解説書 Vol.2

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1.6 優先度決定

優先度決定には,検出したフローに対して明示的に優先度を指定する方法,DSCPに基づく優先度を指定する方法(DSCPマッピング),およびアグリゲートキュー番号指定の3種類があります。この節で説明する優先度決定の位置づけを次の図に示します。

図1-14 優先度決定の位置づけ

[図データ]

<この節の構成>
(1) フローに基づく優先度決定
(2) DSCPマッピング
(3) アグリゲートキュー番号指定【AX7800S】

(1) フローに基づく優先度決定

コンフィグレーションのフロー情報によって,パケットに対する優先度を決定できます。優先度には,どのキューにフローをキューイングするかを示す出力優先度と,廃棄されやすさを示すキューイング優先度の二つがあります。出力優先度は数字が大きいほど優先度が高く,キューイング優先度は数字が大きいほど廃棄されにくいことを示します。

なお,一つの動作指定には,フローに基づく優先度指定またはDSCPマッピングのどちらかを選択して設定します。

本装置が生成するIPv4パケットを次の表に示します。

表1-16 本装置が生成するIPv4パケット

パケット名称 プロトコル(番号) ポート番号 タイプ番号 備考
Echo Reply ICMP(1) 0 エコー応答(ping)
Echo 8 エコー要求(ping)
Membership Query IGMP(2) 17※3 メンバーシップ要求
Version1 Membership Report IGMP(2) 18※3 バージョン1のメンバーシップ報告
ftp TCP(6) 20,21※1
telnet 23※1
time 37※1
bgp 179※1
rlogin 513※1
smtp 25
TACACS 49 コンフィグレーションでポート番号が変更可能
echo UDP(17) 7※2
time 37※2
bootps/bootpc 67,68※2 DHCP
ntp 123※2
snmp 161※2
sysylog 514※2
rip 520※2
RADIUS 1812,1813 コンフィグレーションでポート番号が変更可能
ospf 89
pim 103
vrrp 112

(凡例) −:該当しない

注※1 
送信元ポート番号および宛先ポート番号のどちらかがこのポート番号です。

注※2 
送信元ポート番号がこのポート番号です。

注※3 
IGMPバージョンとIGMPタイプを合わせたものがこのタイプ番号です。

本装置が生成するIPv6パケットを次の表に示します。

表1-17 本装置が生成するIPv6パケット

パケット名称 プロトコル(番号) ポート番号 タイプ番号 備考
Echo Reply ICMPv6(58) 129 エコー応答(ping)
Echo 128 エコー要求(ping)
Multicast Listner Query 130 IPv6マルチキャストグループの参加問い合わせ
RA 134
NDP 135,136
Redirect 137
ftp TCP(6) 20,21※1
telnet 23※1
time 37※1
TACACS 49 コンフィグレーションでポート番号の変更可能
bgp4+ 179※1
rlogin 513※1
echo UDP(17) 7※2
time 37※2
ntp 123※2
snmp 161※2
sysylog 514※2
ripng 521※2
RADIUS 1812,1813 コンフィグレーションでポート番号の変更可能
ospfv3 89
pim 103
vrrp 112

(凡例) −:該当しない

注※1 
送信元ポート番号および宛先ポート番号のどちらかがこのポート番号です。

注※2 
宛先ポート番号がこのポート番号です。

表1-18 受信側で決定した出力優先度に対応する出力先インタフェースのキュー番号

スケジューリング種別 完全優先,ラウンドロビン LLQ+3WFQ
キュー数 8 4 2 4
出力優先度 1 1 1 1 1
2 2
3 3 2 2
4 4
5 5 3 2 3
6 6
7 7 4 4
8 8

表1-19 送信側で決定した出力優先度に対応する出力先インタフェースのキュー番号

スケジューリング種別 完全優先,ラウンドロビン LLQ+3WFQ 階層化シェーパ
【AX7800S】
キュー数 8 4 2 4 4
出力優先度 1 1 1 1 1 1
2 2 2 2
3 3 2 3 3
4 4 4 4
5 5 3 2
6 6
7 7 4
8 8

(2) DSCPマッピング

DSCP値に基づき,フローの出力優先度とキューイング優先度を決定します。DSCPはTOSフィールドまたはトラフィッククラスフィールドの上位6ビットのことです。なお,一つの動作指定には,フローに基づく優先度指定またはDSCPマッピングのどちらかを選択して設定します。

インタフェース名指定の出力側(Outbound)にDSCPマッピングを指定した場合,出力先インタフェースのスケジューリングにLLQ+3WFQを指定しないでください。

DSCP値に対応する出力優先度とキューイング優先度を次の表に示します。

なお,この表に基づいて決定した出力優先度が積まれるキュー番号となります。

例えば,検出したフローのDSCP値が7の場合,出力優先度は1,キューイング優先度は4と自動で決まります。また,検出したフローのDSCP値が10の場合,出力優先度は2,キューイング優先度は4に自動で決まります。

表1-20 DSCP値に対応する出力優先度とキューイング優先度

DSCP値 出力優先度 キューイング優先度
8キュー 4キュー,
LLQ+3WFQ,
階層化シェーパ【AX7800S】
2キュー
0〜7 1 1 1 4
8〜9 2 1
10〜11 4
12〜13 3
14〜15 2
16〜17 3 2 1
18〜19 4
20〜21 3
22〜23 2
24〜25 4 1
26〜27 4
28〜29 3
30〜31 2
32〜33 5 3 2 1
34〜35 4
36〜37 3
38〜39 2
40〜47 6 1
48〜55 7 4 1
56〜63 8 1

キューイング優先度については,「表1-20 DSCP値に対応する出力優先度とキューイング優先度」で決定したキューイング優先度を基に「表1-22 決定したキューイング優先度とNIF種別による対応キューイング優先度【AX7800S】」および「表1-24 決定したキューイング優先度とNIF種別による対応キューイング優先度【AX5400S】」に従って,NIF種別ごとの対応キューイング優先度を決定します。

(3) アグリゲートキュー番号指定【AX7800S】

後述する階層化シェーパ機能のアグリゲートキューを指定します。出力側だけの機能です。階層化シェーパ機能をサポートしていないNIFに設定したインタフェースで,アグリゲートキュー番号を指定した場合,無視されます。また,階層化シェーパ機能をサポートしているNIFに設定したインタフェースで,アグリゲートキュー番号を指定した場合,コンフィグレーションの階層化シェーパ情報で該当アグリゲートキュー番号を指定する必要があります。指定しない場合は,該当アグリゲートキュー番号でパケットが廃棄されますのでご注意ください。

項目 仕様
アグリゲートキュー番号 初期値 デフォルトキュー
値の範囲 1〜1023

注※ 出力回線において階層化シェーパ機能が動作しているときに本パラメータを省略した場合,またはフロー検出のコンフィグレーションに一致しない場合


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