解説書 Vol.2

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3.5.1 SAPパケット処理

本装置はNetWareのサーバではありませんが,SAPパケットを処理し,SAPテーブルを作成することによってサーバの情報をまとめて別ネットワークに通知します。SAPパケットの種類を次の表に示します。

表3-4 SAPパケットの種類

パケットの種類 パケット送出元 機能 パケットの送出先
一般要求
(General SAP)
サーバ/ルータ サーバ情報収集の要求※1 ブロードキャスト
一般応答
(General SAP)
サーバ/ルータ 周期的なサーバ情報の通知※2 ブロードキャスト
変更サーバ情報の通知※1
サーバ情報収集要求に対する応答※1 要求パケット発行者
最短要求
(Nearest SAP)
クライアント 最短サーバ情報の要求 ブロードキャスト
最短応答
(Nearest SAP)
サーバ/ルータ 最短サーバ情報要求に対する応答※1 要求パケット発行者

注※1 non-Periodic SAP

注※2 Periodic SAP


SAPパケット処理を次の図に示します。

図3-5 SAPパケット処理

[図データ]

この図で,ルータAはサーバ4,5,6の存在をルータBからのSAPパケットで認識して,サーバ1,サーバ2,サーバ3に通知します。これによって,ネットワークC上はルータA,B間のSAPパケットだけが伝送されることになります。

<この項の構成>
(1) SAPパケット送信の制御
(2) SAPテーブルエントリの登録と経路
(3) SAPテーブルエントリのエージング
(4) SAPエントリ数
(5) SAPテーブルのスタティック設定

(1) SAPパケット送信の制御

本装置ではSAPパケットの送信もRIPパケットの送信と同様,周期的なSAPパケットの送信間隔(Periodic SAP Interval)をインタフェース単位で変更できます。値を0に設定すると周期SAPパケットは送信しません。そのほかのSAPパケット(non-Periodic SAP)の送信はインタフェース単位で抑止するように設定できます。

SAPパケット受信に対しては,構成定義情報の指定に関係なく学習を行い,エントリを更新します。構成定義情報の指定とSAP送信/受信制御の関係を次の表に示します。

表3-5 構成定義情報の指定とSAP送信/受信制御の関係

SAPパケット分類 構成定義情報の指定 送信 受信
周期SAP
(Periodic SAP)
Periodic_sap_Interval
0(分)
周期SAPを送信しない 構成定義情報の指定に関係なく,SAPパケット受信による学習は行います。
Periodic_sap_Interval
n(分)
周期SAPを送信する
非周期SAP
(non-Periodic SAP)
non_periodic_sap_send_off 非周期SAPを送信しない
non_periodic_sap_send 非周期SAPを送信する

通常,各インタフェースのSAPは次に示すどちらかの設定をします。

(2) SAPテーブルエントリの登録と経路

本装置ではSAPパケットの処理の結果,サーバ情報をSAPテーブルに登録します。サーバ情報ごとにエントリを作成します。SAPテーブルエントリの内容はshow ipx serversコマンドで表示できます。なお,SAPテーブルエントリの各エントリは該当するサーバへの経路情報がルーティングテーブルに学習,または設定されていなければ学習できません。各サーバには内部ネットワークアドレスが設定され,そのアドレスへの経路情報がルーティングテーブルエントリに作成されている必要があります。このため,スタティックルーティングの場合などは注意が必要です。なお,それぞれのサーバには,接続するネットワークシステムでユニークなサーバ名を使用してください。

(a) 経路の決定(経路切り替え)

経路切り替えの場合の経路決定を次の図に示します。

図3-6 経路の決定(経路切り替え)

[図データ]

この図で,ルータAのように冗長経路がある場合,先に学習したサーバ情報だけをSAPテーブルエントリに登録します。このため,例えば,ルータA→B→Cの経路で10個のSAP情報をルータAは保持します。この経路に障害が発生した場合は,再学習してルータA→D→Cの経路でSAP情報が登録されると通信が復旧します。

(b) 経路の決定(論理的な冗長構成(複数フレームタイプの混在))

複数のフレームタイプが混在するネットワークでは,物理的には一つのネットワークであっても,論理的にはフレームタイプごとに異なる経路が存在します。この場合も,先に学習した経路でSAP情報エントリを登録します。

複数フレームタイプの混在する場合の例を次の図に示します。

図3-7 複数フレームタイプの混在する場合の例

[図データ]

この図では,本装置とサーバ間は一つのネットワークで接続されていますが,異なるフレームタイプであるEthernetIIとEthernet802.3に対して,それぞれ経路が存在します。本装置が先に学習した経路がEthernetIIである場合,SAP情報の経路もEthernetIIになります。

(3) SAPテーブルエントリのエージング

SAPテーブルエントリのエージング時間は,構成定義情報で指定した周期SAPの送信間隔の3倍です。指定値が0の場合,エージングは行いません。なお,スタティック定義されたSAPテーブルエントリはエージングの対象になりません。

(4) SAPエントリ数

本装置の登録できるSAPエントリ数は,1000個です。ただし,この値はダイナミックに学習した数とスタティックに定義された数の合計です。

(5) SAPテーブルのスタティック設定

本装置は構成定義情報でSAPテーブルエントリを設定できます。SAPテーブルエントリを使用したネットワーク構成を次の図に示します。

図3-8  SAPテーブルエントリを使用したネットワーク構成

[図データ]

本装置1がクライアント2からのNearest SAP(ブロードキャスト)に対して単純には応答しないように動作するため,クライアント2がサーバ1にログインするための構成定義情報の設定には注意が必要です。クライアントのサーバログイン条件を次の表に示します。

表3-6 クライアントのサーバログイン条件

項目 ポートの構成定義情報 ログイン
Nearest SAPに対する応答動作 ポートBの定義のNearest
SAP Replyをoffに設定
できない
ポートBの定義のNearest
SAP Replyをonに設定
できる

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