を「On」に設定することで回避できます。
- 着信タイミングの注意事項
次に示す理由から,「Fast」に設定してください。
- 着信タイミングを「Slow」に設定した場合,TA-ISDN網間で全Bチャネルを接続後,着信側端末に対して着信を通知するため,着信側端末が接続を許可しない相手(電話番号)からの着信などを拒否した場合は,ISDNがいったん接続したあとに切断することになり,課金が発生します。
- 「Slow」に設定するとISDNがいったん接続します。しかし,このとき着信側の端末が切断理由を「通信拒否」として着信を拒否しても,着信側のTAは(ISDNが接続済みであることから)発信側に対して切断理由を「正常切断」として切断します。このため,発信側の端末(本装置)で,相手局から切断された本当の理由が不明になります。例えば,相手局が「接続を許可しない相手(電話番号)からの着信」の理由で,切断理由を「通信拒否」として着信を拒否した場合,自局(本装置)で表示するログ情報は次に示すように異なります。
・着信タイミング=Slowの場合:
・イベント発生部位:LINEWAN
・メッセージ識別子:ObOlOOO4
・メッセージテキスト:
The peer router has disconnected the ISDN call.(相手局からの切断)
・付加情報(切断理由):正常切断
・着信タイミング=Fastの場合:
・イベント発生部位:LINEWAN
・メッセージ識別子:ObO90001
・メッセージテキスト:
The originating call from this router has been refused.
Check phone number configuration of this router and the peer.(相手局着信拒否)
各ログ情報の詳細は,マニュアル「メッセージ・ログレファレンス 3. 装置関連の障害およびイベント情報」を参照してください。
- 識別着信の注意事項
着信側の端末が,着信に対する応答(許可)を着信側TAに対して返したあとに初めてTAがISDNを接続します。このため,「着信タイミング」を「Fast」に設定している場合は,課金が発生するという問題は発生しません。また,本装置には接続を許可する相手をチェックする認証機能があるので,識別着信を「On」にする必要はありません。
本装置の認証機能については,「解説書 Vol.1 5.2.3 認証」を参照してください。また,認証を行うための構成定義情報については,マニュアル「構成定義コマンドレファレンス Vol.1」のisdn-pppコマンドを参照してください。
TAに接続するISDN回線の契約条件は,TAを介さないで本装置を直接ISDN回線に接続する場合の契約条件と同じにしてください。本装置を直接ISDN回線に接続する場合の契約条件は,「10.2.3 ISDN回線契約条件」を参照してください。
(d) 接続時間
このTAはバルク伝送を行うために,通信速度に相当するBチャネルの個数分対向のTAと呼接続するため(例:Hlチャネル(1536kbit/s)で通信する場合,Bチャネル(64kbit/s)×24),端末から発信を行ってから通信相手と通信できる状態になるまでに時間がかかります。通信相手との接続時間を次の表に示します。なお,使用する回線業者のISDN回線の仕様,通信相手との距離などによってこの表の接続時間は増減しますので,表中の時間は目安です。
TAの「呼接続時間短縮」
の設定端末(本装置)から発信するとき
のチャネル種別(通信速度)通信可能までの
およその時間※Single HOチャネル(384kbit/s) 14秒 Hlチャネル(1536kbit/s) 27秒 Dual HOチャネル(384kbit/s) 12秒 Hlチャネル(1536kbit/s) 18秒 注※ 本装置がISDN呼切断状態中に,本装置から通信相手にpingを発行してから,通信相手との間でPPPのデータリンクが確立するまでの時間を指します。
- TA間の発着信衝突
このTAは仕様上,TA間でISDNの発着信が衝突した場合は通信できません。
このため,本装置で発着信の方向を制限する(発信専用/着信専用)など,TA間でISDNの発着信衝突が発生しないように注意してください。特にこのTAを専用線のバックアップのISDN回線に使用する場合は,バックアップ時に発着信衝突が発生する可能性が高くなります。
本装置で発着信の方向を制限する(発信専用/着信専用)場合は,isdn−ppp構成定義情報の「call−direction」オプションを設定してください。デフォルト値は「発着両用」です。設定方法については,マニュアル「構成定義コマンドレファレンス Vol.1」のisdn-pppコマンドを参照してください。
- 発着信中の別の通信相手からの着信
このTAは仕様上,発着信中に別の端末(発着信を行っている相手以外の相手)から着信があった場合,通信できなくなります。
この相手が通信を許可しない相手の場合は,TAの「識別着信」の設定を「On」にして,通信を許可する相手以外の相手からの着信を受けないようにしてください。
この相手が通信を許可する相手の場合は,本装置で発着信の方向を制限する(発信専用/着信専用)など,発着信中に別の通信相手からの着信が発生しないようにしてください。
Copyright (c)2005 ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.