解説書 Vol.1

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17.5.4 ルータ間の接続の検出

OSPFv3が動作しているルータは,ルータ間の接続性を検出するため,インタフェースごとにHelloパケットを送信します。Helloパケットを他ルータから受信することによって,ルータ間でOSPFv3が動作していることを認識します。

<この項の構成>
(1) ルータ間接続条件
(2) ブロードキャスト型ネットワークと指定ルータ

(1) ルータ間接続条件

ブロードキャスト型とポイント−ポイント型とに関係なく,ルータ間を直接接続するネットワークのそれぞれについて,接続するルータのインタフェースのOSPFv3の定義は,次に示す項目が一致している必要があります。これが一致していないルータ間では,OSPFv3上は接続していないことになります。

(a) エリアID

ルータ間の直接接続では,両ルータのインタフェースに定義したエリアが一致している必要があります。

(b) HelloIntervalとRouterDeadInterval

OSPFv3では,直接接続しているルータに,自ルータを検出させるために,Helloパケットを送信します。HelloIntervalはHelloパケットの送信間隔,RouterDeadIntervalは,あるルータからのHelloパケットを受信できないことを理由に,そのルータとの接続が切れたと判断するまでの時間です。検出と切断を適切に判断するためには,直接接続しているルータのインタフェースに定義した,この二つの値が一致している必要があります。

(c) エリアの定義

スタブエリアとスタブでないエリアとでは,エリアに通知される情報が異なります。このため,OSPFv3が二つのルータを直接接続していると判断するには,インタフェースが所属しているエリアのスタブについての定義が一致している必要があります。

(d) インスタンスID

OSPFv3では,接続しているルータを複数のグループに分けるためにグループの識別子としてインスタンスIDを広告します。定義したインスタンスIDは,経路情報を交換するルータのインタフェースに定義したインスタンスIDと一致している必要があります。

(e) OSPFv3を使用するインタフェースの設定についての注意事項

OSPFv3では,インタフェースに定義してある送信時パケットの最大長(MTU)と同じ長さのパケットを送信する場合があります。ここで,受信側のインタフェースに定義してある受信時パケットの最大長(MRU:特に記述がなければ,MTUと同一)よりも長い場合,通常のトラフィックでは顕在化しないルータ間の相互通信不可能の問題が発生する場合があります。このため,OSPFv3を使用する場合は,特にすべてのネットワークおよびネットワークに接続しているすべてのルータのインタフェースについて,MTUが他のすべてのインタフェースのMRU以下に定義してあることの確認をお勧めします。

(2) ブロードキャスト型ネットワークと指定ルータ

ブロードキャスト型ネットワークでは,トポロジ上の頂点であるネットワークとネットワークに直接接続しているルータ間の接続情報を管理するために,指定ルータ(Designated Router)とバックアップ指定ルータを選択します。指定ルータの障害時には,ネットワークの接続情報の管理ルータを速やかに移行するために,バックアップ指定ルータが指定ルータになります。

指定ルータおよびバックアップ指定ルータの選択には,ルータのネットワークへのインタフェースに定義するpriority(コンフィグレーションコマンドinterface(ospf6 areaモード)のpriorityサブコマンド)を使用します。指定ルータが存在しない場合,バックアップ指定ルータを指定ルータに選択します。指定ルータもバックアップ指定ルータも存在しない場合は最もpriorityの高いルータを指定ルータに選択します。指定ルータは存在するが,バックアップ指定ルータが存在しない場合,指定ルータを除いて最もpriorityの高いルータをバックアップ指定ルータに選択します。両ルータとも存在する場合,新しくよりpriorityの高いルータが現れても,選択は変更しません。

あるルータのあるインタフェースのpriorityを0と定義すると,このルータはインタフェースが接続しているエリアについて,指定ルータにもバックアップ指定ルータにも選択されません。

ブロードキャスト型ネットワーク上に複数のルータがあり,このネットワークをトラフィックの転送に使用する場合は,どれかのルータのネットワークに接続しているインタフェースのpriorityを1以上にする必要があります。

(a) 指定ルータについての注意事項

接続しているルータ数の多いネットワークでは,指定ルータの負荷は高くなります。このため,このようなネットワークに複数接続しているルータが存在する場合,このルータが,複数のネットワークの指定ルータにならないように,priorityを設定することをお勧めします。

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