解説書 Vol.1

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15.4.4 IGMPv3使用時のIPv4経路制御動作

<この項の構成>
(1) IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SSM動作
(2) IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SM動作
(3) IGMPv1/IGMPv2ホストおよびIGMPv3ホスト混在時のIPv4経路制御

(1) IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SSM動作

PIM-SSMを使用するためには送信元の情報が必要となります。本装置ではIGMPv2を使用する際には送信元をコンフィグレーションで設定することでPIM-SSMを使用できます。IGMPv3では送信元をコンフィグレーションで設定することなくPIM-SSMを使用できます(コンフィグレーションでPIM-SSMを設定する必要があります)。

マルチキャスト配信サーバ(送信元アドレスS1)がマルチキャストグループG1にマルチキャストパケットを送信する場合のIPv4 PIM-SSM動作を次に示します。

  1. ホストからマルチキャストグループに参加するためのIGMPv3 Report(G1,S1)を受信します。
  2. IGMPv3 Report(G1,S1)を受信した装置はReportで通知されたグループアドレス(G1)とコンフィグレーションで定義したグループアドレスを比較します。グループアドレスが一致した場合は,Reportで通知された送信元アドレス(S1)の方向にグループアドレス(G1)と送信元アドレス(S1)を含んだPIM-Joinを送信します。
  3. PIM-Joinを受信した各装置は,送信元アドレス(S1)の方向にホップバイホップでPIM-Joinを送信します。PIM-Joinを受信した各装置は,PIM-Joinを受信したインタフェースにだけ送信元アドレスS1からのマルチキャストパケットを中継するように(S1,G1)の配送ツリーを形成します。
  4. マルチキャスト配信サーバS1がグループG1宛に送信したマルチキャストパケットを受信した装置は,マルチキャスト中継情報に従ってマルチキャストパケットを中継します。

    図15-20 IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SSM動作概要

    [図データ]

(2) IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SM動作

コンフィグレーションでPIM-SSMが設定されていない場合はPIM-SMで動作します。マルチキャスト配信サーバ(送信元アドレスS1)がマルチキャストグループG1にマルチキャストパケットを送信する場合のIPv4 PIM-SM動作を次に示します。

  1. ホストからマルチキャストグループに参加するためのIGMPv3 Report(G1,S1)を受信します。
  2. IGMPv3 Report(G1,S1)を受信した装置はランデブーポイントの方向にグループアドレス(G1)を含んだPIM-Joinを送信します。
  3. PIM-Joinを受信したランデブーポイントは各グループの存在を認識します。マルチキャストパケットを送信元ネットワークからランデブーポイント経由で各グループメンバに配送するために,送信元を頂点としたランデブーポイント経由の配送ツリーを形成します。
  4. 送信元から各グループメンバに対して最短パスで到達できるように,既存のユニキャストルーティングを使用して送信元からの最短パスを決定します(PIM-Joinを送信元の方向に送信し,最短パス配送ツリーを形成します)。
  5. マルチキャスト配信サーバS1がグループG1宛に送信したマルチキャストパケットを受信した装置は,最短パス配送ツリーに従ってマルチキャストパケットを中継します。

    図15-21 IGMPv3使用時のIPv4 PIM-SM動作概要

    [図データ]

(3) IGMPv1/IGMPv2ホストおよびIGMPv3ホスト混在時のIPv4経路制御

IGMPv2でPIM-SSMを使用する設定をしている状態で,IGMPv1/IGMPv2ホストとIGMPv3ホストが混在する場合のIPv4経路制御動作について説明します。

コンフィグレーションで設定したPIM-SSM対象アドレス範囲に含まれるグループアドレスに対して加入要求を受けた場合はPIM-SSMが動作します(表15-13 IGMPv1/IGMPv2およびIGMPv3ホスト混在時のIPv4経路制御動作を参照)。IGMPv1/IGMPv2 Reportで加入要求を受けた場合,送信元リストはコンフィグレーションで設定した送信元アドレスを使用します。IGMPv1/IGMPv2 ReportとIGMPv3 Reportで同じグループアドレスに対して加入要求を受けた場合,送信元リストはコンフィグレーションで設定された送信元アドレスとIGMPv3 Reportに含まれる送信元リストを合わせたリストを使用します。

表15-13 IGMPv1/IGMPv2およびIGMPv3ホスト混在時のIPv4経路制御動作

加入グループアドレス IGMPv1 Report※1 IGMPv2 Report※2 IGMPv3 Report
SSMアドレス範囲内 PIM-SSM PIM-SSM PIM-SSM
SSMアドレス範囲外 PIM-SM PIM-SM PIM-SM

注※1 IGMPv1ホストが送信するReportのグループアドレスに対してだけIGMPv1グループメンバを登録します。

注※2 IGMPv2ホストが送信するReportのグループアドレスに対してだけIGMPv2グループメンバを登録します。


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