解説書 Vol.1
- <この項の構成>
- (1) MLDv2使用時のIPv6 PIM-SSM動作
- (2) MLDv2使用時のIPv6 PIM-SM動作
- (3) MLDv1/MLDv2ホスト混在時のIPv6経路制御
(1) MLDv2使用時のIPv6 PIM-SSM動作
PIM-SSMを使用するためには送信元の情報が必要となります。本装置ではMLDv1を使用する際には送信元をコンフィグレーションで設定することでPIM-SSMを使用することができます。MLDv2では送信元をコンフィグレーションで設定することなくPIM-SSMを使用できます(コンフィグレーションでPIM-SSMを設定する必要があります)。
マルチキャスト配信サーバ(送信元アドレスS1)がマルチキャストグループG1にマルチキャストパケットを送信する場合のIPv6 PIM-SSM動作を次に示します。
- ホストからマルチキャストグループに参加するためのMLDv2 Report(G1,S1)を受信します。
- MLDv2 Report(G1,S1)を受信した装置はReportで通知されたグループアドレス(G1)とソースアドレス(S1)を含んだPIM-Joinを送信します。
- PIM-Joinを受信した各装置は,送信元アドレス(S1)の方向にホップバイホップでPIM-Joinを送信します。PIM-Joinを受信した各装置は,PIM-Joinを受信したインタフェースだけに送信元アドレスS1からのマルチキャストパケットを中継するように(S1,G1)の配送ツリーを形成します。
- マルチキャスト配信サーバS1がグループG1宛に送信したマルチキャストパケットを受信した装置はマルチキャスト中継情報に従いマルチキャストパケットを中継します。
図19-18 MLDv2使用時のIPv6 PIM-SSM動作概要
(2) MLDv2使用時のIPv6 PIM-SM動作
コンフィグレーションでPIM-SSMが設定されていない場合はPIM-SMで動作します。マルチキャスト配信サーバ(送信元アドレスS1)がマルチキャストグループG1にマルチキャストパケットを送信する場合のIPv6 PIM-SM動作を次に示します。
- ホストからマルチキャストグループに参加するためのMLDv2 Report(G1,S1)を受信します。
- MLDv2 Report(G1,S1)を受信した装置はランデブーポイントの方向にグループアドレス(G1)を含んだPIM-Joinを送信します。
- PIM-Joinを受信したランデブーポイントは各グループの存在を認識します。マルチキャストパケットを送信元ネットワークからランデブーポイント経由で各グループメンバに配送するために,送信元を頂点としたランデブーポイント経由の配送ツリーを形成します。
- 送信元から各グループメンバに対して最短パスで到達できるように,既存のユニキャストルーティングを使用して送信元からの最短パスを決定します(PIM-Joinを送信元の方向に送信し,最短パス配送ツリーを形成します)。
- マルチキャスト配信サーバS1がグループG1宛に送信したマルチキャストパケットを受信した装置は最短パス配送ツリーに従いマルチキャストパケットを中継します。
図19-19 MLDv2使用時のIPv6 PIM-SM動作概要
(3) MLDv1/MLDv2ホスト混在時のIPv6経路制御
MLDv1でPIM-SSMを使用する設定をしている状態で,MLDv1とMLDv2ホストが混在する場合のIPv6経路制御動作について説明します。
コンフィグレーションで設定したPIM-SSM対象アドレス範囲に含まれるグループアドレスに対して加入要求を受けた場合は,次の表に示すようにPIM-SSMが動作します。MLDv1 Reportで加入要求を受けた場合,送信元リストはコンフィグレーションで設定した送信元アドレスを使用します。MLDv1 ReportとMLDv2 Reportで同じグループアドレスに対して加入要求を受けた場合,送信元リストはコンフィグレーションで設定された送信元アドレスとMLDv2 Reportに含まれる送信元リストを合わせたリストを使用します。
表19-12 MLDv1/MLDv2ホスト混在時のIPv6経路制御動作
加入グループアドレス MLDv1 Report※ MLDv2 Report SSMアドレス範囲内 PIM-SSM PIM-SSM SSMアドレス範囲外 PIM-SM PIM-SM 注※ MLDv1ホストが送信するReportのグループアドレスに対してだけMLDv1グループメンバを登録します。
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