解説書 Vol.2
物理回線をグループ単位に分割し,グループ内で一定の帯域を確保するための制御です。本社と複数の支店を結ぶネットワークで,拠点ごとに優先する業務がある場合に,輻輳時もその業務のための帯域を確保したいときに有効です。企業ネットワークの広域イーサネット網を使用したデータ転送を例にして,グループ帯域制御の概要を次の図に示します。
図1-18 グループ帯域制御の概要
- <この項の構成>
- (1) グループ帯域制御の構造
- (2) 帯域制御のサポート仕様
- (3) グループ帯域制御を実行できる優先度
- (4) グループ番号の設定範囲
(1) グループ帯域制御の構造
グループ帯域制御の構造を次の図に示します。
図1-19 グループ帯域制御の構造
フロー検出により検出したフローを,指定したグループおよびキューへキューイングします。その後グループ帯域制御により,1段目でキューごとに固定帯域制御または可変帯域制御を行い,2段目で各キューを束ねたグループに対して帯域制御を行います。なお固定帯域制御および可変帯域制御は,前述の機能と同様です。
(2) 帯域制御のサポート仕様
グループ帯域制御を実行できるNIFごとのサポート仕様を次の表に示します。
項目 NIF種別 10BASE-T 100BASE-TX 1000BASE-X 内蔵イーサネット※5
NEB100-4TBNEB1G-1B NIF当たりのグループ数 16グループ グループ当たりのキュー数 4キュー グループごとの最大送信帯域
※2※3※4320kbit/s〜10Mbit/s 320kbit/s〜
100Mbit/s320kbit/s〜
590Mbit/sキューごとのトラフィック種別が固定帯域制御の場合※1 キューごとの最大送信帯域※2※4 80kbit/s〜
10Mbit/s※380kbit/s〜
100Mbit/s※380kbit/s〜
590Mbit/s※3キューごとのトラフィック種別が可変帯域制御の場合※1 キューごとの最低保証帯域
※2※4キューごとの最大送信帯域※2※4 最大帯域割当重み 1〜63 注※1 各キューには帯域が未設定時は最低保証帯域80kbit/sが割り当てられます。
注※2 誤差は最大2%程度です。
注※3 範囲外の帯域を割り当てた場合は完全優先で動作します。
注※4 理論限界値を考慮して設定してください。
- <理論限界値算出式>
- フレーム長(byte:FCS 含む)*8(bit)/
- ((フレーム長(byte:FCS 含む)*8(bit)/回線速度(bit/s))
- +フレーム間ギャップ時間(ns))
フレーム間ギャップ時間を次の表に示します。
回線速度(bit/s) フレーム間ギャップ時間(ns) 10000000 16000 100000000 1600 1000000000 160 注※5 AX2000Rで内蔵されたイーサネットのことです。
(3) グループ帯域制御を実行できる優先度
グループ帯域制御を指定したインタフェースでは,出力優先度指定によって出力優先度を決定した場合だけ,グループ帯域制御が実行できます。マーカーでDSCP書き換え指定または入力パケットDSCP値指定によって出力優先度を決定した場合は,グループ帯域制御は実行できません。グループ帯域制御とフロー制御の出力優先度決定の関係を次の表に示します。
表1-20 帯域制御(トラフィック指定)とフロー制御の出力優先度決定の関係
フロー制御での優先度決定方法 帯域制御(トラフィック指定)機能の実行 出力優先度指定 ○ DSCP書き換え指定 − 入力パケットDSCP値指定 − (凡例) ○:実行できる −:実行できない
(4) グループ番号の設定範囲
同一NIF内でグループ帯域制御を設定する物理回線数とLine番号によって,使用できるグループ番号の範囲が異なります。次の表に使用する物理回線数とLine番号に対するグループ番号の範囲を示します。
表1-21 使用する物理回線数・Line番号に対するグループ番号の範囲
使用する物理回線数 Line番号 使用可能なグループ番号 1回線だけ 0 1〜16 0以外 1〜2 2回線以上 0〜3 1〜2 表に示すとおり,1回線かつLine番号0にグループ帯域制御を設定する場合,グループ番号1から16を使用できます。1回線かつLine番号0以外の場合,および2回線以上にグループ帯域制御を設定する場合,グループ番号は1〜2だけ使用できます。
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