解説書 Vol.2
QoSネットワークの運用を,簡易的QoS制御,網レベルQoS制御,隣接ネットワーク間QoS制御の3レベルに分類して説明します。
- 簡易的QoS制御
自ネットワークを構成する装置ごとに,装置単体レベルでのQoS制御を行う運用形態です。現状ルータでは送信遅延時間が発生するなど通信品質が劣化しますが,本装置のQoS制御を適用すれば,通信品質の劣化を防ぐことができます。
この運用形態では,それぞれの装置単位に,例えば,telnet,http,ftp,インターネット電話といったアプリケーションのフローごとのQoS制御をあらかじめ構成定義で指定しておきます。本装置はフローを検出し,指定されたQoS制御を実行します。QoS制御は自ネットワークを構成するすべての装置への適用が望ましいですが,トラフィックの集中するルータだけに適用しても効果があります。
- 網レベルQoS制御
自ネットワークの範囲で,一貫したQoS制御を行う運用形態です。エッジルータでは,フローを検出し,帯域監視とDSCP値の書き換えを行います。バックボーンルータでは,DSCP値に従ったQoS制御を行います。これらのQoS制御によって,特定ユーザのフローを検出し網の中で一貫したQoS制御を行うといった通信品質サービスを提供できます。
- 隣接ネットワーク連携QoS制御
他ネットワークとの接続点でIPパケットのDSCP値を監視し,自ネットワークのQoS制御のポリシーに違反するパケットのDSCP値を適宜書き換えることによって,自ネットワーク内の通信品質を確保します。なお,隣接するネットワークが自ネットワークと同じQoS制御のポリシーで運用されている場合には,IPパケットのDSCP値を書き換えないで,そのDSCP値によるQoS制御を行い,隣接ネットワークと相互に連携したQoS制御ができます。
運用形態ごとのQoS制御範囲を次の図に示します。
また,それぞれの運用形態について,QoS機能の企業ネットワークへの適用例を「表1-22 運用形態ごとのQoS機能の適用(企業ネットワーク)」に,プロバイダ網への適用例を「表1-23 運用形態ごとのQoS機能の適用(プロバイダ網)」に示します。
表1-22 運用形態ごとのQoS機能の適用(企業ネットワーク)
運用形態 適用するQoS制御 支店ルータ機能 本社ルータ機能 簡易的QoS制御 フロー検出
帯域監視
最低帯域保証/完全優先フロー検出
完全優先網レベルQoS制御 フロー検出
帯域監視
DSCP値書き換え
完全優先DSCP値に従って
完全優先
運用形態 QoS制御 エッジルータ機能 バックボーン
ルータ機能簡易的QoS制御 フロー検出
帯域監視
最低帯域保証/完全優先フロー検出
完全優先網レベルQoS制御 フロー検出
帯域監視
完全優先
DSCP値書き換えDSCP値に従って
完全優先隣接ネットワーク連携QoS制御 隣接ネットワークのQoS制御ポリシーが異なる フロー検出
帯域監視
最低帯域保証/完全優先
DSCP値監視および書き換えDSCP値に従って
完全優先隣接ネットワークのQoS制御ポリシーが同じ 帯域監視
DSCP値に従って完全優先DSCP値に従って
完全優先
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