解説書 Vol.1

[目次][用語][索引][前へ][次へ]


13.3.6 コンフィデレーション

コンフィデレーションは,ルート・リフレクタと同様にAS内でピアを形成する内部ピアの数を減らすためのもう一つの方法です。コンフィデレーションは,ASを複数のメンバーAS(サブAS)に分割して,AS内のピア数を減らします。

<この項の構成>
(1) コンフィデレーションの概念と経路情報の流れ
(2) コンフィデレーション構成での経路選択
(3) コンフィデレーション構成でのBGP属性の取り扱い

(1) コンフィデレーションの概念と経路情報の流れ

コンフィデレーションはASを複数のメンバーAS(サブAS)に分割します。メンバーAS内のBGPスピーカはフルメッシュに内部ピアを形成しなければならず,通常の内部ピアの取り扱いと同様です。メンバーAS間は通常の外部ピアと同様にピアを形成すればよく,メンバーAS間の各BGPスピーカでフルメッシュにピアを形成する必要はありません。これによってAS内のピア数を減らします。なお,本装置ではメンバーAS間のピアをメンバーAS間ピアと呼びます。

コンフィデレーション構成での経路情報の流れを次の図に示します。

図13-17 コンフィデレーション構成での経路情報の流れ

[図データ]

ルータ1,ルータ2,およびルータ3でメンバーAS(サブAS)を形成しています。また,ルータ4,ルータ5,およびルータ6でメンバーAS(サブAS)を形成しています。ルータ8から通知された経路情報はルータ2によってメンバーAS内のほかのBGPスピーカ(ルータ1,ルータ3)に配布されます。ルータ2からルータ1に通知された経路情報はほかのメンバーAS(ルータ4)に配布されます。さらに,ルータ1からルータ4に通知された経路情報は,メンバーAS内のほかのBGPスピーカ(ルータ5,ルータ6)に配布されます。これによって,AS内のすべてのBGPスピーカに経路情報を配布します。

(2) コンフィデレーション構成での経路選択

コンフィデレーション構成での経路選択は,ピア種別(メンバーAS間ピア)の追加によって通常構成(非コンフィデレーション構成)での経路選択と一部異なります。通常構成では「外部ピアで学習した経路,内部ピアで学習した経路の順」で選択しますが,コンフィデレーション構成では「外部ピアで学習した経路,メンバーAS間ピアで学習した経路,内部ピアで学習した経路の順」で選択します。

コンフィデレーション構成での経路選択の優先順位を次の表に示します。

表13-12 経路選択の優先順位

優先順位 内容


 
 
 
 
 
 

LOCAL_PREF属性の値が最も大きい経路を選択します。
AS_PATH属性のAS数が最も短い経路を選択します。
ORIGIN属性の値でIGP,EGP,Incompleteの順で選択します。
MED属性の値が最も小さい経路を選択します。
外部ピアで学習した経路,メンバーAS間ピアで学習した経路,内部ピアで学習した経路の順で選択します。
ネクストホップが最も近い(ネクストホップ解決時に使用したIGP経路のメトリック値が最も小さい)経路を選択します。
相手BGP識別子(ルータID)が最も小さい経路を選択します。
比較する経路がBGP4マルチパスの関係にある場合に,学習元ピアのアドレスが若い経路を選択します。

経路選択上の注意事項
  • AS_PATH属性上のパスタイプAS_SETは,全体で一つのASとしてカウントします。
  • AS_PATH属性上のパスタイプAS_CONFED_SETは,ASパス長には含まれません。
  • コンフィグレーションコマンドbgpのcompare-aspathサブコマンドにnoを指定することで,ASパス長による経路選択を無効化できます。
  • MED属性値による経路選択は,同一隣接ASから学習した重複経路に対してだけ有効です。なお,コンフィグレーションコマンドbgpのcompare-medサブコマンドにall-asを指定することで,異なる隣接ASから学習した重複経路に対しても有効となります。

(3) コンフィデレーション構成でのBGP属性の取り扱い

コンフィデレーション構成でのBGP属性の取り扱いは,通常構成(非コンフィデレーション構成)でのBGP属性の取り扱いとほぼ同様ですが,AS_PATH属性,およびCommunity属性について一部動作が異なります。なお,メンバーAS間ピアでのBGP属性の取り扱いは,内部ピアでのBGP属性の取り扱いと同様です。

(a) コンフィデレーション構成でのAS_PATH属性の取り扱い

コンフィデレーション構成でのAS_PATH属性の取り扱いは,メンバーAS間ピアに経路情報を通知するとき,AS_PATH属性にパスタイプAS_CONFED_SETで自メンバーAS番号を追加します。また,ほかのAS(外部ピア)に経路情報を通知するとき,AS_PATH属性からパスタイプAS_CONFED_SETを取り除き,パスタイプAS_SEQUENCEで自AS番号を追加します。そのほかのAS_PATH属性の取り扱いは,通常構成と同様です。

AS_PATH属性の取り扱いを次の図に示します。

図13-18 AS_PATH属性の取り扱い

[図データ]

ルータ1はAS100から通知されたASPATH:(AS_SEQUENCE) 100の経路情報をほかのメンバーASであるルータ2に配布するとき,AS_PATH属性にパスタイプAS_CONFED_SETで自メンバーAS番号(65001)を追加します。ルータ2はルータ1から通知されたASPATH:(AS_CONFED_SET) 65001,(AS_SEQUENCE)100の経路情報をAS300に配布するとき,AS_PATH属性のパスタイプAS_CONFED_SETを取り除き,パスタイプAS_SEQUENCEで自AS番号(200)を追加します。

(b) コンフィデレーション構成でのCommunity属性の取り扱い

コンフィデレーション構成ではRFC1997で定義されるWell-known Communityについて,次のように取り扱います。そのほかのCommunityの取り扱いは,通常構成と同様です。

RFC1997で定義されるWell-Known Communityを「表13-13 RFC1997で定義されるWell-Known Community」に示します。また,Community属性を持つ経路情報の広告範囲を「図13-19 Community属性を持つ経路情報の広告範囲」に示します。

表13-13 RFC1997で定義されるWell-Known Community

Community属性 内容
no-export この経路情報をAS外に広告しません。
no-advertise この経路情報をほかのピアに広告しません。
no-export-subconfed この経路情報を,他ASを含めてメンバーAS外に広告しません。

図13-19 Community属性を持つ経路情報の広告範囲

[図データ]

[目次][前へ][次へ]


[他社商品名称に関する表示]

Copyright (c)2005, 2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.