解説書 Vol.1

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14.5.1 OSPFv3概説

OSPFv3はルータ間の接続状態から構成されるトポロジとDijkstraアルゴリズムによる最短経路計算に基づくIPv6用のルーティングプロトコルです。ルータIDとエリアIDはOSPF(IPv4)と同様32ビット数です。OSPFとOSPFv3はそれぞれ独立して動作します。

<この項の構成>
(1) OSPFv3の特長
(2) OSPFv3とOSPFとの機能差分

(1) OSPFv3の特長

OSPFv3は,通常一つのAS内での経路決定に使用されます。OSPFv3では,AS内のすべての接続状態から構成するトポロジのデータベースが各ルータにあり,このデータベースに基づいて最短経路を計算します。このため,OSPFv3はRIPngと比較して,次に示す特長があります。

(2) OSPFv3とOSPFとの機能差分

OSPFv3(IPv6)とOSPF(IPv4)との機能差分を次の表に示します。

表14-10 OSPFv3(IPv6)とOSPF(IPv4)の機能差分

機能 OSPFv3(IPv6) OSPF(IPv4)
ポイント−ポイント型IPv6/IPv4インタフェースのアドレス広告 自側アドレスをコスト0で広告※1 相手側アドレスを指定コストで広告
AS外経路のフォワーディングアドレス ×
NSSA ×
認証 ×
ネットワーク種別 表14-11 OSPFv3とOSPFで取り扱うネットワーク種別とIPv6/IPv4インタフェース種別の差分」参照
イコールコストマルチパス ※2
仮想リンク ※3
マルチバックボーン
グレースフル・リスタート ※4 ※4

(凡例) ○:取り扱う ×:取り扱わない

注※1 
コンフィグレーションコマンドoptionsのgen-prefix-routeパラメータを指定した場合,プレフィックス長が128でないポイント−ポイント型IPv6インタフェースについてはネットワーク経路を指定コストで広告します。このとき自側アドレスは仮想リンクで必要なければ広告しません。

注※2 
経路選択方法は,OSPF(IPv4)とOSPFv3(IPv6)で異なります。イコールコスト時,OSPF(IPv4)では最小のネクストホップアドレスを選択しますが,OSPFv3(IPv6)ではルータIDが最小であるネクストホップアドレスを選択します。同一ルータIDのネクストホップアドレスが複数ある場合,Helloパケットで最小のインタフェースIDを広告しているネクストホップアドレスを選択します。

注※3 
仮想リンクの設定には,通過エリア上のインタフェースにIPv6グローバルまたはIPv6サイトローカルアドレスを設定しておく必要があります。

注※4 
オプションライセンス【OP-MPLS】を有効にしているソフトウェアでは,グレースフル・リスタートをサポートしません。

OSPFv3ではネットワークの種別によって,ネットワーク上でのパケット交換の方法などが異なります。OSPFv3とOSPFで取り扱うネットワーク種別とIPv6/IPv4インタフェース種別の差分を次の表に示します。

表14-11 OSPFv3とOSPFで取り扱うネットワーク種別とIPv6/IPv4インタフェース種別の差分

ネットワーク種別 IPv6/IPv4インタフェース種別 OSPFv3 OSPF
ブロードキャストネットワーク
(マルチキャストを使用して複数の近隣ルータを統一的に管理)
ポイント−ポイント型 × ×
ブロードキャスト型
非ブロードキャスト(NBMA)ネットワーク
(マルチキャストを使用しないで複数の近隣ルータを統一的に管理)
ポイント−ポイント型 × ×
ブロードキャスト型 ×
ポイント−ポイントネットワーク
(指定ルータおよびバックアップ指定ルータの選択なし)
ポイント−ポイント型
ブロードキャスト型

(凡例) ○:取り扱う ×:取り扱わない

注※ OSPFで接続できる近隣ルータは,IPv4インタフェースごとに1台です。また,OSPFv3で接続できる近隣ルータは,IPv6インタフェースごとに1台です。


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